○谷合正明君 公明党の谷合です。
昨日、私は福島県のいわき市に行ってまいりました。岩城先生の地元のいわき市の方に行ってまいりまして、被災者の方が今はどういったことの生活上また仕事上の悩みを抱えているのかということで、法律相談事務所また消費生活センターに行くとともに、避難所となっております中学校に行き、被災者の方と直接お話をさせていただきました。
まず、質問通告はしていなかったんですけれども、昨日そうしたやり取りをしている中で、やはり今一番大きなネックとなっていて、現行の制度では解決できていない問題、できない問題として二重ローンの問題があると。
これは、確かに当事者となってみればもう本当にやり切れない問題でございます。二重ローンを組める人もこれは大変ですし、組めない人は破産するしかない。破産してしまうと、もうその情報が個人信用情報機関に登録されて、今度はローンも組めないという状況でございます。先日、日弁連の宇都宮会長が官房長官のところに申入れをされたと思います、この二重ローンの問題について政府として検討すべきだということで。
まず冒頭に、法律家でもあります官房長官に、政府としてこの二重ローンの問題について今後どのように検討をされていくのか、この点について伺いたいと思います。
○国務大臣(枝野幸男君) 御指摘いただきましたとおり、今回の被害に遭われた皆さんにとっては二重ローンの問題は大変深刻な問題であるというふうに認識をいたしております。また、日本弁護士連合会宇都宮会長を始め、現地に入っていろいろな声を、聞いてきていただいた声をお寄せをいただきましたが、その中でも二重ローンの問題に対する対応というのは一つ重要なポイントであるという御指摘をいただきました。
一方で、基本的な民間同士の契約に基づくものでありますので、やり方は非常に難しいとは承知をしておりますが、一方で必要性も大きい問題でございますので、金融機関に対する何らかの施策によって民民間で債権放棄をしていただくことを誘導する等のことができないか、関係当局に前向きに検討するようにという指示を今出しているところでございます。
○谷合正明君 是非よろしくお願いします。
そして、現地でも改めて私、次の問題について聞かせていただいたんですが、原子力発電事故の問題で、福島第一原子力発電所という呼称について、これは正確に、東京電力福島第一原子力発電所だと。ある商工会議所なんかは、実際に風評被害も大きいので、NHKさんなんかに、表示するときは、画像には東京電力福島第一原子力発電所と明記してほしいと。あたかも福島県において惹起した惨状であるかのような間違った理解を示す視聴者もおられるんだということでございます。
ここで改めてお伺いしますが、この呼び方については政府として何か統一されたルールみたいなのがあるんでしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) 実は、統一的なルールということになりますと、原子炉等規制法に基づく許可申請における事業所の名称は福島第一原子力発電所となっております。
ただ、私も記者会見等で実は全てをでき切れていないんですが、できるだけ東京電力福島第一原子力発電所というふうに申し上げた方がいいんではないかということはこの間に留意をしてきたつもりでありますが、私も福島県に伺いましたときに同じような声を聞いてまいりましたので、その後は更に留意して、できるだけ東京電力からちゃんと言うか、でなければ当該発電所と言うかというような形で、少しでも風評被害に対する影響が小さくなるようにと、更に配慮してまいりたいと思っております。
○谷合正明君 まさにそのとおりでございまして、私、政府の官邸のホームページ見て、総理大臣が国民向けのメッセージであるとか、あるいは四月十一日に世界へ向けた感謝の、「絆」というタイトルのメッセージがありますね、あるいは英字新聞のヘラルド・トリビューンとか、そういったところに寄稿されている文章を見ますと、これ全部福島第一原子力発電所と、英語でも福島第一ニュークリア・パワー・ステーションというふうに書いてあって、どこにも東京電力は出てこないわけですね。総理大臣が言うこの発言の中で、繰り返し言う場合に、後で福島第一とか略すことはあるかもしれないけれども、最初に言うときの言葉としては正確を期すべきじゃないかなと私は思うんですけれども、その点総理は認識されているのかなと。されていなければ、官房長官から是非言っていただきたいなと思いますが。
○国務大臣(枝野幸男君) 済みませんです。私自身の発言については留意をしてきたつもりでございますが、特に総理の発言やメッセージ、重要でございますので、私の方で改めてチェックをして、総理の方にもそう申し伝えたいというふうに思います。
○谷合正明君 続きまして、雇用問題について伺います。
被災者生活支援特別対策本部、これが本部長が松本大臣ですね、この下に、被災者等就労支援・雇用創出推進会議が設置されておりまして、先ほど来質問にありましたけれども、「日本はひとつ」しごとプロジェクト、第一フェーズが発表されました。
ところで、現在、その被災者向けの求人総数って一体どのくらい把握できているのかと。いろいろな自治体で、もう本当に有り難い話で、関西広域連合でも千人単位だとか、あるいは地元被災地域でも、自治体中心に緊急雇用で何千人という単位で創出する、民間企業も結構手を挙げておりますが、一体その被災者向けの求人総数、どのくらい今把握されていて、必要な求人数というのは今後どの程度だと見込む、見込むというか、どの程度必要だと考えていらっしゃるのか、まずその点についてお伺いをさせていただきます。
○副大臣(大塚耕平君) 四月十五日時点で、被災地の方々に対するハローワークへの求人というのは、全国から六千四百四人という形で上がってきております。厚生労働省といたしましても、是非被災地の方々を雇用をしていただきたいと、とりわけ、社宅とか寮、お住まい付きの求人というのは大変有り難いということで、各地に徹底をいたしております。
また、もう一つの御質問として、一体どのぐらいの求人が必要かということについてはまだ把握し切れておりませんが、これから被災地を離れて仕事をされたいという方、それから被災地においてまた仕事に就くことをお考えの方、それぞれの人数をしっかり把握して、求人を発掘をしてまいりたいというふうに思っております。
○谷合正明君 ハローワークに六千四百人ほどあるというわけですけれども、恐らくハローワークでは捕捉し切れていない数の方が多いかもしれません。要するに、困ったときに皆さんハローワークに行かれるわけですけれども、そこのハローワークに行ったはいいけれども、情報が実は全てそこで網羅されているかというと、そうでないという問題があるわけです。また、今後どのくらい求人数を獲得していかなきゃいけないのかというところも、実は実態がまだまだ分かっていないと。直接的な失業者の方もいらっしゃれば、今後、夏から秋にかけて倒産する企業も、これはもう現実の上で深刻な受け止めをしておかなければならないと思います。
そう考えると、私は、この「日本はひとつ」しごとプロジェクト、取りあえず第一フェーズ発表されましたけれども、これはまだまだ、何というか仕事がこれでいいのかなと思っているわけですね。この会議の目的ははっきり分かりませんけれども、この会議の目的、そもそも何なのかという、これまで何回会合開いてこられているのかとか、今後どうしたいのかという。
私は、この雇用問題というのは実はこれからが本当に深刻な問題になると思っていて、今までは生活者の方の仮設住宅の問題だとか当面の生活資金という課題が多分目の前にあったと思うんですけれども、これからは仕事の問題ですよ。雇用調整助成金、失業保険とか仕事。その際に、政府の中のこの推進会議が位置付けが弱いんじゃないかなと。会議の座長が小宮山副大臣でございます。別に副大臣がどうこうという話じゃなくて、一副大臣が見るようなテーマじゃないと思いますよ、私。もう少し官房長官にも御認識いただきたいんですけれども。雇用の問題は、元々この地震がある前から、総理大臣は、一に雇用、二に雇用、三に雇用といったような状況ですよ。その上でこの地震が来ているわけですから、もう少し本腰入れなきゃいけないんじゃないかと私は思っているわけです。この点について、副大臣、御答弁あればと思います。
○副大臣(大塚耕平君) まず、本腰は入れているつもりでございますので、そこだけは是非御理解をいただきたいと思います。
雇用に対する大変厳しい認識は私どもも共有をさせていただいております。その上で、この推進会議、事務局といたしましては各省の事務方が入っておりまして、そういう意味では、全省を挙げて就労の支援、雇用創出を促進するために総合的な対策を打つという方向で取り組んでおります。
一つの例を申し上げれば、これまでハローワークというのは自営業者の方の言わば対応というのはほとんどしていなかったわけでありますが、当然自営業の方で被災された方もいますので、そのことにも今取り組んでおります。さらには、農業や漁業、これを転地をしてでも、よその地域に行ってでもそれを続けたいという方々の求人、ないしはよその地域で後継者を探している方々も発掘をしてマッチングをさせるということもやっております。
そういう意味では、まさしく過去に例のない被災に対応した過去に例のない雇用政策をスタートしておりますが、幾ら充実させても十分過ぎるということはないほどこれから雇用情勢は厳しくなると思っておりますので、委員の御指摘もしっかり踏まえながら対応させていただきたいと思っております。
○谷合正明君 恐らくこの会議、四月五日にプレスリリースされたと思うんですけれども、多分それ以来、実質開かれていないんじゃないかなと私は思うわけです。いろいろ連携調整されているかもしれませんけれども。本当に、地元のハローワークさんなんかゴールデンウイーク返上でやられるわけでございまして、補正予算の時期とか関係なしに、また、六月の復興構想会議で何か中間的な取りまとめをするとかもうそんなの関係なしに、しっかり今本当にできる手を随時打っていただきたいと、そういう姿勢をもっともっと示していただきたいと思います。
次に、生活保護の質問です。
車や預貯金などの資産がある場合は生活保護に認定されるんでしょうか。今回の震災を受けて、生活保護制度で弾力的運用みたいなことがなされるんでしょうか。
○副大臣(大塚耕平君) 冒頭、先ほどの会議の回数ですが、今日で四回目を開催しておりますので、御報告申し上げます。
御質問の件ですが、三月十一日の発災後、厚生労働省としては今回できることは全てやると、もうそういう基本方針でやっておりますので、今御指摘の点についても、三月十七日に生活保護の申請に際しての資産活用の弾力化の取扱いを通知いたしました。具体的には、自動車等の資産を保有していらっしゃったとしても、被災者の方の状況を十分に配慮し、事情があれば、当面直ちに処分することが困難な資産として評価し、迅速に生活保護を適用するという方向で今取り扱わさせていただいております。
○谷合正明君 車は分かりましたが、預貯金はどうですか。預貯金の解釈は変わっていますか。
○副大臣(大塚耕平君) 預貯金につきましても、直ちに引き下ろすことができない方々については同様に弾力的な取扱いを認めるということにしております。つまり、預貯金がおありになっても引き出せない、あるいは金融機関が被災したということも含めて御事情をお話しいただければ対象とするという方向で取り扱わさせていただいております。
○谷合正明君 直ちに引き出せないというのは分かりますが、引き出せるという場合はやはり対象外になってしまうわけですね。
これは実はよく言われる話なんですけれども、生活保護制度は現状でも多くの方も利用されて、余りこの制度を柔軟に弾力的にやってしまうと大変なことになるということを実は厚生労働省さんも考えていらっしゃるんじゃないかなと。かつて災害なんかも起きたときに、例えば三宅島の噴火が起きたときに、東京都もこの生活保護の弾力運用、例えば車があるとか預貯金がある、こうした方は、それまではそうだったんだけれども、一気に、何というんですか、三宅島から長期避難して本土に来るわけですけれども、この生活保護制度を利用できないわけですね、対象外になってしまう。生活保護の条件には合致しないんだけれども、生活扶助というのが必要ではないかということで、預貯金二百万円から五百万円までの方の世帯は認めるような東京都独自の災害保護特別事業というのをやったわけですね。
私は、今回の大震災の中で生活保護制度に合致しないような方も出ていらっしゃるんじゃないかと。現に今、東北地方は車がないと生活できないわけですね。車を持っていたら、もうはなから生活保護駄目ですよと。先ほどの弾力運用もあるんだけれども、多分実態は厳しいと思います。
そこで私は、生活保護制度の弾力運用はしっかりやっていただくとともに、もし弾力運用に限度があるんであれば別建ての何か制度みたいなことを御検討されたらいかがではないかなと私は思うんですけれども、この点いかがですか。
○副大臣(大塚耕平君) 先生から質問の御通告をいただいて、三宅島噴火の際の東京都の事業についても御教示をいただきました。確かに、調べてみますと、義援金を含めて預貯金が五百万円以下の世帯については生活保護基準額と収入額との差額分を月単位で支給するという事業でありまして、大変被災者の方に十分に御利用いただけたというふうに聞きました。
今回も、先生御指摘のとおり、生活保護制度の中では対応し切れない方々が出てくる蓋然性は極めて高いというふうに思っておりますので、厚生労働省としては、今私たちに許されている施策の範囲内で雇用を創出してしっかり収入の道を確保してさしあげる等々を図りながらも、しかしそのことで対応できない方々に対してはできることは全てやるという意味では、先生御指摘のことも検討しなければならないというふうに思います。
○谷合正明君 是非、これはどこですか、被災者生活支援対策本部なんですかね、松本大臣、今日は呼んでおりませんけれども、そういったところでも、公明党としては既にこれ提言させていただいておりますので、しっかりと認識していただいて、セーフティーネットの漏れがないような形でやっていただきたい。
次に、震災に伴う予防接種の取扱いについてですが、ちょっと細かい話でありますが、こういった事例が舞い込んできました。それは、いわき市から日立市へ避難された人のケースで、お子さんが六か月未満ということで、BCGの予防接種を受けたいと。BCGは六か月未満であれば無料なんですね。
通常、違う自治体に行くと、予防接種実施依頼書というものを自分の住んでいる自治体から取り寄せないとそういう予防接種できません。ただし、厚生労働省は、やはりそれは今回の震災の中で余りにも酷だろうということで、三月十六日に通知を出されていて、そういうケースはもう除外して本人の申出で避難した自治体で予防接種を受けるように、受けることができるようにということで発出されていると思うんですが。
ところが、そのいわきから日立へ避難された方は、日立市でやはり通常どおり予防接種実施依頼書をいわき市から取ってきてくださいと言われた。いわき市は、やはり震災対応もあっていろいろ大変です。ということで、何なんだこれはという話になっているんですけど、厚労省としてはどういう見解ですか。
○副大臣(大塚耕平君) 御指摘のとおり、三月十六日に、住所地のある市町村以外で予防接種を実施する際にも、そうした依頼書の発行が困難な場合には本人の申出をもって接種をしていただくという通知をいたしました。その通知今持ってまいりましたけれども、具体的にはこのように記してございます。予防接種実施依頼書がない場合においても、希望地の長は被災者からの申出をもって居住地の長からの予防接種実施依頼があったものとし、予防接種を実施して差し支えないと。こう明記してありますので、私どももどうしたことかなと思って調べさせていただきました。
そうしたところ、受入れ側の日立市といたしましては、その依頼書を求めたものではなく、その方の住所地のあるいわき市における予防接種の費用負担の方法についてどのようになっていますかという確認を求めたというふうに聞きました。しかし、確認を求めるということ自体もその被災者の方ができるかどうかといえば、相当困難を伴いますので、そこは日立市側にもう少し想像力をたくましくして、より被災者の身になった対応をすべきではなかったかなと私も思います。
また、費用のことを気にしたという日立市の気持ちも分からないではないものの、今回は被災者の受入れに伴った費用はほとんどそれぞれの自治体に御迷惑掛けないということをもう通知しているわけでありますので、今後はこうしたことのないようにしっかり徹底をしてまいります。
○谷合正明君 是非よろしくお願いします。
最後に、成年後見制度についてお伺いしますが、今回、親を亡くした震災孤児が百人を超えているということでございまして、阪神・淡路大震災のときも実は問題になってはいたんですが、義援金であるとか災害弔慰金とか被災者生活再建支援金、これは結構な金額でございまして、子供たちにしっかりと財産保護という観点からも、本人の資産であるということでありますから、親族間でトラブルにならないようなことが大事だと私は思うんですね。後々これ必ず出てくるだろうという話もありまして、まず国としてこういう震災孤児の、何ていうか、資産保護というか、こういう財産保護についてどういう仕組みがあるのかというのをまずお聞かせいただきたいんですけれども。
○副大臣(大塚耕平君) 現在どういう制度があるかという御下問でありますが、要は成年後見人としてのことをちょっと御説明を申し上げたいと思います。
認知症高齢者や独り暮らし高齢者の増加がこれから見込まれるわけでありますので、これらの方々を主な対象として後見等の審判請求を行う市町村長申立ての必要性が高まるわけであります。したがって、弁護士等の専門職後見人のみならず、市民も含めて後見人を確保していくことが重要であると考えておりますので、今国会に提出をしております介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案において、老人福祉法の一部を改正し、市民後見人の育成及び活用を図るため、研修の実施及び家庭裁判所に対する後見人の推薦等を市町村の努力義務として規定することといたしております。
こうした市民後見人の制度を早く整備をして、先生御指摘のような今後の事態にも備えなければならないですし、被災地においてもそういうニーズはこれから高まってくると思っております。
○谷合正明君 未成年後見制度ですね、この制度があるわけでございますから、しっかりと法務省におかれても、何というんですか、制度は法務省だけど、でも運用は家庭裁判所だと、後見人の確保とか育成というのはこれは厚労省だとか、もう本当に縦割りなんですね。質問通告しようと思っても、困ります、我が省庁じゃないですよ、この問題はというたらい回しなんです、必ず、この後見制度。困ったものですね、こういう聞き方をされると困るんでこういうふうに聞いてくださいとか。
本当にこれは考えないと、これから、震災だけじゃないですけれども、高齢化社会に入って認知症あるいは障害者の方も使っていくことを考えていくと、この後見制度、官房長官、このままだとどの役所も責任持ってこの制度を良くしようなんということを考えませんよ。内閣府あるいは内閣の中で司令塔のような組織をつくって、成年後見制度についてしっかりとやっぱりやっていくべきじゃないですかね。どうでしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) 御指摘のような経緯があったことについては大変遺憾に存じます。きちっと各省、関係する省庁間で連携をして事態に対応しなければいけませんし、皆さんからの御質問の通告にも対応できなければいけないというふうに思っております。
ここは、歴史的な経緯からすると、この後見が民法の規定の中からいろいろと改善をされてきているという経緯で法務省が法律上の所管であると。ただ、現実には、いろいろな社会福祉、広い意味の社会福祉の観点から、厚生労働省が運用について大きな役割担っていると。どちらの側面も大変重要なんですが、御指摘のとおり、ボールが間に落ちてはいけませんので、内閣府等が持つかどうかというのは別としても、ボールが真ん中に落ちずに、しっかりとこの法の制度と運用とが一体となって進んでいくように、御指摘を踏まえて検討してみたいと思います。
○谷合正明君 今は本当に忙しいと思いますけれども、要するに、こういう質問をするときに誰に聞いても分からないというようなことじゃ国会でも議論にならないわけですね。やっぱり司令塔あるいは担当大臣みたいな方決めていただきたいと思いますし。
もう一つ、総務省が絡む話もあるわけですね、この選挙権の問題。被後見人になると、ステージが三つありますけれども、被後見人になると、公職選挙法においてもう自動的に選挙権剥奪されるわけですね。
これ、たしか二月だったと思いますけれども、障害者の方が、今まで投票行っていたんだけれども、被後見人になって実はもうこれ選挙権なくなってしまったと。これは人権侵害じゃないかということで実は訴えられたわけですね。そのときに総務大臣は答弁されて、一定の合理性はあるが違和感は個人として思っているというふうに言われるわけですね。
今日はせっかく逢坂政務官にもお越しいただいておりますけれども、この選挙権の問題について、これ私は変えるべきだと思いますけれども、どう考えられますか。
○大臣政務官(逢坂誠二君) 御指摘のとおり、先般、この件について訴訟が提起されまして、私自身もその訴訟、重く受け止めております。
御案内のとおり、公選法の第十一条で、成年被後見人になると、選挙権と被選挙権、これ両方とも失われるということになっております。それで、現在の法の規定によるこの成年被後見人の要件でございます、要件といいましょうか、どういう状況かということですが、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況」、この「欠く常況」というのが常にそういう状況であるということでございますので、こういう状況であれば一般的には政治参画を期待できないのではないかというふうに思われますので、これはこれで法の規定というのは、先ほど引用ございましたけれども、大臣が指摘するとおり、ある種の合理性はあるのかなというふうに思っております。
ただ、今回訴訟が提起されておりますので、その行方をしっかり注視しなければならないというふうに思っております。
○谷合正明君 それは従来どおりの答弁だと思います。
これ本当におかしいと思いますよ、私。実際に選挙へ行っていた人がいるわけですよ。それがなくなるわけです。特に、障害の方からの問題提起が多いわけですけれども、私の姉貴も障害でございますけれども、後見使うともう選挙権なくなっちゃうわけですね。これは、姉の場合は元々選挙へ行けませんし、だからそういう意味では選挙する能力ないかもしれないけれども、それと選挙権が剥奪されるかどうかというのはまた別問題だというふうに私は思うわけです。
菅総理大臣はこの国会冒頭、不条理を正すと言ったんです。不条理を正すというのはどういうことなのかと。抽象的なメッセージじゃなくて、具体的な問題として、例えば私はこういう成年後見制度の問題があるんじゃないかと思うんです。
官房長官、最後に、法律家でもあられますからいろいろなことの、何というか、限界とか分かるかもしれないけれども、しかし、やはりここは政治家として、不条理を正すという観点から、成年後見制度が選挙権にリンクしてしまうこの制度は私は変えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) この成年後見制度が、今お話しのとおり、要件としては事理弁識の能力を欠くという要件になっています。これは、従来の、かつての禁治産制度からの流れだと思います。
ただ、実態は、その欠くというのを厳格にとらえないで、実際には、そうでない方でも成年後見が付かれた方が財産の管理、安全という意味ではいいということで、かなり運用においては広く取られている。そうすると、その方は実際に投票権持っていただいていいじゃないかと思われる方は事実上入っているという恐らく実態があると思われます。
歴史的な経緯の中である話でありますので、私の一存で間違いなくすぐ変えますとは申し上げられませんが、しかし、そういったところをちゃんと実態を踏まえた形でやらないと、訴訟も起きていますし、いろんな矛盾が大きくなって、当事者の皆さん始め成年後見制度に対する信頼も失われかねないと思いますので、御指摘を踏まえた検討には私の責任で入ることを約束させていただきます。
○谷合正明君 終わります。