○谷合正明君 公明党の谷合です。
内閣委員会では、官房長官、震災後初めてこの委員会に来ていただくことになりました。この間の一か月間、約一か月間ですね、官邸の前線で指揮を執られたということで、大変お疲れさまでございます。
その上で、まず冒頭に聞かせていただきたいのは、これまでの政府の震災対応と原発事故対応をどう振り返っておられるのか。各紙一部で世論調査も行われております。原発事故対応では六割の方が納得しないといったような厳しい指摘もある中で、官房長官御自身としてはどう振り返っておられるのか、まず率直な御感想をお聞かせください。
○国務大臣(枝野幸男君) この一か月余り、私に限らず、そして政務に限らず、自衛隊の皆さん、警察、海上保安庁、消防という現場の皆さんやそれ以外も含めて、国を挙げて、政府を挙げてこの二つの対応に努力をしてまいりました。
私どもとしては全力を挙げてベストを尽くしてきたというふうに思っておりますが、一方で、現実に震災による被災をされている皆さん、あるいは原発による様々な影響を受けていらっしゃる皆さん、現に多大な御苦労を余儀なくされているわけでございまして、必ずしも私どもの全力の努力が十分な成果につながっていないのではないかという御批判があることはある意味当然だというふうに思っておりますし、そうした声に真摯に耳を傾けながら更に最善を尽くしてまいりたいというふうに思っております。
○谷合正明君 被災者の尊厳がしっかり守られているのかどうか。
この一か月たって、通常であれば避難所から仮設住宅なり別の施設に避難できるということなんでしょうけれども、今回の東日本大震災では、現時点においても多くの被災者の方が不自由な生活を余儀なくされておると。私も、本当にこれが先進国日本の姿なのだろうかという思いを率直に持っております。
岩手県の避難所では、その避難されている方々が裏山に穴を掘って、そこにビニール袋を敷いて用を足していると。そこでボランティア活動をされている女性の方は、便が透けて見えないよう、せめて透明でなく黒いビニール袋を送ってほしいと、でないと一日一日、人間の尊厳がそぎ落とされていくというように述懐されておりますし、一体この一か月の間でいわゆる二次被害というような形で何人の方が命を犠牲になられたのかということをもっと真摯に受け止めなければ私はならないと思います。
そういう状況の中で、どうして総理大臣から、例えば昨日、一昨日なんでしょうか、松本参与とのやり取りの中で、まあ事実関係ははっきりしませんけれども、少なくとも官邸サイドから、十年、二十年は住めないというような情報が出てくるというような始末でございます。
私自身は、議員になる前は難民キャンプ等でそういう支援活動をしてまいりましたけれども、まず第一に今日の生活とそして明日の希望がこういう方々には必要だろうという、体験的に感じてまいりました。
今日、復興構想会議をまさに今やっているんでしょうか。この中でエコタウン構想なんかが出てくるのかもしれませんが、それは結構かもしれません、明日の希望として示していただきたいと思いますけれども。しかし、その前にまず今日の生活がどうなっているのかという、避難者の方が今どういう状況に置かれているのか、自宅で避難されている方の食料の調達であったりとか、避難所であればプライバシーの確保であるとか、あるいはほかにもトイレの環境であるとか、様々なきめ細やかな対応というものがもっともっと求められているんだと思います。
私は、政府がまずやるべきことは、その被災者の目線に立ってきめ細やかな対応をまず全力でやらなけりゃならないということだと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(枝野幸男君) 御指摘のとおり、避難をされている皆さん、御指摘いただいたトイレの問題を始めとして、高齢者の方あるいは御病気の方にとっての医療、保健の問題、あるいは小さなお子さんをお抱えになっていらっしゃいますと、子育てあるいは授乳とかおむつとかの問題、本当に生活と密着したところで長期にわたる避難生活の中で大変な厳しい中で避難をされているという状況については、一刻も早くそうした状況を解消をしていかなければならないというふうに思っております。
政府としては、原子力災害対策本部の下に、これは会議体を幾つつくるのだという御批判もありますが、こうしたまさに生活と密着した避難者の皆さんの生活支援のための特別本部を組みまして、これに関係する各省からよりすぐりのメンバーを集めて、実際に個々の一番小さな避難所レベルまでできるだけ直接目を行き届かせることがしたいという思いの中で、県や市町村とも連携をしてこの間努力をしてきているところでございます。
ある部分については改善がなされているかと思っておりますが、その一方で、大変広域にわたっている地域の中で、避難所においては今御指摘をいただいたような最低限のところの確保ができていないところがまだまだ少なからずあるということは大変申し訳なく思っておりますし、ここは、松本本部長を始めこの生活支援の本部は復興の会議が始まったからといって小さくするわけでも力を弱めるわけでもございません。一層の努力をして、まずは最低限の生活そして最低限の復旧ということの努力が最優先でなされると。それと同時に次に向けた希望についての歩を歩み出したと、こういう位置付けでございますので、更に努力をしてまいりたいと思っております。
○谷合正明君 声なき声をしっかり私どもはキャッチをしていかなければならないとともに、小さな避難所でも、本当に避難所となっていないような地域でも、しっかりと私たちが、どうなっているのかということをきっちり把握していかなければならない、これは当然でございます。
ところが、小さいわけでもない避難所も、じゃ現状どうなっているのかといっても、まあ一部は改善されているかもしれませんが、改善されていない部分もあるんですね。
例えば郡山市のビッグパレットふくしまには、富岡町や川内村などから役場機能ごと避難された方が約二千人いらっしゃると思います。これが、震災から一か月たった四月十一日に我が党の対策本部長である井上幹事長が視察をしたときには、大きなところに二千人の方が、要するに段ボールを住民の方が自ら使ってプライバシーのための仕切りをやっているような状況であったと。まずもってプライバシーの保護のためにパーティションであるとか、そうしたことは当然なされるべきだと思いますが、現時点でどうなっておるんでしょうか。
○政府参考人(小田克起君) ビッグパレットふくしまがございます福島県からは三月の十九日にパーティション一万枚の要望がございました。これにつきましては、三月の二十四日に県が置いておられます支援物資集積拠点までの配送は済んでございます。それからまた、四月六日には更に追加で四千枚の御要望がございました。これにつきましても、四月十六日到着予定ということで手配を行っております。
以上でございます。
○谷合正明君 要するに、現時点では届いていないということなんですか、現場には。要するに、言わば現場に届いていない部分が結構多いわけですね。これはビッグパレットふくしまに限った話じゃなくて、ほかの避難所にも当てはまる話でございます。
これは、地元からの要請を待つだけでは私は不十分だと思います。ニーズをしっかり把握していく、キャッチしていくというやり取りをしていかないと、いつまでたっても地元からの要請がないとかいう話になってきて、私は、結局のところ、それが一番の被災者目線から外れてしまっている部分に行き当たるんだと思います。その意味で、先ほど月日の話は答弁いただきましたけれども、しっかりとやっていただきたい。何のために総理大臣が現地に視察をしているのか、このことも意味を十分しっかりとらえていただきたいというふうに思います。
今、被災者の方が、被災地の生活状況の改善という中で、一番今当面の生活資金の確保ということが生活相談にもたくさん上がってきております。現実に、いろんな法律相談で現地に行っていらっしゃる方も、多くの被災者の方から当面の生活資金を、手だてを何とかしてほしいと、今日の生活、明日の生活の資金だということなんですね。
ところが、政府には様々な法制度があるにもかかわらず、まだ現実において被災者の方にその資金が渡っていないんではないか。もう少し官邸が努力をして、政府の努力でいち早く行き渡るような取組をもっともっとしていただきたいんですけれども、今何をされているんでしょう、どういう状況なんでしょうか。官房長官。
○国務大臣(枝野幸男君) 政府全体としては、一時的な貸付制度十万円、原則十万円、それから、ある条件が付けば二十万という無担保のもの、そして被災者の生活支援のものと様々幾つかのやり方があります。それぞれについて、平時における予定されている手続等を必ずしも、もちろん法律ですから守らなきゃいけないわけでありますが、それにとらわれることなくできるだけ柔軟に早期にそうしたお金が被災者の手元に行くようにということで、これは生活者支援本部を中心に、もし制度的な問題があればそのことについてもしっかりと対応できるようにということを含めて、各省集まって対応を進めてきていただいているところでございます。
残念ながら、まだまだ現場の皆さんにそうした趣旨とかお金とかが届いていないという状況はございます。これは一つには、先ほどのお答えとも関連するんですが、基本的な制度は、国から県に、県から市町村に、市町村から住民の皆さんにということで制度が基本的には組み立てられているわけでありますが、かなりの地域のところでその市町村の機能が残念ながら災害そのもので失われている、それをバックアップする県の方もかなりの部分のところが被災をされているということで、県本来の機能と、それから役場機能が大きく喪失している市町村のバックアップと併せてなかなか十分に機能していないと。
できるだけその部分のところを国から人を送ることを含めて、あるいは市長会等の御協力もいただいて他の被災地以外の自治体の職員の皆さんに応援に入っていただいて等のこともしておりますが、まだまだ十分でなく、特に現場の住民の皆さんに直接というところが行き渡っていないということはもう御指摘のとおりでございまして、制度を柔軟に運用することと含めて、その両面で更に努力をしてまいりたいと思っております。
○谷合正明君 被災者の方にとってみると、その制度が国の制度であろうが県の制度であろうが市町村の制度であろうが、その自治事務がどうであるかという仕組みはどうでもいいわけですね。いち早くいただきたいという状況が生まれているわけでございます。
例えば、被災者生活再建支援法の基礎支援金はいつ支給されるのか。あるいは原子力損害賠償法による仮払い的な補償金、これ今報道ありますけれども、これいつ出てくるのか、幾ら出てくるのか。あるいはこの義援金、これもまず一次配分という話もありますけれども、この義援金の一次配分、いつ手元に来るのか。災害弔慰金、様々ありますけれども、こうしたものをいつまでに幾ら支給できるのかということが現地では答えられないんですね。現地の避難所でコーディネーターやっているような自治体の職員の方も板挟みに遭っちゃっている。これでは本当余りにも酷です。いち早くこうしたことを明示的にスケジュールをお示しいただきたいんですけれども、どうなっていますか、今申し上げたその各種制度。
○政府参考人(小田克起君) まず、被災者生活再建支援金について、私どもの方で所掌しておりますので御説明をいたします。
この支援金につきましては、申請があれば速やかに支給できるように今事務処理方法の改善等に取り組んでおります。この支援金の支給のためには、その前提として、住家、家に関する被害認定というものが必要となってまいりますが、ここにつきましては手続の簡素化等を行っております。
例えば、津波により流失した住宅につきましては、航空写真や衛星写真を活用して、それで全壊と判定できるというふうな方法を導入してございます。また、津波浸水区域の四隅に立地する住宅のサンプル調査によりまして、津波によりおおむね一階天井まで浸水したことが一見して明らかな区域につきましては、その区域内の住宅全てを全壊と判定できるといった方法も取ってございます。また、津波により地域全体が壊滅的被害を受けたような場合で長期避難世帯に該当する場合には、罹災証明、この支援金の支給に必要なんでございますけれども、この罹災証明書がなくとも支援金が支給できると、そういった簡便な方法を取って市町村の手続が早く進むようにという努力をしているところでございます。
○谷合正明君 被災者生活再建支援法の基礎支援金は現実に今もう実行されているんですか。支給されている実績はあるんですか。
○政府参考人(小田克起君) まだ支給された実績はございません。
○谷合正明君 そこですね、じゃ、いつできるんですか。もう申請されている方がいらっしゃるとすれば、今月中に出るんですか。
○政府参考人(小田克起君) 申請は来ております。できるだけ早く支給できるように、今のような手続等の簡素化あるいは事務処理体制の強化に取り組んでまいります。
○谷合正明君 それは四月、ゴールデンウイーク前にできるんですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 少なくともゴールデンウイーク前には、早い段階で申請をされてきた方については、もちろん審査は一定程度はしなきゃいけませんので、全員というわけにはいかないかもしれませんが、とにかく問題なく支給できる方について、早い方についてはゴールデンウイーク前に支給させるように強く指示をいたします。
○谷合正明君 もう一つ、被災者生活再建支援法の対象にならない、先ほども質問にありました、自然災害とは違った形で避難されている方に対して原子力損害賠償法による仮払い的な基礎支援金、これも同時期に、あるいはこの金額も基礎支援金に合わせて百万円ということなんでしょうか。これ同じ時期で金額も同額にやっていくということなんですか。
○国務大臣(枝野幸男君) これは、先ほどもお答えいたしましたが、東京電力に仮払いをさせるというスキームでございますが、事実上、強く東京電力に対しては、同じレベルで、つまり避難をされている方、一家で百万円ということで仮払いをする方向で強く指示をしておりますし、なおかつそれについても、今の生活支援のスキームがゴールデンウイーク前にというのが目標でございますので、それは共有を従来からしておりますので、そうした目標でするようにということは東京電力に対して強く求めているところでございますし、またそれが実現できるよう、政府としてできる協力といいますか、政府としてできる部分のところについては最大限やってまいりたいと思っております。
○谷合正明君 それでは、その三十キロ以内じゃなくて、三十キロ圏外で自主的に避難されているような方もその原子力損害賠償法による仮払補償金の対象にしていくわけですか。今回、計画的避難区域とかいろいろ、緊急時避難準備区域だとか新たに設けられたようでございますけれども、そうした二つの地域、あるいはそれ以外の地域もありますよね、いわき市でも今回除外されたような地域があります。このような対象の範囲については今議論中なんですか、検討中なんですか。
○国務大臣(枝野幸男君) まず、三十キロ圏内については、全ての世帯を対象とするということで詰めております。それから、三十キロより外側については、今方針を示して今後指定をされることで調整をしております計画的避難区域の対象になる地域、ここは指定をされれば同時にその対象になるということで想定をしております。
○谷合正明君 もう時間がありませんので最後に聞きますけれども、今回の計画的避難区域と緊急時避難準備区域の設定がありました。この区域で、例えば川俣町とか南相馬市ではこの一部の地域が該当するとか、今のは計画的避難区域です、田村市と南相馬市では緊急時避難準備区域がこれは一部が相当すると。これは数日のうちに明らかになるだろうというふうに官房長官が言われておりますけれども、この数日というのが、もう数日たっているかと思うんですが、これがどうなっているのか。また、地元の自治体からは、政府のしかるべき責任者の方が直接現地に行って説明しなければらちが明かないという要望があるわけですね。この点についてどういうふうに説明を今後されていくのか、併せて答弁していただけますか。
○国務大臣(枝野幸男君) 特に新たに指定がされる地域につきましては、日曜日に福山官房副長官、それから松下経産副大臣始め、実際現地に赴きまして、関係する首長さんとまとまった時間、政府としての考え方やその理由、それから政府としてできる対応等について御説明をしてまいりました。さらにその後も、そうした意味では政務は、電話等によってでございますが、首長さんとこの間連絡も取らせていただいているところでございます。
実務的に、例えば牛をどうするのかとか、そうしたことについては、現地で、事務レベルも含めてそれぞれの役所としっかりと連絡、連携を取って、地域の事情やそれぞれの御要望、安全の範囲の中でどこまでその御要望にこたえられるのかということを調整をしているところでございまして、その数日という範囲をそろそろ超えそうではないかという御指摘もあろうかと思いますが、もちろん、安全という見地を絶対に忘れてはいけないわけでありますが、そうした調整を十分に踏まえて、避難をしていただくにしても、生活に与える影響を少しでも小さくする、あるいは将来戻ってきていただいたときの地域の復興との関係、しっかりつながるようにしていく、こうしたことについては、しかるべきレベルの政務にとどまらず、政務と事務と両レベルでより一層の密接な連携をしていきたいと思っておりますし、またそれを受け止める側の体制もこの間日々強化をしながらやっているところでございまして、できるだけ早くそうした調整が済んで具体的なオペレーションに進んでまいりたいというふうに思っております。
○谷合正明君 終わりますけれども、一段の丁寧さが求められると、これは玄葉国家戦略担当大臣がそういうふうに苦言を呈されているほどでございます。当初は、官房長官、もう少し整理された上で発表したかったというふうに述べられているんですけれども、結果的に、何か十一日に発表してからどんどん時間が過ぎてしまって、住民の不安だけが渦巻いているというような状況になりはしないかということを懸念しております。
いずれにしても、そうしたことをしっかりと配慮していただきながら事を進めていただきたいと思います。
質問を終わります。