NGO職員の伊藤さんがアフガニスタンで無念の死を遂げた。
私は、かつてNGO職員だった者として、またアフガン難民キャンプで働いてきた者として、本当に胸が痛む。心からご冥福を祈りたい。
伊藤さんの所属していたペシャワール会はNGO業界では知らない人はいない団体で、現地に根差した活動は、周囲からも一目を置かれる存在であったし、現地の人からも信頼を集めていた。
ところで、私は議員になってから、アフガニスタンで活動する日本のNGO団体から、安全基準について要望を受けてきた。簡単に言えば、外務省が発出する海外安全情報は旅行者にも適用する基準なので、別の基準を作ってほしいというだ。
これは私も経験したことだが、外務省の安全基準と国連の安全基準が違うため、日本のODAの仕事をする日本人スタッフは国外へ退避するのに、他国の国際スタッフは現地に残っているというケースがあった。
現在も、JICAや日本のNGOは危険が伴う地域で活動している。この際、国連のフィールドワーカー向けの安全基準を参考に、日本も人道支援や復興支援に携わる機関や団体向けの安全基準を作るべきだと言いたい。外務省は、NGO、国連、JICAなどと協議を開始して欲しい。
NGO関係者はどうしても、我々は一般の旅行者と違うんだと自負するところがあり、それぞれの判断で安全を判断することがある。
国も民間も、国際協力や国際貢献分野に力を入れていけばいくほど、安全基準の立て方が問われてくる。基準だけでなく、安全確保のための手段をどうやって持ち合わせていくのかも大事だ。
そして、安全確保のためには、相当のコストが必要なことも忘れてはならない。
しかし、どんなに周到な装備をしても、あるいは、どんなに現地に溶け込んでいたとしても、それで安全が確保されているわけではなく、アフガンやイラクなどストレスの強い社会では、いつ事件、事故に巻き込まれてもおかしくない状況であることも事実だ。最後は現地のことは現地の人に任せるしかない。
国際協力の分野で日本人だけが特別に安全が保障される人種なんてことはありえないのだから、安全確保のあり方について具体性のある対策を講じていくべきだ。
(谷あい)
NGО職員の死を無駄にしないためにも