○谷合正明君 公明党の谷合です。
PFI法の改正案につきまして質問させていただきます。
この改正案に、民間事業者による提案制度の導入が盛り込まれております。これはこれで結構なことだと思っておりますが、法律の第五条の二の二に、提案を受けた公共施設等の管理者等は、当該提案について検討を加え、遅滞なく、その結果を通知しなければならないという項目がありまして、新たに地方公共団体にそうしたいわゆる事務負担といいましょうか、ものがあります。これは、全国町村議会議長会から、この導入については回答義務を見直すような意見も出されているわけでありますが、こうした声というのは恐らく、これまでPFI法をやってこなかったような小規模自治体等が新たに提案制度を導入されて遅滞なくその結果を通知しなきゃならないといったときに、どう対応していいのか分からないといったような声だと思います。
そのように小規模な地方公共団体あるいは今回の東北大震災で大きな被害を受けたような被災自治体に対して、どのような配慮があるのか、まずその点についてお聞かせください。
○国務大臣(蓮舫君) お答えいたします。
民間事業者による提案制度につきましては、これまでのPFI事業は行政の発意により実施されていることを考えますと、民間の発意によってもPFI事業を実施することによって更にその推進を図っていきたいと考えており、設けているところでございます。
五条の二でございますが、これは検討期限を法律で定めているものではなくて、提案内容あるいは自治体の体制に応じて、検討に要する時間についてもこれは差が生じるものとは考えておりますが、小規模地方公共団体あるいは震災により大きな被害を受けた自治体において、どのようにやっていいのか分からないという声が上がってくること等も想定されますので、地方自治体に対しては実務経験者を派遣したり、地方自治体からの問合せに答える窓口を内閣府に設置したりすることも予定しておりまして、PFI事業を実施したことのない自治体に対しても国として支援をしてまいりたいと考えています。
○谷合正明君 それは今回の震災で被害を受けたような自治体なども含まれるということで考えてよろしいんでしょうか。
○政府参考人(小橋雅明君) 当然含まれると考えております。
○谷合正明君 その五条の二の二で、遅滞なくその結果を通知しなければならないといったときの、その遅滞なくという考え方は、そんなにすぐに結果を出さなきゃいけませんよというようなものでもないということだと思うんですが、ただ、一方で、県とか政令市みたいなしっかりとした自治体もあるわけでありまして、提案した民間事業者にとりますと、せっかく本文に遅滞なくって書いてあるのにここはどうなっているんだということにもなりかねないとは思うんですが、その辺の曖昧な解釈だとちょっと困るんじゃないかと思いますが。
○国務大臣(蓮舫君) まさに発案をして提案をしてPFI事業をしたいと考えている民間事業者にとっては、一日も早くその結果を知りたいというのは、これは委員御指摘のとおりかとは思いますが、この五条の二においては、その検討期限を遅滞なくというか短くということではなくて、検討は自治体においてしっかりしていただく、その検討結果がまとまった結果を遅滞なく事業者に報告するということでございます。
○谷合正明君 ちょっと分かりづらいんですけれども、そういうことがしっかりその民間事業者あるいは地方自治体に伝わっているのかどうか、伝わるのかどうかというところがまず心配するわけでありますが。
今の質問のところとも関連するわけですが、これまでのPFIの利用実績が、午前中の委員会のやり取りの中でも明らかになったとおり、約五兆円のうち八割が地方公共団体だけれども、しかし、実際その八割の地方公共団体といっても、恐らくやっているのが百六十……、済みません、数は忘れましたけれども、一割にも満たないような自治体しかやっていないと。九割以上の自治体がやったことがありませんということでございました。この理由としては、法律の問題というよりは運用上の問題が大きく足かせとなっているのではないかという反省もこれまでいろいろなところで検証されてきた結果だと思います。
そこで、改めて手続の簡素化といった運用面の改善、そして、PFIにいきなり飛ぶというよりは、まず総合評価方式の入札制度なんかがまだまだ導入されていない、いきなりPFIにも行けないといった声もありまして、手続の簡素化であるとか総合評価方式の入札であるとか、そういった推進についてどのような検討がなされているのか、その点についてお聞かせください。
○政府参考人(小橋雅明君) 先ほど先生から御指摘いただきました提案制度の関係については、今後は我々の方で、民間の方々それから地方公共団体の方々に説明会を開く等で周知をしてまいりたいと思っております。
もう一つの御質問の件でございますけれども、現在のPFIの選定手続やそれから総合評価方式の運用については、地方公共団体からも、小規模な事業やそれから技術的な工夫の余地が余りないものについても手続が非常に複雑なものと同じようになっていて手続が非常に過大であり、コストと時間が掛かり過ぎると、そういった御意見があるということは承知しております。そういった小規模な事業やあるいは急を要する特段の事情のある事業については、適切な手続を確保しつつも、事業選定の簡素化やそれから総合評価の評価項目の合理化などが図れないか、現在検討しているところでございます。
○谷合正明君 検討中ということでありますが、もう一つ、この法案を説明を受けているときに三月十一日の震災がありまして、この震災を受けて、この被災地の復興におけるPFIの活用ということの資料もいただきました。実際にすぐに、今年、まあいつか分かりませんけれども、たちまちこのPFIが復興に使われるのかどうかというと、なかなか私、ちょっとすぐにとは考えにくいのではないかなとは思うんですが、しかしながらこのPFIを活用していくといったときに、東北の被災自治体、まあ県とかだったら過去実績はあると思うんですが、先ほど言ったとおりPFIをやったことがないような、実績のないような自治体も多く含まれると思いますが、こういう自治体でどのようにこれを、PFIを活用し得るのかといったところで、どういったこの緩和であるとか措置、運用面の改善を考えていらっしゃるのか、もう一度聞かせていただきたいと思います。
○政府参考人(小橋雅明君) この震災の対策といたしまして、午前中大臣の方からもPFIの活用について説明させていただきましたけれども、この震災により行政機能が低下している被災地の地方公共団体においてPFIの活用が可能となると。被災地の復興にも寄与するよう我々といたしましても、事業者選定等のこの手続の簡素化をとにかく速やかに進めて、こういったことができるということを被災地の地方公共団体の方々に周知してまいりたいと思っております。
○谷合正明君 関連するような質問ですけれども、先ほど大臣が、今後、アドバイスをするような仕組み、地方公共団体にいろいろな支援をしていきたいというような話を冒頭のところで答弁されました。それに関連するんですけれども、総括的にこのPFI事業に容易に取り組めない地方公共団体又は民間事業者に対して専門的なアドバイスをするPFI推進の支援機関を創設すべきではないかというような提言されているところもございます。
各自治体におけるPFIの活用のノウハウが蓄積、継承されるような体制整備であるとか、また、自治体の中で先進的な取組の実績とかノウハウのある職員をネットワーク化して派遣していくとか、そんなことも考えられ得ると思いますが、こうしたPFI推進のための支援機関の創設についてどのように考えられておりますでしょうか。
○国務大臣(蓮舫君) 既にお認めをいただいた予算の中では、ワンストップサービスとして地方公共団体の支援体制の充実を図るための経費、これは専門家を窓口に配置をします。相談に乗らせていただく、あるいはその専門家を実際に派遣をして事業地で指導を行う体制を整備するというのはお認めをいただいているんですが、他方、委員の御提案のように、組織化できないかというこの考え方もあると思うんですが、ただ、行政のスリム化との観点から、どういう考え方、どういう在り方がいいのか。この予算を活用しながら実際に地方自治体に対する支援を進めて、その過程で考えていきたいとは思っております。
○谷合正明君 いずれにしても、そういうことを、内閣府がこれ所管でございますので、むしろそういったことの責任が、責任というか何というんですか、この支援をどうあるべきかということは、やはり内閣府の方でしっかりと検討していただかなければほかの省庁では検討がなかなか進まないでしょうから、内閣府の方でしっかりとやっていただきたいと思っております。
そこで、もう一つ、改正法案の中に入っておりますが、民間事業者における提案ですね。その提案はいいんですけれども、提案しっ放しで何の見返りもないのかというような懸念も聞かれるわけであります。このPFIで最も活用されるべき民間の力というのは創意工夫だと、この創意工夫が大事なんだという声もたくさんあります。しかしながら、過去十年以上やってきているPFIの中では、民間のノウハウや創意工夫が十分に活用されていないといった結果であろうと思います。
そこで、なぜこういうことになってきているかの一つの弊害として、民間の提案、このインセンティブがないと、仮に入札前に民間が優秀な提案をしても事業者選定の審査の際に優先的な考慮がなされてこないとなると、なかなか積極的に提案しないんじゃないかというような声がございまして、そこで、事業者選定の際に優れた発案に対しては事業者選定の際に加点評価するような仕組みを設けるべきではないかというふうに思うわけでありますが、いかがでございますでしょうか。
○国務大臣(蓮舫君) PFIは低コストで質の高い公共サービスを可能とするための手法でありますので、やはりその民間事業者の選定に当たっては、コストやサービスの質などにより客観的な評価を行う必要性があると考えています。
PFI事業を提案した事業者であったとしましても、事業者選定において特段の優遇規定は設けておりません。価格及びサービスの質に特化をしたその観点から、公平、透明に事業者選定を行うことが結果的に効率的、効果的なサービスの提供を可能にするものと考えております。
○谷合正明君 実は、昨日私はレクを受けていたんですけれども、何か加点の仕組みなんかを検討しているやに聞いたんですが、今の話だと全くインセンティブはありませんという話なんですが、どうなんでしょうか、全くないんでしょうか。
○政府参考人(小橋雅明君) 今の制度上はそういった仕組みにはならないんですけれども、運営上は、例えばそういった提案される方ですから経験もありますし、技術もあるといったことは十分あり得ると思いますので、そういった場合は、事実上そこに加点されるといったことは十分あり得ると思っております。
○谷合正明君 事実上加点されることはあり得るということでございますが、若干、今私は大臣の答弁を聞いて、昨日問取りに来られた方のちょっと説明と方向性が違ったものですから、改めて確認させていただきました。この創意工夫というのが民間の力の最大限のものであるということをまず認識していただきたいというふうに思います。
それでは、コンセッション方式、公共施設等の運営権の話でございますが、これを創設する意義、また活用の見通しについてお聞かせください。午前中もそういう話がありましたが、なかなか関空以外の話は聞かないものですので、実際にその活用の見通しどうなっているんだと。また、これまで少なかったと言われる独立採算型の方式でありますけれども、これが本当に増加するのかといったことを、その見通し含めて答弁していただきたいと思いますが。
○国務大臣(蓮舫君) 委員御指摘のとおり、これまでのPFI事業を見ますと、サービス購入型がほぼ大半を占めておりまして、独立採算型については活用がなかなか進んでいない。これまで我が国で実施されたPFI事業は全部で三百七十五件ございますが、そのうち独立採算型は僅か十六件、全体の四%にとどまっております。その背景として、独立採算型によるPFI事業は民間事業者が得ることとなる収益がこれ不確実であるということから、金融機関からの円滑な資金調達が容易ではないという課題を抱えていることが挙げられました。
そこで、今回御審議いただいている法案によりましてコンセッション、運営権制度を導入することで抵当権の設定を可能とすることによりまして、事業者の資金調達の円滑化、ひいては独立採算型のPFI事業の推進が図られるものと考えております。委員御指摘の関西国際空港、これが独立採算型事業として今後PFIとして進んでいくのではないか、あるいは市町村の水道事業においても運営権の活用が検討されていくということも聞いております。
○谷合正明君 資金調達が容易になるということでこれまでの懸念が一つ解消されるということでありますけれども、たとえ容易になったとしても、例えば外的要因による需要の不確実性があったりして民間にとっては長期の収益予測あるいはリスク評価というのが困難であるというような見方もありまして、本当に希望する民間業者というのは独立採算型が増加するほどあるのかどうかといったところをちょっと懸念しているわけですけれども、いかがでございますか。
○政府参考人(小橋雅明君) 先生御指摘のとおり、独立採算型、いろんなタイプにもよりますし、個別事業にもよると思うんですけれども、ハイリスク・ハイリターンというものとか、あるいはローリスク・ローリターンのものとかいろいろあると思います。
民間の方から見れば、事業者から見ればそういう話なんですけれども、これはあくまでも、まず金融機関からじゃお金を借りるときにどうなのかと、じゃ金融機関がどう見るのかといったときに、この抵当権が付けられるということで従来よりも金融をしやすくなると、そういった話でありますので、事業そのもののリスクはもちろんその事業者の方でどう判断されるのかということだと思います。
○谷合正明君 事業そのものの最終的な判断は民間業者だという話だということで承りましたけれども、最後にこのコンセッションの関係で聞きますと、利用者負担が、料金設定が民間事業者によって決められるということになると、利用者負担が極端に増加するようなことはないのかといった懸念の声も聞かれるわけでございます。公共部門の財政負担を軽減することに重点が置かれているというわけですが、一方でそれが逆に利用者負担に跳ね返ることはないのかと、不利益を被らないのかといったことを心配する声もあるわけですね。
賃貸住宅なんかの、今回新たに入るということでありますが、賃貸の価格は誰が決めるか分かりませんけれども、今回、改めてコンセッション方式を導入することによって利用者が不利益を被らないような制度的な担保が必要ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○政府参考人(小橋雅明君) 先生の御指摘の点は、我々も全く考え方を共有しております。公共サービスという観点から運営権が設定されたとしても、その料金が高額に設定されないようにする必要があると、そういうことは考えております。
このために、今回の改正法案におきましては、PFI事業を発注する行政が、まず実施方針において利用料金の基本的な枠組み、例えば上限を設けるとかあるいは幅を設けるとか、そういったことを定めた上で、その枠組みの範囲内で民間事業者が利用料金を設定して届出を行うと、そういったつくりになっております。
運営開始後に今度は不適正な利用料金となっている場合には、行政は民間事業者に対してまず報告を求めたりとか、あるいはその改善の指示を行い、さらに問題がある場合には運営権の取消しを行うということも可能だと、そういったつくりになっておりますが、このような運営開始前それから開始後の双方における措置によりまして利用料金の適正化が図られるものと考えております。そういったことを踏まえて制度の適正な運営を図ってまいりたいと思っております。
○谷合正明君 終わります。