○谷合正明君 公明党の谷合です。
私の方からチリの地震、またハイチの地震について取り上げたいと思います。今回のチリの地震につきましては、地震とともに津波の怖さというものがやはりよく分かったと思います。
国内の問題についてお伺いしたいと思いますが、今回の大津波警報によります避難指示・勧告に従わないケースということで、避難所に行った方のベースでありますが、わずか六%であったと、対象人数のうち。これは以前からこの避難率の低さということは指摘をされておりました。
まず総理に伺いますけれども、これまでの反省点を今回しっかり生かせるような形でこの避難の、例えば災害弱者に対する情報伝達であるとか、そういったことがしっかりできたのかどうか、これをしっかり検証していただきたいと思っておりますが、これまず、大事な話でございますので、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(中井洽君) チリの大地震で被害に遭われた方に心からお悔やみを申し上げ、私も大臣としてチリの大臣にお見舞いの手紙を出したところであります。
また、国内では津波、御指摘のように御心配お掛けいたしましたが、水産物等にはかなりの被害が出ましたが、人的被害なしに終わったことを、消防を始め気象台を含め、地方自治体、関係機関の皆さん方にこの場をお借りして御協力にお礼を申し上げたい、このように思います。
反省点は幾つもございます。御指摘の避難率の低さ、これをどう考えてどう対応するか、原口総務大臣とともに十分調査をして議論をしていきたいと考えています。
しかし、今回低かった理由の一つは、やっぱり地震を体感せずに津波だけ、二万キロのかなたから津波が来るということに実感がわかなかったということ。それから、第一波が北海道花咲港へ届いたわけでございますが、この第一波の津波の高さが三十センチだったということ。どうも、津波は後から数時間続いて後の方が高い波が来るんだという報道がきちっとなされていなかったんじゃないかと。第一波にどんと来たらおしまいだみたいな感じで避難をされなかったというようなこと等があったのかなと今のところ考えておりまして、これらのことを基に更に充実したというか安全な避難対策を講じていきたいと思っています。
なお、この機会にテレビを通じて是非申し上げたいんでありますが、津波警報や大津波警報が出ているときにサーフィンやったり魚釣りをやる、それを止めに入る消防の人やらは命懸けだと。僕はこれ少しおかしいと思うんですね。国民の皆さんにも是非まじめに受け取ってほしい、このことを申し上げます。
○国務大臣(原口一博君) 中井大臣に加えて谷合委員にお答えいたします。
今回、特別低かったかというと、そうじゃないんですね。二パーぐらいだったのは、特に三陸沿岸の三県三十六市町村、随分頑張っていただいて今おっしゃる六パーになっている。実際に避難所に避難した方だけではなくて、高台におられる方、今回、津波ですから、三階、四階、五階におられたらわざわざ避難所には行かなくていいわけです。
こういうことから考えて、私は、今ネガティブリスト方式というのがあるんじゃないか。つまり、危険な、ハザード、そこにいたらいけませんよと。ICTの時代ですから、ICTを使った避難の在り方、あるいは情報伝達をしっかりとやると。こういうやり方についてもう一回改善をしなさいということも言っています。
それから、最後ですけれども、Jアラートについて、これが幾つか不具合がありました。この問題についても総括をするようにという指示をしているところでございます。
危機管理センターにおりまして、やはり一番大事だなと思ったのは、原発が水につかったらどうなんだという、そういう不安が広がりました。全く安全なんだということを私たちは示したわけですけれども、そういうものを適時適切に、パニックが起こらないように情報を伝達していくこともこれからずっと検討していきたいと思っております。
○谷合正明君 今回、チリの地震でありましたが、東海また東南海、南海地震等、いつ起こってもおかしくない地震が国内にはございますので、早急な対応をお願いしたいと思います。
続きまして、今度は一月十二、十三に、現地時間の一月十二日に起きましたハイチの地震についてです。(資料提示)
私はこの度、公明党のハイチ復興支援調査で現地に行ってまいりました。一か月後の二月十二、十三と行ってまいりました。公明党としましても、全国で全力を挙げて募金活動も協力をさせていただいております。
情報が今もうほとんど入っておりませんで、テレビにも流されておりませんが、しかし、御覧のように、現地の状況が改善されたかというと、そういうわけじゃありません。特に、こういうような高台にある家々が密集しておりますので、瓦れきの中で暮らしているという住民の方もたくさんいます。また、これから雨季が近づくと言われておりますけれども、近づきますが、こうしたテント生活の方がたくさんいらっしゃる、百二十万人の方が家を失っているという状況でございました。
こんな中で、今、日本の自衛隊、またNGO、また現地の大使館の職員、日赤の職員、いろんな方が汗を流して頑張っていらっしゃいます。そのことをまず御報告申し上げたいと思います。
今回のハイチの地震の教訓は、現地の行政機能が崩壊したという点が今回初めてのケースだと思います。
一つ端的に伺いますが、国際緊急援助隊、今回レスキュー隊を我が国が派遣することはできませんでした。私は、しゃくし定規の要請主義でなくて、例えば現地政府からの断りがない限り、現地政府からの要請がなくても、在京大使の要請であるとか、あるいは事前に二国間協定に基づき発動できるような、そういうような時代に合わせた仕組みをこれからつくっていくべきじゃないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岡田克也君) まず、谷合委員には現地まで行っていただき、本当にありがとうございました。
そして、今の御指摘の点はなかなか難しい問題を含むと思います。原則は要請主義、要請がないのに押しかけるというのは普通はないことであります。ただし、今回のように相手方の政府の行政機能がほぼ崩壊していたような状況の中でどう考えるべきかという問題であります。実は、在京のハイチ大使に確認をして我々は活動させていただいたということで、そういうこともこれからも考えていかなければいけないというふうに思います。
そして、我々、医療チームは送ったわけでありますが、レスキューチームは見送りました。これはなかなか難しい判断でした。私が考えましたのはやはり隊員の安全ということであります。これは、緊急支援隊法を御審議いただいたときに参議院も衆議院も隊員の安全の確保ということは附帯決議でいただいております。ハイチの状況は、PKOの部隊が現地で展開をしてそして治安を維持している、そこに災害が起こってPKO部隊そのものもかなりの被害が出たという状況の中で、外で活動し、瓦れきを取り除いたりするレスキューチームを送るということが果たして安全の確保という視点から見てどうかと、そういう判断でありました。医療チームの方は若干日時を要しましたが入って、そしてそれは、場所の確保、そしてスリランカのPKO部隊によって二十四時間守られて日本の医療チームは医療行為をやったわけであります。そういうことを考えましても、これは難しい判断でしたが、私はあのとき出さないという判断をしたことは決して間違っていなかったというふうに思います。
なお、今後、同じようなことが起きた場合に、委員おっしゃるような、現地の要請がないときにどうするかとか、そういったことは検討課題であるというふうに考えております。
○国務大臣(中井洽君) 防災担当といいますよりも、国家公安委員長として申し上げます。
警察におきましては、ハイチにおいてもチリにおいても地震が起こった直後から国際緊急援助隊、待機をさせております。ハイチにおきましては外務大臣の判断ということで、この判断は僕は間違っていなかったと、このように考えています。
私ども警察は、いつでもどこへでも行く覚悟と危険を担った任務を負っております。ただ、そのときに自分の身を守る武器を持っていけないということでは、これ幾ら言っていただいても行きようがない、ここのところも十分御議論をいただきたいと、このことも申し上げておきます。
○国務大臣(原口一博君) ハイチの判断についてはもう両大臣がお話をしたとおりですけれども、このハイチの地震のときも、私たちは、IRT、国際消防救助隊というものを待機をずっとさせました。インドネシアで世界で真っ先に駆け付けたのがこの消防庁が持っている国際消防救助隊です。今の委員の御指摘のように、すぐ指示をしました。
今回は、PKOの派遣地域であった、あるいは首都直下で政府機能が非常に低下していた、特殊な要因がありましたけれども、そうでない場合、あるいは今回のように政府自身の意思が言えない場合にどうするかと。そこにまずは出して、その近くにまずは出して、そして要請を待ってそこに待機をすると、このやり方が一つあると思います。それから、委員がおっしゃったように、相互主義で日ごろ決めておくと。こういうものを外務省や関係省庁と詰めて、今一定の結論を得つつあるというところでございます。
○谷合正明君 現地に行きました国際緊急援助隊の医療チームの副団長の方が申しておりました。今回のハイチ、病院機能が崩壊したということで、これから是非、外科手術ができる体制、また全身麻酔薬を今回麻薬取締法の関係で持ち出せなかったということのこの二つの問題をクリアしてほしい。この問題についてどうでしょうか。
○国務大臣(岡田克也君) 私も副団長の方にお帰りになったときにお話を聞きました。非常に示唆に富むいろんなお話を聞くことができたと思います。
一つは、そういった麻酔薬の問題、これは麻薬取締法の問題であります。現時点においては、海外に麻薬、まあ麻酔薬でありますが、これを持ち出すときには、日本だけではなくて相手国の許可がないと、その証明書がないと持ち出せないということになっております。結果として麻酔薬が持っていけない、したがって大きな手術ができないということがありました。こういうことについては、もう少し便宜的にこういう緊急事態のときに持ち出すことができないかということを厚生労働省とも御相談しながら検討しているところであります。
外科手術が本格的にできる、そういう施設というのは私は必要だと思います。もちろん費用も掛かるわけでありますけれども、そういった方向で今議論しているところであります。簡易な手術はできますし、レントゲンの施設を日本は持っておりまして、これはかなり各国で重宝されたわけですけれども、より本格的な外科手術ができる、そういう施設について是非考えていきたいというふうに思っているところです。
○谷合正明君 三月三十一日に国連のニューヨークでハイチの復興支援の国際会合がございます。是非、我が国として、緊急的な対応だけじゃなく、中期、長期ビジョンに立ちますとハイチ政府のガバナンスの問題がありますので、やはりハイチの人材育成であるとか防災、危機管理といった我が国独自の国際協力を是非アピールしていただきたい。人道の国日本をしっかりと目指して、そういう取組を私は是非国連の中で日本がリーダーシップを取っていっていただきたいと思いますが、総理大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(岡田克也君) 委員おっしゃるように、ニューヨークで三十一日に、三月、ハイチ復興会議が行われます。潘基文事務総長、それからクリントン国務長官の主宰ということであります。
私も国会のお許しがいただければ是非出席をして、そしてハイチ復興支援に向けて日本のしっかりとした姿を示したいというふうに考えております。
○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 今、可能ならばという話がありましたので、国会のお許しを是非いただいて岡田外務大臣には出席をお願い申し上げたいと考えております。
今お話がありましたように、中長期的なことをしっかりと行うということもございます。もう一つは、谷合委員が大変御熱心な、私は新しい公共ということを申し上げておりましたけれども、NGOに対して、これは世界で頑張っておるわけでありますから、ある意味で政府が崩壊してしまうようなときに最も活用されるのはNGOの方々だと思っております。AMDAで御活躍された谷合委員の様々な御経験なども是非参考にさせていただきたいと思っておりますし、こういったところに日本が積極的に支援をする姿というものを見せることが重要ではないかと、そのように考えております。
○谷合正明君 終わります。