○谷合正明君 公明党の谷合です。今日は四人の参考人の皆様には、まず心からお礼を申し上げたいと思います。
まず、私の方から、小出参考人、後藤参考人、石橋参考人に同じ質問をさせていただきます。そして、孫参考人にエネルギーの観点で質問をさせていただきます。
まず、三人に共通した質問ですが、私、公明党でございますが、私たちも国会にこの今回の原発事故の事故調査委員会を設けるべきではないかということを提言をさせていただいております。その点におきまして石橋参考人の考えと共鳴をさせていただいたところでございますが、なぜなら、これは政府に置くのではなく国会に置くということが一つポイントになろうかと思っております。当然、国会議員だけがやるわけじゃなくて、国内外の専門家の知見を含めたそうした機関が、第三者機関が設置されるべきだと思います。
その際に何を議論、明らかにしなければならないのかと。当然、この事故の原因だと思います。津波だけなのか、地震による影響はどうだったのか。もう一つは、政府、行政がやってきた意思決定の過程を明確にクリアにしていくということだと思います。昨日から今日にかけて、細野補佐官が海水注入をめぐる発言で、当時の状況がどうだったかこうだったか、二転三転しておりますが、まずこうした意思決定の過程、また情報の公開性がどうだったのかということをしっかり検証しなければならないと思います。
そういう今回の福島原発に限った調査とともに、もう一つ、私はこの原子力行政、原子力安全・保安院の在り方、原子力安全委員会の関係であるとかという行政としての、行政機関がしっかり機能してきたのかという検証、そしてこの原子力行政に関するキャリアシステム、人事の問題、こうしたことも広く取り上げていくべきだと思いますが。
こうした国会における第三者委員会というのを提言するだけでは駄目ですから、これ実現に向けてしっかり各党に働きかけていきたいと思うんですが、三人の御参考人の皆様にお伺いしたいのは、まず、この国会につくった場合に何をまず優先順位としてここの議論として検証すべきであるかということのお考えをお示ししていただきたいというふうに思います。
そして、孫参考人には、エネルギー政策で、私もこの再生可能エネルギーの導入拡大と省エネルギー、これを追い求めていくしかないだろうと思います。ところが、その省エネルギーについて、孫参考人の最初の説明であると、やはりちょっと限界があるような感じで受け止めたんですが、むしろ私は、この両輪になるべきじゃないかと。ヨーロッパ、EU等ではネガワット、ネガティブのネガにワットというネガワットという考えがあって、百万キロワットを節約すれば百万キロワットつくったと同じような考えだという考えであります。まだまだ日本のエネルギー効率は世界に比べて先進的ではありますが、例えばこの日本の中でエネルギーのロスというものが大体平均六〇%環境中に捨てられているとも言われております。
そういう意味では、私はこうした省エネルギーについてもこれから、今後、政策の資源の投入であるとか、そうした政府、行政の意思決定、民間も含めた意思決定が必要であると思いますが、そうしたことについての御所見を伺いたいと思います。
以上です。
○参考人(小出裕章君) 御質問ありがとうございました。
議会の中に原子力に関して調査をする委員会をつくると、つくってくださるということは半ば有り難いとも思いますが、今私が一番必要だと思うこと、やるべきだと思うことは、現在進行中の福島の事故をいかにしたら迅速に収束できるか、いかにしたらば作業員の人たちの被曝を少なくできるか、住民の人たちの悲惨さを少なくできるかという、そのために全力を尽くすべきときだろうと思います。
これまでの原子力行政のどこに責任があった、欠陥があった、これからをどうすべきであるということはもちろん重要なことですけれども、それより前に、まずは今のこの事態に全力を出して向き合うべきだろうと思います。それができたときに初めて、これから原子力というものをどうするかという議論をすればいいと私は思いますが。
今事故が進行している福島の原子力発電所というのは東京電力の発電所ですが、東京電力の給電範囲とは関係ないところにあるのですね、福島県内。福島第二原子力発電所もそうです。もう一つ東京電力は原子力発電所を持っています。柏崎刈羽原子力発電所、世界最大の原子力発電所ですけれども、それも東京電力の給電範囲ではありません。東北電力の給電範囲に造るということを東京電力はやってきたわけです。電力の一大消費地である東京だけには決して原子力発電所を建てないで、万一の事故があったらやはり困るということで、原子力発電所の立地だけは過疎地に押し付けてきたという歴史があるわけです。どうしてこんな不正が今日まで見逃されてきたのかと。行政あるいは多分議会の方もそうだろうと思いますけど、そういう不正を今日まで見逃してきたのかということを根本的に問うような委員会を是非ともつくっていただきたいと思います。
以上です。
○参考人(後藤政志君) 私は、今対策というのは小出参考人おっしゃいましたが、それはそのとおりだと思うんですが、今のことですね。同時に、現在動いているプラントに対してのリスクといいますかね、危険性について早急に当たる必要があるので、とにかく地震、津波は当然なんです。それ以外も含めまして総合的に、老朽化した原発も含めて、早急にそういう原発に対する評価をしながら、事故原因とかそういうことを同時並行にやっていくべきじゃないかというのが一点です。
そのときに一つ、条件と申しますか絶対必要なことがございまして、今までなぜ安全が保てなかったかということなんですね。これはどの組織についても言えます。それは利害が絡んでいたら駄目です。自分たちの、ある者の利害、ある企業でも、ある学者でも同じです。私でも同じです、技術者でも。その人の利害が優先する、つまり安全性の議論をするときには不確定な要因がいっぱいあります。そのときにバイアスが掛かったら一発でそっちに行っちゃいます、不確定ですからね。証明はできないんですよ、完全な証明というのは。安全、危険と論争になるわけです、当然。そのときに安全性を確保するという議論は、そういうことからフリーになった状態で議論がなされるというのは最低限度です。その形を取らない限りはまた事故は繰り返しますというのが私の思いです。
ちょっとお答えになったか分かりませんが、そういう形で、思いでつくっていただけたらと、つくることは非常に重要だと、国会で、思います。
以上です。
○参考人(石橋克彦君) 国会にそういう審査機関というか委員会というか、そういうものをつくっていただくのは非常に有り難いことだと思います。
小出参考人のおっしゃったことはもちろん非常に大事で、小出参考人のお気持ちも痛いほど分かりますけれども、それこそ極端な言い方をすれば、あした若狭湾で大地震が起こるか、泊の沖合の海底活断層が動くか、伊方の沖の中央構造線が動くか分からないわけです。ですから、やっぱり現在動いている原発に関しても厳重に考えなければいけない。そのために福島第一原発でなぜこういうことになったのかということをきっちり検証することは、もうやっぱりこれはこれで非常に急ぐべき絶対必要なことだと思います。それを御提案のように国会でやっていただくというのは非常に有り難い、国民の一人としても有り難いことだと思います。
御質問は、その優先順位はどうかと、何からやったらいいでしょうということだったと思うんですけれども、幾つかおっしゃったことに私は優劣が付け難いと思います。
私は地震が専門ですので、福島第一原発の事故に関してはそもそもその地震、津波の想定がどうしてこんなことになってしまったのかというようなことが私の専門ですけれども、ですから、そういうこともそもそもやらなければいけないけれども、それから審査にどういう問題があったのか、それから、特に二〇〇九年に保安院、安全委員会が大丈夫だと言った耐震バックチェックの議論はどういうふうに行われてどういう問題があったのか、それも大事ですし、もう全てやっぱり大事だと思います。工学的なことはもちろん大事だし、それから事故処理の誤りもそれもやっぱり大事で、結局全てをやってほしいと思います。
一つ是非お願いしたいのは、国会であれどこであれ、事故調査委員会であるとかなんとかというと、今の日本でも、非常に悲しいことに、すぐに海外から専門家を呼んでとか言うわけですよね。日本にだって人はいるじゃないかと私は思うわけです。ここにいらっしゃる小出参考人、後藤参考人、あるいは先ほど私が名前を挙げた田中三彦さん、そういう方々は非常に見識も高くて、知識も豊富で、考え方も合理的で、しかも非常に熱意あふれていらっしゃる。そういう方のことを例えば大手のマスコミなんというのは全く無視しているわけです。で、すぐに海外と言う。まるでこれは、古代の大和朝廷が反原発の人たちを隼人か蝦夷のごとくに人間じゃないと思っているように思います。本当に私はもう怒り心頭に発しています。
国会の場であれば、それこそ主権在民の立場に立って適切と思われる方、今回は、私なんか物の数ではありませんけれども、今回こうやって呼んでいただいたのはさすがに参議院の行政委員会だと思いますけれども、そういうふうに日本にいる人材をもう一〇〇%活用していただきたい。その上で、もちろんそれを国際的に検証してもらうとかはいいでしょう。例えば鈴木達治郎さんという原子力安全委員会の委員長代理が、何か海外の人を呼んでとかアメリカの何とかNRCの人を呼んでとかおっしゃったみたいですけれども、そういうことは後から考えてほしい。まず真っ先に日本人、私たちの手でやりましょうということです。
以上です。
○参考人(孫正義君) まず、私の直接質問ではありませんが、国会でそういういろんな委員会とか安全調査とかをするときに、こういう先生方がまずその中に入っていることが一番大きな第一歩じゃないかと。今日そういう先生方を呼ばれたというのは大変に大きな前進だと思いますが、是非、安全委員会だとか保安委員会だとかそういうところにも、こういう意見を持っておられる方の声が押し潰されないようにしていただきたいなというふうに切に願います。
私への直接の質問ですけれども、省エネのところは、先ほどはあえて触れませんでしたけれども、おっしゃるように大変重要な部分でありまして、特に、皆さん御存じのように、電力も通信も同じですが、ピークのところの電気が一番コストが掛かって発電容量的にも大変に難しいと。また、それを超えてしまうと大停電というリスクがあるということなので、ピークカットをいかにするか、ピークシフトをいかにするかということがかなり要だというふうに思っております。
そこで、電気の料金を今原発の事故があって値上げしなきゃいけないという議論が始まっておりますが、是非そのときに、一律の単なる値上げとかではなくて、そのピークシフトを念頭に入れた値段の検討をすべきではないかと。例えば、真夏と真冬がピークが来るわけですね。昼間にピークが来るわけです。ですから、真夏と真冬と昼間に電気代は高いと。真夜中はうんと安いと。真昼の真夏のピークのところに産業用、工業用の電気が膨大に使われていると。本来そういうものは、在庫を春とか秋のうちに作って、しかも真夜中の電気代、安いときのものを使って作ってと。ですから、そういう時間差によって電気代は十倍ぐらい差があった方がいいんではないかと。フランスではそのぐらいの差を出しているという、フランスだかドイツだか、そのぐらいの差を出しているという話も聞きます。
つまり、ピークシフトをするためには、明快なシフトの理由を提供し、産業界は、経済活動をしておりますから当然電気のコストを計算して、そういう明確なめり張りが付けば、それに合わせて労働時間だとか在庫の生産期間を自らの意思で調整するようになる。計画停電のように無理やり押し付けてということではなくて、自らのインセンティブに合わせて行うようになる、そういう電気料金制度。単純一律値上げというのが最も愚策であろうというふうに思います。
それからもう一つは、一般家庭用の電気代もそうなんですけれども、これも、昼間の時間と夜中の時間が一般家庭用の一般電気料金は差が付けられてない、これもおかしいのではないかということで、季節変動、時間変動、そのためにスマートメーターを一般家庭にも一日も早く、これはマストで義務付けて取り付けて、今一般家庭に付いている一般的なメーターでは時間管理がなされてないので、時間差による電気料金の差を付けられないという問題があるので、これは技術的にそういうメーターをただ取り付けて価格差を付ければ、人はおのずとそれに合わせて行動するようになる、それがあるべき議論だというふうに思います。一番効果的省エネがそこだと思います。
○委員長(末松信介君) 谷合先生、よろしいですか。
○谷合正明君 はい。ありがとうございました。
○委員長(末松信介君) 後藤参考人。
○参考人(後藤政志君) 済みません、一つ追加で申し上げたいことがございます。
これから調査とか、特に安全性とかそういうこと、原発の技術にかかわるところに関しましてはどういう人材が要るかということでございます。
もちろん、広い範囲の学者、大学の先生とか必要なんですが、やはり技術におきましては技術の現場の経験者、設計の経験の、つまり私は格納容器ですけれども、多少は勉強しているつもりなんですけれども、やはり格納容器周辺は分かりますけれども遠くなると分からないわけですね。分かる人間をきちんと入れて人を組んで、必要な人間、人材を入れてちゃんと評価をするということが絶対条件だと思います。ある肩書で、こういう肩書、どこどこ大学にしろ企業にしろ、肩書でやるのは絶対やめた方がいいです。中身においてきちんと評価ができる人間を入れない限り意味がないということが一点です。
それともう一つは、先ほど申しましたように、企業にいますと、企業はどうしても利益団体ですからあるバイアスが掛かりますね。それはまた、そのままじゃ難しいわけですね。そうすると、現役でない人であるなり、中立になられる立場の方でそういうキャリアのある方、そういう人を入れることが必要だというふうに思います。
以上です。済みません。