○谷合正明君 公明党の谷合です。
私の方からは、まず我が国の今後のことを考えますと、留学生に対する支援ということも是非大いに議論しておかなきゃならないと思っております。
先ほど緒方理事長の方からも開発援助というのは世界共通のサバイバルのための任務であるという旨の御発言はありましたけれども、まさに我が国がサバイバルとして世界の競争から生き残っていくためには、日本から海外に行く留学生もさることながら、海外から日本に受け入れる留学生ということも大事な視点だと思っております。アジアの活力、世界の若い活力を取り込む、優秀な留学生を大いに日本に来ていただくと、そういう観点なのであります。また、日本で留学をして母国に戻ったときに、特に途上国の出身の留学生なんかは母国の復興、再建のために汗を流すということも大いにあるわけであります。
そこで、平成二十二年度の予算を見ておりますと、文部科学省関係のODA予算も減額をされておりますし、外務省関係の留学生の関係予算も減額をされております。本年度予算を見ておりますと、どういう考えを持ってこの新政権は留学生政策を取ろうとしているのかがよく分かりません。
そこで、よく言われるとおり、コンクリートから人へを標榜して箱物無償資金協力から人にかかわる支援にシフトすると言われているのであれば、もう少し私は留学生に対する支援というものを積極的に評価をして強化をしていくべきじゃないかと思っておりますが、この点、前政権では留学生受入れ三十万人計画というものもありました。新しい政権においては、留学生を受け入れることについての考え方、またODAの在り方検討会ではこれどういうふうに議論していこうと思っていらっしゃるのか、まず御所見を伺いたいと思います。
○副大臣(福山哲郎君) お答えをさせていただきます。
私どもも、留学生に対する思いというのはかなり強く持ちたいというふうに思っておりますし、留学生の交流や留学生を支援することというのは諸外国との友好促進に貢献する人材を育成するという点からも大変重要だというふうに思っておりますし、在外公館を通じた留学生の募集、選考及び帰国留学生会との連携等により留学生の受入れ促進にこれからも貢献していきたいというふうに思っております。
そして、このODAの見直しの中でも留学生ということについては位置付けをしっかりしていきたいというふうに思いますし、谷合先生御案内のように、我が国で学んでいる留学生の総数は今十三万二千七百二十名でございます。二〇二〇年に三十万人の受入れを目指すということを前の政権から議論をいただいておりますけれども、二十一年五月現在での国費の留学生数は一万百六十八人で過去最高でございます。
是非この方向性でやりたいと思っておりますが、限られた財源でもございますし、今回については事業仕分それから厳しい財政状況の中で減額をさせていただいておりますが、ODAの見直し、留学生の重要性等もかんがみながら、総合的に今後検討していきたいというふうに思っております。
○谷合正明君 重要性を御認識をしていただいているわけでありますが、現実として、予算が減額されているというのもまたこれも大きな事実であります。その点について、私もこの新しい検討会、新しいODAの在り方についての検討会をされるわけでありますが、やはりそこは矛盾しない政策が私は必要だと思っております。
次に、この留学生の受入れでありますが、先ほども副大臣から、現在十三万人、国費は一万人を超えたという話がありました。出身国を見ておりますと、中国が七万九千人、韓国が一万九千人、以下台湾、ベトナム、マレーシアと続きまして、特にベトナムそれから中国からの留学生が前年比で一割増というところもあります。
私は、当然アジアは大事だと思います。ただ一方で、例えば今日もありましたアフガンとかスーダンとかコンゴ民主共和国、こういう話題になっているような国々からも多く、まあ多くなくてもいいと思います、留学生を積極的に受け入れていく。また、私は先般ハイチに行きましたけれども、中南米でもとりわけ日本との外交関係がなかなか希薄だと言われているような国でも、そういうところからの留学生を受け入れるということは私は非常に後々に意味があることだと思っております。
そこで、特に国費留学生等、まだ中南米で、例えば中南米でいいますと、バルバドスとかドミニカ国とかセントルシアという小さい島国は平成二十たしか一年か二年現在でゼロ人ということでありますので、いかに人材を発掘していくかということをしなければならないと思いますが、この点についてどういうふうに取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。
○副大臣(福山哲郎君) 現状の数字の構成は谷合先生御指摘のとおりだというふうに思っておりまして、やはりアジアが相対的には大きいというのが実態でございます。ただ、今在外公館を通じて募集する大使館推薦枠については、とにかく幅広くということで、世界の百六十以上の国と地域から募集や選考を行わせていただいているところでございます。
例えば、意識的なものでいえば、アフリカについて言えば、平成二十年から五年間で五百名、年間約百名受け入れることとしておりまして、これはこれまでとは違う取組になっておりますし、太平洋・島サミットにおいては従来の枠の倍増を図っていきたいと、これはまさに橋本委員が副大臣のときにやられたことだというふうに思いますが、やっておりまして、こういったことの組合せを更に多用していきたいと思いますし、先ほどからお話がありましたように、ODAの見直し、留学生の見直し等々の中で、どういった手法で各地域に分散をして留学生を増やしていくのがいいのかについても検討してまいりたいというふうに思います。
○谷合正明君 今日は文部科学大臣政務官にもお越しいただいております。
先日、私、ニュースを見ておりましたら、そこはベトナムの舞台だったんですが、ベトナムの高校生を各国がこぞって留学を受け入れようということで競争している。その中で、東大の先生がベトナムに行きましたけれども、なぜ東大なのかという問いかけに対していろいろプレゼンテーションしたわけですが、いや、もう韓国とかシンガポールとかそっちの方が魅力ありますよというのがベトナムの高校側の答えだったと、大変ショックを受けたというような報道の内容でありました。かつてであれば、中国の留学生が、まず第一志望でアメリカとかよく出ていて、次の次ぐらいに日本だと言われていましたけれども、今や韓国とかシンガポールにじゃ抜かれているのかという思いがしたわけですね。
私は、一つ、日本を留学先として第一希望と、第一希望で留学しようと思えば何が障害になるのかなと。一つは、私は、大学での授業ですが、やはり英語で授業をするというような、そういったこともしなきゃいけないと思います、日本語でばかり授業しているだけじゃなくて。もう一つは、卒業後に、例えば日本企業に魅力ある、自分の力を発揮できる企業があるのかどうかという点。三点目に、保証人問題というのがよく言われておりまして、かつてであれば三つの保証人問題があったと。
それは、入国の際に身元保証人を求めると。二つ目に、入学時における授業料等の債務保証人を求めたこともあると。三つ目には、例えば民間のアパートだとか下宿とかに入る際にこれは連帯保証人を求めるということでありまして、これ商習慣もあるかもしれませんが、なかなかこれはハードルが高いですね。私たちが海外に行ったときにこの保証人を探そうと思うとなかなかできない話でありまして、そこで、私は、この保証人の問題についてもいろいろ現場からも声を伺っておりますが、文部科学省としてどういう対応を取られておるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(高井美穂君) まさに谷合委員御指摘のとおり、いろんな包括的な政策とともに、この債務保証書の、身元保証人の債務保証書を提出をするということに関して、文部科学省としても、専門家による検討を経て、既に平成九年の十月の留学生交流の推進に関する通知というものの中で、各大学等に対して、入学などの際の債務保証書の提出が困難と認められる外国人留学生からはこれを徴収しないことということで、可能な限りの検討及び改善を行うように求めているところではございます。
しかしながら、現状といたしましては、御指摘あったとおり、入学後の国内における緊急連絡先の確保などの観点から、留学生の大学等への入学手続に際して日本在住の身元保証人を求める大学等もあるということは事実でございまして、御指摘あったとおり、今後とも、優秀な留学生の円滑な受入れを進めていく観点から可能な限り身元保証人の確保を義務付けるということをしないようにということで、引き続き大学に改善を促してまいりたいと思います。
文科省として、実は実態について詳細なまだ把握というか調査がございません。民間の東京YMCAの留学相談室というところが調べたものによりますと、現在でも五四・三%の大学では保証人を求めていないというデータがございまして、まだまだいろいろと検討したり改善を促していかなくてはなりませんけれども、委員御指摘のとおり、いろいろと踏まえた上で我が省としても努力をしたいと思っております。
○谷合正明君 これ、留学生に聞けば必ずこの問題は何とかしてほしいという声は上がります。当然、就労目的で何となく留学するというのとはまた違う話でありまして、優秀な留学生を受け入れようとしている中で、母国であれば全然問題ないような方が日本に来て何かまるで犯罪人扱いのように保証人を求められているという実態であると、それこそ韓国とかシンガポールとかそういう国々に後れを取っていくのではないかと私は思っております。
少なくとも、日本に留学して、日本を選択してよかったなと思って留学を終えてもらうということが大事でありまして、私はこういったところにも、細かいところかもしれませんが、ODAという観点からも大事な話だと思いますので、是非とも、調査をしていないということであればしっかりと、どこまでできるか知りませんが、民間とも連携しながら私はしっかりやっていただきたいというふうに思っております。
その上で、もう一つ、国費留学生の活用についてということで提案をさせていただきたいのですが、実はハイチの地震で私は現地に調査へ行きましたけれども、その際に現地のガイドとして献身的に動いてくれたのが日本にハイチから留学した第一号の国費留学生だったんですね。名古屋大学でマスターと博士号を取って、日本語もできるし、当然フランス、英語できて現地のクレオール語も分かると、こういう留学生だった。実は、昨年にもスマトラ地震がありましたけれども、スマトラは私、現地に行ったときにたまたま空港で居合わせた横にいた人は、日本の岐阜大学で博士号を取ったというインドネシア人の、現在大学で先生として教えているパダンに在住している元国費留学生だと。
私は、そういう話を聞いたときに、日本人が日本から世界に出ていって活躍するということは大事ですけれども、むしろ現地の人材ということをもっともっと知らなきゃいけないなと思いました。特に大使館がそういった国費留学生を、その後、日本の留学を終えてからのフォローができているのかどうか、母国に帰ったときに何をされているかとかいうことを私はちゃんとできているのかなということをちょっと不安に思いました。
一部の大使館なんか、例えばメキシコなんかでは、既にこういう留学生を、例えば企業のマッチングイベントであるとか文化学術交流イベントで大いに一緒になってパートナーでやっている例もあるそうですが、私はこれは世界全体に広がっているとは思えません。
そこで、まず国費、少なくともODAで国費留学生として受け入れているわけですから、その後のフォローをしっかりしておくべきじゃないかというふうに思っております。それが更に次のステップとして、例えば災害時であるとかそういったときに、日本の例えば支援、日本のNGOに対して協力してもいいよという、そういう人材もいると思うんですね。そういう何か人材のネットワーク化というものも併せて構築すべきじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○副大臣(福山哲郎君) 大変重要な御指摘でございまして、元日本に留学をされている方々は知日派や親日家として我が国との懸け橋となっていただける重要な人材であり、先ほどのハイチの谷合先生の例などはまさに懸け橋となっていただいた実例だというふうに思います。
我々としても、支援としては重要だというふうに思っておりまして、在外の帰国留学生会の組織化を支援するとともに、留学生の帰国報告会、会報の作成、留学説明会の実施等に関する活動支援を外務省としては実施しておりまして、現在、全世界で七十七か国に百七十九の帰国留学生会組織が設立をされています。
外務省としては、今申し上げた帰国留学生会や在外公館を通じて元留学生のフォローアップや支援活動を行い、ネットワーク化を進めていきたいというふうに思っておりまして、二十二年度の予算としては約二千七百万を計上しているところでございます。
私、実はこのことの報告を外務省から聞きました。聞いて、あとは問題は実態としてどの程度機能しているかが重要だということを申し上げまして、そのことについてもしっかりと報告をしてほしいと。恐らく、その場所場所によって、しっかりとこの留学生会がコミュニティーをつくっていろんな情報をやり取りしているところと中にはなかなか動きにくいところと、多分、恐らくそれはまだら模様のような気がします。ただ、そのことの実態も含めてしっかりと把握するようにということは外務省にも伝え、我々にも報告するように申したところでございます。
○谷合正明君 国づくりは人づくりということから始まりますので、その人とはだれかといったときに、やはりその国の当事者だと思うんですね、最終的には。私は、今回のハイチのことも含めて、ハイチの復興をするのはだれかといえば、最終的にはハイチ人であるわけでありまして、そのハイチ、じゃどうやって日本はかかわるかといえば、留学生とかそういうかかわり方って大いにあるんじゃないかなと私は思いました。
そこでちょっと、もう時間がないんですけれども、話題を青年海外協力隊に変えます。
昨年の行政刷新会議の事業仕分で青年海外協力隊が取り上げられました。協力隊の使命は終わったという声も幾つかありました。幾つかというか、そういう声がありました。戦略のない支援をやめるべき、そんな声もありました。当然、戦略のない支援はやめるべきなんですが、そもそも協力隊の使命は終わったのではないかという、そういう声もあるわけですが、私はそうは思っておりません。
今回、緒方理事長にもお越しいただいております。まず、青年海外協力隊の事業の意義と今後の在り方、事業仕分でこんないろんな指摘が、高く評価する声もありますけれども、一方で見直すとかやめろとかいう声もあるわけでありまして、いま一度今後の在り方について伺いたいと思います。
○参考人(緒方貞子君) 海外協力隊につきましては、私は、あの刷新会議のときに協力隊の募集の費用についてもう少ししっかり見直したらどうかという御指摘いただいたとは聞いておりますが、協力隊そのものの事業が意義がないというような御批判があったというふうには承知しておりません。
と申しますのは、今大体二千三百人ぐらいの青年海外協力隊が、派遣先は七十九か国、そのうち二十か国では協力隊事業が開発協力の核になっているというようなところもあるわけでございます。そういうところで、協力隊の人々は非常に人々に近いところで、それこそ農業から教育からいろんなことをしておりまして、私も事業の現場を見に行きますと、ほとんどポジティブな効果というものを聞いております。
もちろん、それに加えて、今は年配の方々が非常にお元気でシニア海外協力隊というのが増えておりますんです。これは日本の人口構造からいくとそちらの方に進むということもあり得ると思っておりますが、協力隊の方々が現場においてそれはすべてが百点満点というわけではないけれども、非常に日本の、先ほどからお話の顔ということでは、協力隊が一番現場で広く動いていて日本の顔になっておられるということが実は実態に近いんじゃないかと思っております。
それからもう一つは、そもそもこの協力隊の事業というものが、四十五年前ですか、始まったときには、日本の青年に元気を付けたいという発想から始まったので、そういうことを考えますと、今やはり相当必要も高いんじゃないかというような、老婆心かも分かりませんが、そういう印象は持っておりまして、協力隊の人々、もちろん訓練の必要なこともあるかも分かりませんが、いろんなことございます。協力隊をより効果的にやる方法がある、そしてその青年にとってもいいというような御指摘が、いい提案がございましたら、もうどんどん聞いていきたいと思いますが。
一つお願いしておりますのは、都道府県の教員の方々の中から出ていっていただきたいと。教員の方は日本の子供たちに教育の現場にあっていろいろ教えていらっしゃるから、海外におけるいろんな途上国の話、子供たちの話もしてくださる。そして、向こうへ行きますと、日本の子供たちの話をしてくださることもできるし、二重の役割を果たしておられるから、是非協力隊の中には教員の方を増やしていただきたいということはいろんな地方に行って知事の方たちにもお願いしておりまして、少しは増えておりますんですが、教員不足のこともあるものですからなかなか思ったほどは増えておりませんが、何とかこれは維持していきたいと考えております。
どうもありがとうございました。
○谷合正明君 時間もありますので、終わります。