○谷合正明君 公明党の谷合です。
一括交付金化は、補助金制度改革の第一歩として、国により使途が限定されている財源から地方の自由度が拡大することにつながるということを前提に、その方向性には理解しております。地方分権という流れを理解し、賛成の立場に立たせていただいております。
しかし、その手段、そして将来像につきましてはいささか不明なところがございます。今も話がありましたが、例えば来年以降、市町村向けのものをどうしていくのかとか、あるいは経常関係のものをどのように広げていくのか、客観的指標についてはどうするのか、さらに、今話題になりましたけれども、地震の被害の規模の大きさ、また公益性をどうとらえていくのかといったところがあろうかと思います。
まず初めに、今後の補助金の一括交付金化に当たりまして、今も話がありましたが、補助金総額の削減手段になるとの疑念を持たれることがないようにしていくことが大事ではないかと、適正な執行に必要な予算を確保していくことが求められるわけでありますが、この点について答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(片山善博君) これはもうあくまでも自治体の事業選択の自由度を拡大するということが趣旨でありまして、決して国庫の財源を捻出するための手法ではありません。そういう意見が全くないわけではありませんでしたけれども、この度、一括交付金化をつくるに当たりまして、それは担当大臣として閣内でもきちっとそのことは明確にして、総理始め各大臣の理解を共有したところであります。これは今後ともその方針は続けていきたいと思います。
ただ、毎年毎年のこれは予算で決めますので、やっぱり査定というのはあります。これは全く査定なしで、政党交付金のようにもう金額が査定を経なくても決まってしまうというふうな仕組みではありませんので、これは、この一括交付金も、それから残っている一般の補助金も、それから直轄事業も含めて、毎年の査定というのがありますので、そういうバランスの中で論じられるべき点は、要素はあるだろうと思います。
○谷合正明君 将来像について伺いますが、到達点というものが、明確なものが固まっているかどうかは別として、将来像に向けて、今回の一括交付金化はどの程度のものなのか。先ほど、そば屋がレストランぐらいになったというような話がありましたけれども、今後、一括交付金化を段階的に拡大していくということにとどまるのか、あるいは地方の自主財源拡充まで見据えているのか。衆議院の議論の中では、税源移譲については現段階で決めていないというような答弁もあったようでございますが、この将来像について、レストランから更にどういったところに持っていきたいのか、ちょっと御見解をお聞かせください。
○国務大臣(片山善博君) これは、必ずしも大方、みんなが共通の到達点というものをイメージとして共有してまだいないと思います。無責任な言い方をするわけではありませんけれども、これをやりながらやはり考えるという面があると私は思います。
今回やりましたのは、これまで各省が縦割りで持っていた補助金、この縦割りの中でがんじがらめになっていた補助金を幾つかの省から持ち寄ってもらいました。供出してもらいました。大口を供出していただいたのが国交省と農水省でありまして、あと文科省とか環境省もありましたし、それから総務省もありましたし、幾つかの省が持ち寄りました。警察庁もありました。今回は取りあえずその持ち寄った範囲内のメニューにしようと。せっかく持ち寄ったんだから、持ち寄った範囲内で、その範囲内で使えるようにしようということにしております。
実はここで一つ議論がありまして、持ち寄らない事業にも使えるようにしたらいいんじゃないかと、ハード事業ならばというような意見もありますが、今回は各省の協力もありましたので持ち寄った範囲内で使おうということにしております。これを、当初はそうであっても、次は持ち寄っていない、要するに今までの補助事業にないハード事業、それにも拡大をしたらどうかという意見もありますし、都道府県の中からはそういう意見も現にもう出ておりまして、これが次のステップとしての議論になるだろうと思います。これも大いに議論が私はあるんだろうと思います。賛否いろんな議論があるんだろうと思います。それを一度克服しなければいけない。そうやって一つ一つ乗り越えていくということだろうと思います。
当面は市町村、これから市町村に拡大しますので、これ市町村に拡大するのはまた非常に難題、課題があります。都道府県ほど粒がそろっていないと言うとちょっと言い方が変ですけれども、人口なんかも随分違いますし、市町村は規模も違いますから、それから都市的なところと農村的なところとあって、非常に都道府県よりももっと難しい問題もありますので、そういうものもこれから一年掛けて検討しながら克服していきたい、一つ一つステップ・バイ・ステップでやっていきたいと思っております。
○谷合正明君 一年掛けてと言われましたけれども、もう既に概算要求も、来年ですね、さらに二十四年度の話も考えていかなきゃいけないということも考えていくと、市町村のものであるとか客観的指標であるとか、ここが本当に私は重要な課題だと思っておりますので、是非慎重にやっていただきたいと思います。
時間が、残りありますので、もう一つ。
地方の自由度を高めると、地方にできることは地方に委ねていくという考えの中で民主党さんもマニフェストを掲げられてきたと思います。
先ほど、いわゆる人件費だとか経費の削減がどれだけやったのかという宮沢先生の質問がありましたが、ちょっと別の質問なんですが、地方の出先機関ですね、これは原則廃止していくということを常々言われているんですけれども、今回の一括交付金化で地方の出先機関というのはこれは廃止していくということなんでしょうか。どういう関係があるんでしょうか。
○国務大臣(片山善博君) 全く関係ないわけではありません。しかし、一括交付金化することによって、そのことによって直ちに廃止になるというものでもありません。
実情を申し上げますと、県が補助事業、例えば道路事業とか河川事業をやる場合にはどうしていたかといいますと、この箇所で道路事業をやりたいといったときに国交省に補助金の申請をするんですけれども、その際に、例えば私がいた鳥取県ですと、広島にあります中国地方整備局にそのことの申請をします。そこで事前にこの計画が採択されるかどうかということでかなり折衝があります。その上で、今度はいわゆる本省というところに舞台が移りまして、今度はそこに大きな事業ですと陳情に行っていました。その部分がなくなります、これからは、これが一括交付金化しますと。もちろん、まだ残った補助金もありますから、残っている補助金がありますから、全くその作業はなくなるわけではありませんけれども、少なくともこの五千百二十億円の範囲内ではそういう作業はなくなります。
ということは、一つは、先ほどの広島の地方整備局の担当者の仕事はかなり減ります。ただ、もちろん最終的に、先ほど宮沢議員とのやり取りでありましたように、道路事業をやるということになりましたら、一括交付金の中で道路事業を優先的にやるということになりましたら、道路構造令なりなんなりの規則に従わなきゃいけませんから、若干の調整はありますから全くなくなるわけではありませんけれども、今まで一番重要だった部分がなくなりますから、出先機関の仕事はある程度軽減されます。本省の仕事も軽減されます。それから県の仕事も大幅に軽減されます。もうあっち行ったりこっち行ったりする必要もなくなりますから、届け出るだけでいいということですから。
したがって、今回の一括交付金化は、今申し上げたような本省にも国の出先機関にも都道府県にも事務の軽減がある程度進行すると。ただし、だからといって全部これが、出先機関がこのことによってなくなるというものではなくて、現状ではまだ出先機関の仕事は残ります。
それを更に出先機関改革によって進めようというのが昨年のアクション・プランによって決めました内容でありまして、それはブロック単位に、九州なら九州はもう全部九州広域行政機構というふうなところに移してしまおうというようなアイデアもありますし、それから、中国地方はたまたまそういうアイデアはありませんので、じゃ一級河川とか直轄道路は路線ごとに、また河川ごとに県が引き取りますか、引き受けますかという、こういう作業をしていくわけです。そうすると、どんどんどんどん鳥取県内の河川とか国道を県が引き受けるということになりますと、その分、広島の出先機関の仕事は大幅に減る、これを中国五県全部でやるとその分の仕事はなくなると、こんな手順をイメージしているところです。
○委員長(松井孝治君) 谷合正明君、時間になりました。
○谷合正明君 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。