○谷合正明君 公明党の谷合です。四班のそれぞれの各委員の皆様からの御報告も踏まえつつ質問させていただきたいんですが。
実は私、ハイチに行ってまいりまして、昨日帰ってきたところであります。ハイチは、PKOの安定化ミッションがずっと入っておりまして、ようやく治安も回復しつつあり、いよいよハイチもこれから将来が見えかけてきたところに今回の地震がありました。
今回の地震の特徴は、一つは、ハイチという政府が、地震の以前からもそうですけれども、統治能力が残念ながらあるとは言えません。そしてまた、国連のPKO本部もかなり、代表も亡くなるという事態に発展する、大変国連も打撃を受けたということ、そしてかつ、今死者が二十三万人とも言われておりますけれども、最大規模の死者数であると。
もう一つ、我が国にとりましてハイチというのが、地理的な距離もありますけれども、言語も、中米諸国の中では公用語がフランス語、しかし現地に入ってみると、九割の方はフランス語をしゃべれずにクレオール語をしゃべるという状況の中でありまして、中南米にはあるんですけれどもなかなか中南米の中では、言うとスペイン語も通じませんし、なかなか置かれている環境というのが我が国にとりましても、日系人もおりませんから、大分かかわりが難しいなと思ったのが率直な印象です。
その中で、今後のハイチとのかかわりについてです。緊急ステージでは各国がこぞって入りました。これはもう人道支援という目的で、各国もいろんな国が入りました。我が国も当然入っていますし、それは意義は見出せるんですけれども、今後のハイチのかかわり方について、今四千五百万ドルの復興支援、我が国が今後していくということで、具体的な計画を、三月、四月にニューヨーク、ドミニカで国際会議を開いて、我が国としても具体化を今後していくということであります。
そこで、今日はせっかく緒方理事長にもお越しいただいております。この四千五百万ドルについては、今JICAの代表団も視察に入って現地で何ができるかということを見ていらっしゃるんだと思いますが、まず、我が国がハイチにかかわっていこうというこの意義についてまず明確にしていかなきゃいけないんだと思っております。なぜハイチに私たちはかかわっていくのかという点と、ハイチに何が不足しているかという、現地で聞けばもう何もないという状況でございますので、あらゆる分野が不足している状況の中で、しかし我が国としては限られた予算の中で何かに集中していかなきゃいけないんだと思います。
私は、やはり統治能力ということを考えていくと、現地政府の機能強化であるとか人材育成とか、あるいは防災、地震、あるいは山林の育成、保護といったものが必要なのではないかなというふうに思った次第でありますが、いろいろなこれまでの御経験、御知見を踏まえながら、ハイチの復興について我が国としての在り方、かかわり方について理事長の御所見を賜ればというふうに思います。現在のところの印象で結構でございますので、よろしくお願いします。
○参考人(緒方貞子君) ただいまの御質問で簡単にお答えさせていただきます。
ハイチにはただいま、JICAの最初に緊急援助隊が参りまして帰国した後には、今、調査団、復興のための技術的な調査団が出かけていっております。
おっしゃるように、ハイチとのかかわりというのは決して深いものではございませんでしたし、今後どういうふうにハイチとのかかわりをするかということについては大きな外交問題としてお考えいただくと思いますが、私どもとしては、やはり緊急援助については、地震の後、例えばこれはイランでもそうですし、パキスタン、イラン、スリランカ等々で地震の後の復興についてはかなり今までもいろいろやってきておりましたので、取りあえずは、恐らく地震の後のインフラ、例えば水であるとかそういうようなところからやっていくようになるんじゃないかと思いまして、あくまでも緊急な自然災害に対応する私ども日本が持っております能力というものを生かせる限りの復興援助というものが今取りあえず考えられているということだと思います。
おっしゃるように、ハイチは言葉の問題、いろんな歴史的な問題もございまして、決して深い関係にあった国ではないし、今すぐ非常にハイチにおける人道的な困難というものに対応できる力は私どもとしても限られているとしてもございますから、その限りでの復興の支援をするということかと思っております。
どうもありがとうございます。