○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
JOGMEC法改正案について質疑をさせていただきますが、質疑の順番ちょっと変わりますが、今回の法改正の意義についてまずお伺いしたいと思いますが、これ前段にも出てきてはいますが、改めてお伺いしたいと思います。
今回の法改正が特に出資という形で金属鉱物の鉱山買収を支援していこうとするというところが一つ大きな改正でありますけれども、これはどのようにこれまでの内外の情勢また背景について分析した結果なのかということを教えていただきたい。どういう意義が、この改正の意義があるのかということをまず教えていただきたいと思います。
○国務大臣(直嶋正行君) 近年、世界的に資源メジャーや新興経済国の台頭によりまして、資源獲得競争が激化をしているということでございます。
特にレアメタルは、次世代自動車や省エネ家電、太陽光発電パネル等、低炭素社会の実現に向け、我が国産業を支えるハイテク製品に不可欠の資源であります。我が国はその大半を少数の資源国からの輸入に依存をいたしておりまして、その安定的確保が喫緊の課題でございます。
金属鉱物については、これまでは探鉱段階からの参入が一般的であったわけでありますが、現代の、そのこともあってJOGMECの出資制度の中では開発・生産中の鉱山の権益取得を支援する資産買収出資は認められていなかったということでございます。
しかし、先ほど来お話がありますように、リーマン・ショック以降、金属鉱物資源についても資源企業によるMアンドAが進展をいたしまして、開発・生産中の鉱山権益の売買が増加をいたしてきております。また、中国を始めとする新興経済国も、積極的な権益買収によりましてその存在感を高めているという状況にございます。
これらの諸般の状況を踏まえまして、今回の改正により金属鉱物にかかわる資産買収出資を可能とすることで、欧米メジャーや新興経済国の国営企業に比べて財務基盤で劣る我が国が、民間企業に対するリスクマネー供給支援を強化することにしたということでございます。
○谷合正明君 今意義を教えていただきましたが、五月十九日の朝日新聞に、独法鉱物探し、脈無しという見出しの記事が載りまして、銅など三事業頓挫、六十億円損失という見出しでありました。
〔委員長退席、理事藤原正司君着席〕
今回、JOGMEC法の改正では生産段階に対する出資ということが追加的になるわけですが、逆に言うと、探鉱段階とか開発段階に対する、探鉱段階の出融資ということはこれまでと変わらないということなんですが、この朝日の新聞の記事というのは探鉱段階での出資の話をここに持ってきているんだと思いますが、まず、この六十億円損失ということについての事実関係について簡潔に報告をしていただきたいと思います。
○大臣政務官(高橋千秋君) JOGMECの前身でございます金属鉱業事業団がこれまでに三社に対して出資を行っております。
うち、海鉱発ペルー株式会社、それから海鉱発フリエダ株式会社という二社が、それぞれ昭和四十九年と五十一年に、民間の要請を受けまして、当時の金属鉱業事業団と民間企業の出資で海鉱発株式会社が一〇〇%出資して設立をしたものでございます。両社とも銅の鉱床は発見をしているんですけれども、様々な経済性の評価、それがコストとして見合うのかどうかという評価をした上で開発への移行を断念をしております。それで、海鉱発ペルー株式会社は清算をいたしまして、海鉱発フリエダ株式会社というのも現在清算手続中でございます。
いずれも鉱山開発の段階まで進めなかったというのはこれ大変残念なことなんですけれども、先ほど来お話があるように、この銅山も含めて鉱山というのは、大変奥地にあったり、実際出ても取り出すのに道がなかったりとか、それから実際銅はあってもその濃度が低かったりとか、いろんな問題があります。それでこの二つについては残念ながら断念をしておりますけれども、それだけをもって二件のプロジェクトの進め方に問題があったというふうには考えておりません。
残り一社あるんですけれども、これにつきましては、マンガン団塊の探査と鉱区取得のために設立された深海資源開発株式会社というものがございます。現在、唯一の海洋鉱物資源調査能力を有する会社として海底熱水鉱床等の調査でも実施をしておりまして、将来の資源としては十分期待できるというふうに考えております。
そもそもJOGMECは、金属鉱業事業団時代から世界のいろんなところで探鉱出融資事業を実施しておりまして、既に幾つかの鉱床においては、生産中のもの、また二〇一三年とか二〇一四年ぐらいに、オーストラリアとかチリとかペルーとか、そういうところで生産開始の予定のものがございまして、確かに新聞記事で脈無しと、何か非常に刺激的なタイトルになっておるんですが、やはり様々なところで努力をしていかなければなりませんので、これについては致し方がなかったのかなというふうにとらえております。
○谷合正明君 融資の場合はそれが戻ってくるんですけれども、出資の場合は戻ってこないということで、一つこの新聞記事の中にも、ある学者は、いわゆる探鉱段階の出資というのは、生産に対する出資に比べてリスクが高いので、リスクの高い探鉱段階の出資は手を引くべきではないかとは言っているわけですね。
私は、それに賛成しているわけじゃなくて、要するに、その法律上、制度上それも存続させていくということであれば、リスクの高い探鉱段階の出資を今後も制度上も存続させていくということであれば、国民目線に立つとこれも必要であると。先ほど政務官から、やむを得ないというか、致し方なかったというお話もありましたけれども、六十億円という金額に対して、やはり普通の一有権者というか国民が税金を納めている立場からすると、本当に大丈夫かというところが思いとしてはあると思うんですね。
ですから、私は、探鉱段階で出資事業を続けていくということであれば、なぜ続けていくのかという、このJOGMECの存在意義にもかかわると思うんですけれども、そこを改めて、難しい話だと思います、リスクマネーだとかJOGMECということ自体がもう難しい話なんですが、難しい話を是非分かりやすく答えていただきたいと思います。
○国務大臣(直嶋正行君) 今の御指摘は非常に重要な部分だと思っています。
要するに、出資にしろ融資にしろ、近年の鉱山開発等を見ますと、やはり、この案件もそうだと思うんですが、JOGMECという半ば日本政府のかかわる、そういうもののある意味での一緒にやっているんですよという、あるいは政府がかかわってやるんですよという、そういう性格的な意味も含めて出資なり融資が行われているというふうに思っています。
〔理事藤原正司君退席、委員長着席〕
それから、出資と融資、恐らく最初に調査をしたり鉱脈を見付けるところは、全体として大きなお金がすぐに要るわけではなくて、それが開発をされて生産段階に入っていくとかなり大きなお金が要ると。ですから、多分調査段階から次のステップに入っていった後で、例えばJBIC等を含めて様々な融資がなされるんだろうというふうに思っていまして、そこの在り方の問題だと思いますが、国民の皆さんには、できるだけそういうお金、出資と融資の性格の違いだとか、あるいは鉱山開発、生産の中で、どこでどういうお金が必要になるのかという、そういうことも含めてやはり今後は説明が必要ではないかというふうに思っております。
○谷合正明君 先に進めますが、その上で、今回の法改正は、金属鉱物の安定供給確保ということが一つの課題として法改正に至っているわけですが、レアメタルという言葉がかなり最近は話題というか躍っておりまして、本当にレアメタルだけが希少金属なのかと、希少なのかというところを問題提起させていただきたいんですが、例えば銅ですね、これは電線とかに使う銅ですけれども、今後、中国、インドが世界の先進国並みの経済成長を続けていって、電線を農村部まで配線を巡らせていくと、今の銅鉱山の開発のスピードからすると、ちょっととてもじゃないけれども、今銅がある埋蔵量というんですかね、追い付かないんじゃないか、需要に供給が全く追い付かないんじゃないかというところが指摘がありまして、そこで、まずこの資源戦略という中で、ベースメタルである銅に対しての認識と、銅をどうやって確保していくかというところについてお伺いしたいと思いますが。
○副大臣(増子輝彦君) お答えを申し上げます。
全く同感でございまして、レアメタル、レアアースと同時に、私どももこのベースメタルである銅とか、亜鉛という確保には極めて重要だと認識をいたしております。
御承知のとおり、世界の銅需要の伸びは、新興経済国を中心として年間五%程度と今予測されております。特に中国、インド、極めて高い実は増加率で、中国は二〇〇三年から二〇〇七年の四年間の平均を取っただけでも一四%、インドに至っては九・六%と大変高い伸びでありまして、今後もこういう傾向が続くんだろうというふうに私ども考えております。
こうした中から、レアメタルだけではなくて、銅などのベースメタルについても今後その資源確保が大変重要になってくるんだろうというふうに私どもこれは考えております。最近でも、当省は、JOGMECの債務保証制度や探鉱融資制度を活用して、我が国民間による大規模な銅鉱山の開発を実は支援しているところでございます。チリやカナダ、個々の国々でも今積極的に民間企業が頑張っておるものを、我々は更にしっかりとしたものを支援していきたいと思っています。また、我が国の電力会社や通信事業者の電線や通信ケーブルの設備更新、使用済家電のスクラップ回収などにより商業的にもリサイクルが進んできているところでございます。
先ほどもお話し申し上げましたが、現在改定作業中のエネルギー基本計画の中においても、ベースメタルについては自主回収とリサイクル分を加えて自給率の目標を一応八〇%とすることを念頭に今議論を進めております。電線等に限らず、例えば次世代自動車なんかも極めて銅の使用量というのは大きいものがあります。ですから、ベースメタルについて、私ども、金属鉱物の安定供給に向けた施策の中においても極めて重要なものだと認識をいたしておりますので、この八〇%目標というものをできるだけ達成するために全力で頑張っていきたいと思っておりますので、委員の御支援もよろしくお願いをいたしたいと思います。
○谷合正明君 そこで、リサイクルについてお尋ねいたします。
まず、ベースメタルのリサイクルの話もありましたし、またレアメタルの方のリサイクルも当然重要であります。都市鉱山の話も出ておりますけれども、まず、こうした金属を回収するシステムの構築を自治体任せにしていては資源の収集方法がばらばらとなり、金属の抽出が効率的に行えないおそれというものもある。リサイクルをレアメタル確保の一つの柱に位置付ける以上、政府が先頭に立って回収システムの構築を図っていくべきではないかと思いますが、その決意というか見解を伺います。
○国務大臣(直嶋正行君) 先ほど来議論もありますが、いわゆる都市鉱山と言われておりますが、こうした使用済みの製品等を中心に、レアメタル等の有用な金属資源が存在をしておりますので、それを回収していくということは非常に重要であるというふうに思っています。
一方で、実態も含めて申し上げますと、今、家電とか自動車などは製品の回収システムが整備されているわけでございます。しかし、その回収した製品からのレアメタルの抽出が十分なされていないケースもあります。また、自動車、家電以外の製品、先ほど御議論ありました携帯電話とか、いわゆる白家電のようなジャンルでありますが、それらは他の廃棄物と同様に排出されて、レアメタルの含有量にかかわらず自治体によって焼却処理されているというのが現状でありまして、御指摘のように、当省としてもこうした状況を踏まえて、効率的な抽出技術の開発支援に加えまして、関係省庁や自治体、さらには関係事業者との連携の下で実効性のある回収システムの構築に向けた検討を今進めているところでございます。しっかりこの面も取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○谷合正明君 そこで、私も携帯電話のリサイクルの話をお尋ねしたいんですが、携帯電話は一人一台というか、これからスマートホンだとかiPadとか考えてくると一人二つぐらい持ってくるのもおかしくないのかなと、その上でたんすに古い携帯が残っているという状態になると、ストックもフローもこれから増えていくんじゃないかなと私は思っています。
そこで、先ほどたんすケータイあつめ隊の話は伺いましたけれども、その評価をどう今後に生かすかということが大事であります。
デポジット制度のことを触れられておりますが、確かに私も、まず金銭的な何というかインセンティブがないと、なかなか資源を有効に使いましょうという呼びかけだけでは難しいのかなと。ですから、今回の実証事業というのは、一つは、それを今後どう判断されるか分かりませんが、一つそれを、大いにこのデポジットということを踏み込むべきじゃないかなと思っております。
私は徳島県の上勝町というところへ行きましたけれども、ここは葉っぱビジネスで有名なところですが、と同時に、資源のリサイクルでも非常に徹底してやっているところでして、やはりそこで話を伺ったときも、今三十何種類にも分別収集しているんだけれども、やはりデポジットということが結構有効に生きているという話でした。
もう一つは、資源有効利用促進法の改正、これを、これ二年ぐらい前かな、改正するというような話が出ているんですが、一向に何か結論が出てこないと。私は、前政務官をしていた中で、このやっぱり資源有効利用促進法の中で事業者による自主回収リサイクルの義務付けというところも、これ入れていかないといけないんじゃないかなというふうに思っておりますが、この点についてどうでしょうか。
○大臣政務官(高橋千秋君) 委員御指摘のとおり、携帯電話はもうほぼ一人一台、中には一人二台も三台も持っている人もいるわけでございますけれども、平成十三年度にこの回収台数が千三百十一万台ありました。平成二十年度、半分以下の六百十七万台に減っております。
これなぜ減っているのかというのは、いろいろ理由はあるかと思うんですが、最近、携帯で大体写真を撮ったりとかメールを送ったりして思い出として残しておきたいというような方もいたりとか、自分のそういう情報が流れるのが嫌だからとかいう方があって、いろいろあります。
それで、いろいろ事前に調査をいたしましたら、何となく持って帰るという人が多いんですね。それで、そのたんすケータイあつめ隊でインセンティブを付けて一度実証実験をやってみたら三十倍ぐらい集まった店もあるということで、インセンティブというのも大変重要なことなんですけれども、それだけじゃなくて、実はこの中で比較的それに御協力をしていただいた方が高齢者が多いというデータもございます。高齢者の方々がそういうレアメタルというものが大変日本にとって重要なんだという意義を知っていただいたということが大きくて、その後、高齢者に限らず、このキャンペーンが終わってからもまだ比較的高い回収率になっているというのは、やっぱりこれは店の方でもこういうことで集めますよということを言っていただかないといけないということがあるんじゃないかなと。先ほどのデポジット制度も含めて様々な仕組みを取り込むということが大変重要なことだろうというふうに思います。
それで、委員から御指摘のとおり、資源有効利用促進法の活用ということを、これは改正を含めて当然検討をしていかなければならないと思うんですが、携帯については政令指定しなきゃいけないという等もございまして、この活用も含めて様々な取組を我々としてはしていきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 もう時間がなくなりましたので終わりますが、やはり資源有効利用促進法も、そういう何か前向きに取り組むような話がありながらなかなか結論に至っていないというところが続いておりまして、これは何が要因なのかというのは私は分かりませんが、やはり今の低炭素社会へのという道筋の中で、これはしっかりここも、足下も改正していくべきだと私は思っております。
そのことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。