○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
先ほどの自民党の松村先生に引き続きまして、事業仕分について私の方からも質問をいたします。
国会法三十九条についての議論が先ほどございました。先週では議運でもこの問題について各会派から意見表明があり、また政府の見解、また内閣法制局長官の見解も出されました。見解といっても違法か合法かという判断は下されませんでしたが。いずれにしても、先ほど、行政刷新会議は閣議決定はされておるということで法令上の根拠はそこでもうあるんだという話でありましたが、私もその閣議決定を軽いものと認識しているわけではありません。しかし、閣議決定と法律とを比べれば、それは当然法律にのっとってこの事業仕分のシステム、制度が位置付けられることの方が望ましい。
というのは、現在でもその事業仕分に参加している国会議員の法的な地位について、その正当性の問題が議論が惹起されているわけでありまして、その意味ではまず最初に、質問が重なりますが、国会法三十九条に照らし合わせまして、現在の行政刷新会議について法令上このままで十分だという認識でおられるのか、行政刷新担当大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(蓮舫君) まさに今委員御指摘のとおり、閣議決定というのは内閣法の第四条で「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」と定められていて、私もこれは非常に重いと思っています。
先ほど来、何度も繰り返して恐縮なんですけれども、行政刷新会議は内閣府設置法に基づく行政組織ではなく、評価者が官職に当たるものではないことから、国会法第三十九条との関係で問題が生じるものではないと考えておりますが、委員御指摘のように更にしっかりと法的根拠を持ってという御意見があることもよく私ども承知をしております。その部分では、我々は今回、政治主導確立法案等も提出をさしていただいております。
現段階でも憲法上も国会法上も問題があるとは考えておりませんが、より強力に行政監視を行うという考え方から、新たな法案は出さしていただいているところでございます。
〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
○谷合正明君 政治主導確立法案にまさに内閣府設置法のことが盛り込まれているわけでありますが、若干私の認識と違うのは、現在でも十分であるという、政治主導法案ができていなくても、現在でもこの行政刷新会議が十分法的な担保があるという考えにちょっと私は今のところ立てないわけですね。
というのは、やはり先ほどの議論の中で、その正当性でありますとか、行政刷新会議の下された判定結果にしましてもその信頼性でありますとか、そうしたことを考えますと、やはりこの法的な担保というものは必要であろうと思っております。恒久的にこの事業仕分ということを制度として位置付けていくとお考えであるのであれば、こうしたことはもう少し、甘く考えてはいけないのではないかと私は思っております。まずそのことを一点、指摘させていただきたいと思います。
二つ目に、個別の話になりますが、今回の第三弾の事業仕分の中で、特別会計の一つの事業としてジョブ・カード制度が廃止判定となりました。このジョブ・カード制度の普及促進事業とキャリア形成促進助成金が廃止判定になったわけですが、廃止判定の結果はこのジョブ・カードそのものを廃止せよと、ジョブ・カードそのものをいったん廃止して別の新たな枠組みをつくるという話にまで発展したんですね。
一方で、この六月に閣議決定された新成長戦略はこのジョブ・カードについて大きく取り上げて、その数的な目標も大きく、二〇二〇年までにその利用者数、登録者数をたしか三百万人だったと思いますが、に発展させていくと、さらには将来的には日本版のNVQという制度に発展させていきたいと。
この閣議決定までされた新成長戦略がわずか四か月後に、その閣議決定にサインされている大臣から廃止と意見表明されているというこの矛盾について両大臣にお伺いしたいと思います、どう受け止められておられるのか。
○国務大臣(玄葉光一郎君) ただいまジョブ・カードの御質問でありますけれども、ジョブ・カードというのはたしか自民党政権で導入をされたというふうに聞いております。谷合委員がおっしゃったとおり、新成長戦略でしっかりと位置付けられていることは事実でございます。
今回、蓮舫大臣の下で、行政刷新会議の下で仕分が行われて見直しをせよと、こういうお話であります。まだ正式な報告は実は聞いておりません。
ただ、私が推測するに、政策目的自体が否定されたわけではないと、どうも使い方が良くないと、あるいはその普及策について良くないのではないかと、こういう御指摘ではないかというふうに思っていまして、仮にそういうことであれば、これは所管の厚生労働大臣としっかり調整をし、検討をして、場合によってはジョブ・カードについて見直しをしていくということももちろんあり得るだろうというふうに思っています。
○国務大臣(蓮舫君) このジョブ・カード制度は、自公政権、安倍内閣のときに創設をされました。その目的は、私はすばらしいものだと思っております。これまで職業訓練というものになかなか巡り合うことのできなかったニート、フリーターの皆様方をどうやったら社会に参画していただけるんだろうか、その就業支援を支えるための一つの手段としてジョブ・カードという新しい形のものが取り入れられたのは、私はこの目的自体は仕分の結果でも否定はされていないと思っています。
ただ、これ、谷合委員も御存じかと思いますが、このジョブ・カード自体が現在の履歴書と比べて実はそんなに差がないですとか、あるいは予算執行率がここ数年見ましても五〇%程度でなかなか一〇〇%に達成をしない。このジョブ・カードの本来の目的は、仕事がない、オン・ザ・ジョブ・トレーニングをしたことがない方たちを支援するためのものであるにもかかわらず、どちらかというと企業のための助成金制度になっているのではないかという議論が行政刷新の事業仕分の中では行われました。
ジョブ・カードを廃止とは言いましたけれども、新成長戦略に基づいて、また、このジョブ・カード制度ができたときの理念に基づいて、より良い中身に変えた方が実際に仕事をしたいと思っておられる方たちの背中を後押しすることに我々はつながるという意味合いを持って事業仕分での提言とつながったと考えています。
○谷合正明君 分からないんですよ。その説明が今、両大臣からあって、五分ぐらい聞いてようやく廃止のその本意が伝わってくるわけですね。
いや、廃止というよりは見直しなんじゃないかなと、私、率直に思った次第です。廃止ということをやらないと何かメディアに取り上げられないから廃止としているんじゃないかなと思わせるような、事業仕分の結論ありきの判定ではないかなと私は思っているわけです。
今、蓮舫大臣が言われた内容はまさに見直しそのものだと私は思いますが、いかがですか。
○国務大臣(蓮舫君) 今のジョブ・カード制度の在り方は廃止の方がいいんではないかという意見の取りまとめでした。ただ、一時間においての議論を見て、その中のやり取りも意見具申として我々は行政刷新会議に上げたいと思っておりますが、今のジョブ・カードの制度が本当に中身がいいのかどうなのかは行政刷新会議でも議論をしたいと思っています。
○谷合正明君 このジョブ・カード廃止という結論が出た時点で、もう既にこのジョブ・カードの利用価値というのはほとんどなくなってくるわけですね。新しい制度ができるまで、ではどうするんですかと。国家戦略にこのジョブ・カード、盛り込まれておりますけれども、ジョブ・カードは、これは取りあえずまだ継続して使っていくということでよろしいんですか。
○国務大臣(玄葉光一郎君) 一言で申し上げれば、当面それは継続です。
ただ、今、蓮舫大臣からお話がありましたけれども、まず行政刷新会議で整理をしていただいて、その上で、その整理に基づいて我々がどうするかということを考えたいというふうに思っています。まだ正式な決定じゃないんですね。ですから、そこはじっくり議論を我々も精査した上で結論を出したいと、そう思っています。
○谷合正明君 要するに、意見表明ということは分かったんです。その意見表明が政府間の内閣の中の調整を経て最終決定に至る、実はそのプロセスこそが一番大事なプロセスであって、そこが分からないんですよね。
例えば、昨日、おとつい、メディアで、第二弾か第一弾の事業仕分で廃止と判定されたものが名前を変えて復活をしていると。報道では、これ、ゾンビというふうに報道されていたんです。確かにゾンビのものもある。しかし、私がその事業を見たときは、これは名前を変えて復活しているんだけれども、中身、その必要性そのものは否定されていない事業でありまして、具体的に言うと若者自立塾というものがありまして、これは政府は多分、恐らくそれは必要であるといって予算に計上したんだと思うんですね。これをマスコミではゾンビというふうに扱われているんですね。
ですから、要するに、意見表明から最終プロセスの間が不透明だからこそこういう混乱が惹起されているんだと私は思いますが、こうしたことの整理を一度、行政刷新担当大臣、もう一度総点検していただきたいと思っています。
○国務大臣(蓮舫君) これまでにおいても行政刷新会議、私たち親会議と呼ばせていただいておりますが、ここにおいての議論はどういうものがあったのか、そこで我々が実際に活用した資料も含めてホームページ等を使って公表して、なるべく情報公開という形には努めてまいりました。
ただ、今委員御指摘の点も含めて、まだまだ私たちの情報公開が足りないという御指摘だと思っておりますので、そこも含めて是非前向きに検討させていただきたいと思います。
○谷合正明君 足りませんので、是非よろしくお願いしたいと思います。
次に、私の持ち時間がそんなにありませんので、次のテーマに移らせていただきたいと思います。それは検察問題であります。
まず、この行政監視委員会で検察問題のことを取り上げるということについて、個々の事件云々を取り上げて議論するということではなくて、検察行政の在り方についてより根源的な見地から議論をしていきたいという思いで取り上げさせていただきたいと思います。
まず、その検察についてですが、よく独立性、独立の必要性ということが言われております。国会でも、この参議院でも五十年ほど検察幹部の意見聴取が行われていない状況が続いております。検察庁は、国家行政組織法に定める特別の機関であり、検察庁法に基づき法務省に設置されております。特別の機関であるわけでありますが、しかし、だからといって、そのことで独立性が求められているわけではないと私は考えているわけであります。
対国会との関係ということでいいますと、先ほど会計検査院の方もいらっしゃいましたが、会計検査院あるいは人事院等の独立性の強い機関の長も国会答弁を行っているところであります。また、過去に、五十年前にさかのぼりますが、国会に出席していたことから見ても、法律上、検察幹部が国会に出席して答弁することに何ら支障はないと考えますが、法務大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(柳田稔君) おっしゃるとおりに、五十年以上前に国会に来ていただいたことはあるというふうに承知いたしております。ただ、この五十年間の間も、国会の議論の中で出てきてほしいという話は何回もあったように聞いております。ただ、そのたびに、先ほど委員が御指摘のように、独立性と、そして司法の、司法権と密接な関係があるということを理由にして、国会の御理解を得て今まで出席をしなかったものと私は考えております。
今までもそうですが、今後も、私始め法務当局が国会の対応をやらせていただきたいというのが私の今の考えであります。
○谷合正明君 何か最後ちょっと、よく分からなかったんですが。
大阪地検特捜部による今回の押収資料改ざん事件を踏まえて、検察の信頼が失墜したと大臣自ら言われているわけでありますが、個々の犯罪捜査とか公判への影響ということを恐れてなかなかこれまで国会に説明に来られなかったと思いますが、そうじゃなくて、今問われているのは、組織とか人事とか倫理といった検察行政の根幹に関する事項だと思います。
その意味では、検察幹部が国会での意見聴取を通じて民主的統制を受けるということは検察庁のためにもなると思っておりますが、改めて大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(柳田稔君) 今回の事件につきましては、検察への信頼が地に落ちた、私も同じ認識を持っております。この国民からの信頼をどう取り戻すべきか、私は大きなテーマだと思っております。
最高検の中にも検証チームができました。これは、ある事件だけを特定して検証しているわけではなくて、広い範囲において検証しているものというふうに承知いたしております。いろいろと御批判がありますけれども、最高検における検証、そして今後どうあるべきか、いろんなことが提言されるものと私は思っております。
それと同時に、私の下に検討会議も近々つくって第一回目の会議をやる予定にしていますが、そこには第三者の皆さんが入っていまして、ここでもいろんな意見が出ていろんな改善策が提言されるものと私は思っておりまして、こういったことを通じて検察の信頼を取り戻すことが今私に課せられた大きなテーマではないか、そのことが一番いい道ではないかと私自身は今思っておるところであります。
○谷合正明君 確かに、私も理解が必ずしも十分できたわけではありませんが、検察の一つ人事の在り方でありますが、検察庁はほとんど検事の方が、幹部は検事出身の方が占められていると思いますが、例えば検事総長でありますとこれまでほぼ検事出身の方がなっているんじゃないかと思いますが、検察庁法では、例えば八年以上の弁護士の職にあれば検事総長に任命することが可能と法律に書いてあると思います。ですから私は、この検事総長の民間人、民間人というのは弁護士ですけれども、その登用ということも今回の検察の改革の中で考えていくべきではないかと思っているわけですが、その点、大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(柳田稔君) 法務省の中には検事の人もいれば裁判官の人もおりまして、いろんな人材がいるというふうに承知をいたしております。ただ、検事総長ということの御質問でありますけれども、おっしゃるとおり八年以上検事、判事補又は弁護士という者を充てるというのは承知いたしております。
ただ、検事総長の職務というものは、すべての検察庁の職員を指揮監督する、そしてその指揮監督は犯罪の捜査、公訴の提起及びその維持、裁判の執行等の検察事務を含む検察庁の事務全般に及んでおります。
ということになりますと、その任命に当たっては、検察権の準司法権的性格に基づいて検察権の適正な行使に不当な影響を及ぼすことがないように配慮する必要があるだろうと思っています。また、この点を踏まえまして、検事総長は高い識見及び実務経験があることが望ましいと、そういうふうに考えまして今日まで任命をしているというふうに承知いたしております。
○谷合正明君 ですから、それが検事出身でなきゃいけない理由になるんですか。
○国務大臣(柳田稔君) ですから、検察庁全体を見回して指揮をしていかなければならないし、専門的な知見も要りますし識見も要ると、そういうふうなことを考えますと、私は今日までの人事でよろしいんじゃないかというふうに考えているということです。
○谷合正明君 法制上、弁護士であってもそれは専門性がまたあればなれるものであると思うんですね。今の大臣の答弁によると、今までどおりでいいんじゃないかという話になってしまうわけですね。そのままでいいのかという問題は、この検察の問題、大臣がいみじくも検察の信頼は地に落ちたとまで言われている中で、細部を詰めるとやっぱり検察の側に立つ改革でしかできないのかというふうに思わせても仕方ないのかなと私は思っております。
以上、私の質問時間が参りましたので、この検察行政の在り方についてはまた引き続きこの行政監視委員会でも取り上げさせていただきたいと思っております。
以上、終わります。