○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
まず、質問通告をしておりませんが、一問確認させていただきたいと。それは、民主党が二十六日夕方、企業・団体献金の受入れの再開を決定したということでありますが、官房長官にお伺いしたい。これ、多くの国民はだまされたと思っております。マニフェストに書いてあることと逆行している、公約違反ではないかと。また、この臨時国会でも、菅総理大臣の総理答弁からすると全く真逆の結論を民主党が出したと思いますが、まず私は、このマニフェスト公約違反、断じて許すことはできないんですが、官房長官としてどのようにお考えなのか。よろしくお願いします。
○国務大臣(仙谷由人君) これは、現在の民主党の執行部の方がマニフェストに従って、マニフェストには三年間の暫定期間、そして公共工事等公共調達の世界で一億円未満の取引をしているという企業から、あるいは団体から企業献金を暫定期間としては受けることがあると、その前提で企業・団体献金の禁止を法案として仕上げて国会でそういう法案、新しい制度をつくろうと、こういうマニフェストだというふうに私は理解しておりまして、その実践として岡田幹事長以下これを決められた。当然、私も一議員として、あるいは民主党が与党である内閣の一員としてはこのことに責任を持っておると、こういうふうに考えております。
○谷合正明君 官房長官は記者会見で、このことについてプラスには動かないというふうに報道されているんですけれども、今の御説明、マニフェストの範囲内だということは、またいろんな条件があるから大丈夫だという話は本当に非常に分かりづらい。官房長官、率直な御答弁をお願いしたいんですけれども。
私は、この総理答弁の中でも、例えば先日の予算委員会の集中審議でうちの草川議員に対して菅総理大臣は、いわゆる企業・団体献金の禁止など、あるいは御党が、公明党ですね、出される予定、あるいは出されている幾つかの再発防止策、こういったものにも前向きに真摯に議論に参加をさせていただきたいと言ったそばからの決定です。どうでしょうか。
○国務大臣(仙谷由人君) さっきお答えした以上でも以下でもございません。マニフェストにも反していると思いませんし、公明党の皆さん方とは真摯に、早急にこの企業・団体献金の禁止についても成案を得るべく、国会の方でというか党の方でやっていただける。そして、一日も早くそれが、自民党の皆さん方も含めて、日本のこの国会という、あるいは国会議員に関連する政治の世界で実施されたらすばらしいなと私は思っております。
○谷合正明君 すばらしいなという人ごとじゃなくて、この内閣は有言実行内閣だと言われたわけですね。今まで自粛をされていたはずです。それを再開するということですから、全くベクトルが違う決定なんですね。この三年以内に成案を得ると言っておりますけれども、言うんであれば、マニフェストで言うんであればしっかり実行するべきだし、できないんだったら言わない方がいいと私は思います。そんないいかげんなことでいいのかということを改めて指摘をさせていただきたい。
○国務大臣(仙谷由人君) 伝統的というか慣行的に、この種の話は国会で議論をしていただいて、そこで成案を得るということでやってきた。むしろ内閣の方で余り主導的に物を言わない方がいいというふうに私は理解をしておりまして、この点についてはそういうふうに考えておりますので、先ほどから申し上げているとおりこれ以上でもこれ以下でも、それ以上のことを付け加えない方がいいと私は考えております。
○谷合正明君 いやいや、総理の答弁を予算委員会ずっと聞いていると違うんですよ。やっぱりこの企業・団体献金禁止はやっていくという、そう受け止める答弁ですよ。民主党の執行部にもそういう考え方で運営をお願いしておりますと総理は言い切っているんですよ。お願いしていたんですか、こういうふうに。お願いした結果がこの再開ということなんですか。
○国務大臣(仙谷由人君) 所信表明で菅総理がお述べになっていること、それから今、谷合さんが指摘されたこと、これは、総理は党代表として党の方に、精力的に検討して成案を得、なおかつ公明党さんや自民党の方々とも協議して成立を図るようにと、こういう指示はしたというふうに私は聞いておりますし、理解しております。
○谷合正明君 質問時間がありませんのでもうこれ以上言いませんが、要するに私は、民主党がどうこうというよりも、この件で政治不信がまた増長するんじゃないかということを私は危惧をしているわけでありまして、官房長官におかれましては、この党の再開決定を撤回させていくというようなことを、やはり党の執行部にもそういう考え方でお願いしていただきたいと思っているわけであります。改めてこの問題については我が党としても真剣にまた今後も向かい合ってまいりたいと思います。
続きまして、TPPの件について、今日は内閣府のみならず経産省、また農水省からも来ていただいております。
まず、TPPについては長期的な国益に合致する方向を示すべきでありまして、短期的な目先の利益や損失でやみくもに飛び付いたりやみくもに拒否をするようなそういう判断というのは、これは間違っていると私も思います。
そこで、昨日ですが、内閣府と経産省と農水省、それぞれ試算を出されました。ちょっと各試算を聞く時間がないので、公表されておりますので、この公表のベースでいうと、ちょっと分かりづらい試算ですね。それぞれの省庁がある意味極端な前提に立った試算で、これが非常に私は政府内で今後迷走する要因、原因になるのではないかと思っているんですが。
昨日ですか、おとといですか、前原外務大臣は委員会の答弁の中で、ある役所とある役所は全く違う結果が出てきたというふうな答弁もされておりますが、この点、政府として、内閣として意思統一されている試算なのかどうか、平野副大臣にお伺いしたいと思います。
○副大臣(平野達男君) 御案内のとおり、今、政府の方では、新成長戦略を受けまして包括的な経済連携に関する基本方針の策定に向けた作業を行っておりまして、その作業の一環として、この経済連携が我が国経済に与える様々な影響についての試算を行っています。
この試算につきましては、一つはGTAPモデルという、これはWTO等を始め国際機関の中でも使われているモデルなんですが、また、国内外においても一定の評価の得られているモデルなんですが、これに基づいての試算を行っております。これはどちらかというと包括的な影響ということで、各要素、要素ではなくて、一定の条件をインプットすると、経済全体としてはこういう影響が出ますよというような結果が出てきます。
このGTAPモデルによりますと、例えば、TPPに参加するというようなことを前提にして一〇〇%関税を撤廃するというようなことを入れると、いずれもGDPはプラスに作用するというようなことが出ています。
このモデルのちょっと難点は、個々の要素で見たときに、例えば農業に与える影響、特定の産業に与える影響はどうですかといったときにはこれ出てこないんです。これを補てんする意味で各省では、農林省は農林省で、ある一定の条件に基づいての影響試算を出してきた。経産省は経産省で、その産業に与える影響ということで、特定の、ある一定の考え方によって試算を出してきたということです。
そもそも、こういった経済状況に与える影響を数値に置き換えるということ自体は大変な、難しい様々な問題があるということはもう御承知のとおりかと思います。どの数字も絶対的な数字だというふうに認識するというのは間違いだと思いますし、だからといってその数字を無視するというわけでもない。最終的な判断をするに当たっては、先ほど谷合委員おっしゃったように、短期的なあれではなくて、様々な観点に立って今後の方針を決めるということになると思いますけれども、その方針を決めるときの参考数値としてこれを出したということでございますし、この数値を公表することによって、各党の皆さん方にも、あるいは国民の皆さん方にもいろんな議論をしていただきたいというふうに思っております。
以上です。
○谷合正明君 平野副大臣におかれましては退室されて結構でございますので。
○委員長(松井孝治君) 平野副大臣、御退室いただいて結構です。
○谷合正明君 そこで、農水省の試算では、農業及び関連産業への影響でGDPの減少額が七兆九千億円ですか、出ておりますが、いずれにしても、TPPに参加しようがしまいが、我が国の農業というのは、やはり強い農業、農業構造改革をしていかなければならないというのは、これは当然だと私は思っております。しかし問題は、今回のTPPが関税を例外なき撤廃をしていくということがEPAとまた違う、例外を認めるEPAとは違う要素だと私は思っております。
そういう中で、この農業振興との両立というのはどのように図ることができるのか、農水副大臣、ちょっと見解を伺いたいと思いますが。
○副大臣(篠原孝君) TPP、やっぱり自由貿易というのは大事だと思っております。我々、自由貿易について何も反対しているわけではございません。ですから、かねてから自由な貿易体制と我が国の農業の振興との両立を図ることを考えております。
しかしながら、やっぱり競争できる作物と競争できない作物があると。谷合委員も農学部でお勉強されたのでその点はよくお分かりいただいていると思いますけれども、園芸作物等は土地の広さは関係ありませんから、野菜とか果物とか、あるいは畜産業でも、中小家畜、養鶏とか、ブロイラーとか採卵鶏ですね、卵とかいうものはそこそこ競争力が付くわけでございますけれども、土地の広さがないというので労働生産性が圧倒的に劣る土地利用型作物については、私は国際競争力というのは無理だと思っております。
しかしながら、そういうもの、例えば米とか麦とかは食料自給率を維持するために、向上させるのに大事なものですから、そういったものについてはEUあるいはアメリカももうしているわけですけれども、所得補償という形で賄って自由貿易との両立を図っていく以外にないのではないかと思っております。
○谷合正明君 今、競争できるものとできないものがあると、できないものに対しては所得補償をしていくというような話でありました。
そこで、このTPPの一〇〇%の関税撤廃原則ですが、これについて、一部、いや、そうはいってもこれからルールメークしていくので、もしかしたら例外も認められるという立場に立たれて今後交渉していくのか、あるいはもうこれ原則一〇〇%撤回していくということを前提のことで農業構造改革も含めてやっていくのか、この辺りの国家戦略担当大臣としての方向性をちょっとどう考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○委員長(松井孝治君) 玄葉国務大臣、時間が迫っておりますので、簡潔に、恐縮ですがお願いいたします。
○国務大臣(玄葉光一郎君) 簡潔に。
いろいろと十二分に説明したかったという思いはあるんですが、簡潔にということでございますので、谷合委員の質問にできるだけストレートに答えなきゃいけないのかなというふうに思いますが。
率直に申し上げて、このTPPに対しての情報というのは私のところにかなり集まってきています。集まってきていますが、いわゆるどこまで何を前提にできるかというのはまだ定かじゃありません。
例えば、アメリカとオーストラリアがバイのEPAを結んでいます。そのときに若干の例外、設けています。それをそのままTPPに持ち込むんだ、これは比較的確度の高い情報としていただいていると私自身はそう考えていますが、これは通常のEPAもそうなんですけれども、まず前提条件なしで基本的には交渉に入っていって例外が設けられていくんだということだと思います。あんまり甘い考えで臨むわけにはいかないというふうには考えていますが、ただ、御存じのように、私たちの国はこの経済連携は世界全体の中で完全に乗り遅れたというふうに申し上げても基本的には過言ではないというふうに思っています。分水嶺のときだと。
ただ、同時に、先ほど篠原副大臣も話がありましたけれども、日本のありよう、農業農村のありよう、特に二十年後、三十年後のありよう、こういったものを十二分に見通しながら、国益そして国民益に基づいて総合的に判断をしていかなきゃいけないと、そう考えております。
○委員長(松井孝治君) いいですか。時間が経過いたしました。
○谷合正明君 終わりますが、経産政務官、大変申し訳ありません。時間がありませんので、ここで終わります。