○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
畜産は今、高騰する輸入穀物、また原油高騰によりまして未曾有の危機を迎えております。米、麦などの土地利用型の農作物については先般、経営安定対策が取られたわけでございます。一方、畜産、酪農については野菜、果樹同様、土地利用型農業と比べ構造改革がある程度進んでいるということで、従来の対策が取られることになったわけであります。
しかし、今日の議論でも度々出ているように、えさを中心とした価格の高騰、これが、えさの価格安定制度は価格の高止まりに対しては十分対応し切れないという問題、また畜種別経営安定対策についても、言わばその畜産物の価格下落については機能をするけれども、生産コスト上昇についてはこれまた十分対応し切れないという今日的な問題があるということが分かっているわけであります。しかも、飼料価格については、先ほど野村委員の質問の中にもありましたとおり、今後どういうふうに動くか分からないけれども、しかしながら、これが下がるという要因は少ないんではないかと、私自身もそういう認識でおるわけであります。畜産・酪農家、今現在、飼料高騰分をコスト削減ということでしのいでいるという状態でございます。これは小規模農家だけでなく、大規模の農家についても大変厳しい経営努力をされている中で大変厳しい経営環境にもあるということでございます。
そこで、質問は、畜産農家の収入安定に直接響く対策もこれまた検討していく必要があるんだろうと。緊急対策とこれからの畜産、酪農の経営安定対策の在り方について、政府、大臣の方はどういうふうなお考えをお持ちなのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 繰り返しの御説明になるわけでございますけれども、まずは、当面直面しております異常な緊急の経営難、それは主として飼料価格の高騰にあるわけでございます。
これについては、まずは激変緩和措置を講じなければならない。そういう意味で、飼料価格安定制度、これはどうしても守り抜かなければいけないわけですが、この飼料価格の安定制度、そしてまた、それぞれの農家の飼料費につきます特別支援資金、これを支援を実施をすると。そこで時間を稼いでいる間に、生産段階の、国産飼料の生産の拡大とか家畜の生産性の向上を推進する。そしてまた同時に、私はここが大事だと思うんですけれども、加工流通業者や消費者の理解を求め、生産のコストの上昇というものが適正に小売価格に反映されるようなそういう環境づくり、それがなければ畜産というのはその部分で救済をしていっても続かないわけですから、そういう意味では、消費者の理解を真剣に求めていくということが必要だというふうに考えております。
と同時に、今の直面している課題に対しては、先ほども申し上げました経営対策といえば畜種別に非常に事情が異なっておりますから、畜種ごとにその需給だとか価格の動向というようなものを反映をしながら、畜種別の適切な経営安定対策というものを講じていかなければいけないと、このように思っておりまして、二十年度の畜産物価格の決定におきましても、畜産経営の安定が図られるように、これら経営安定対策と法を併せまして必要な対策を総合的に検討していくと、こういう考え方で対応したいと思っております。
○谷合正明君 今回の政策価格決定が一か月前倒しになっているということは、やはりそれなりに危機感をそれぞれ関係者が抱いた共通の事項だと思っております。やはり即効性のある緊急対策も含めて、是非御決断をしていただきたいというふうに考えております。
その際、また、経営安定対策について、今後、この制度自体が私、個人的に率直な思いとして、余りにちょっと複雑過ぎているのではないかなという思いも一方でしております。これは、具体的にどうとかこうとかいうのはちょっと今日は時間がありませんので申し述べませんが、分かりやすい制度を、やはり十分それをやっていただきたいというふうに思っております。
大臣の方から価格の問題提起をしていただきました。今、畜産・酪農家、飼料高騰に加えて価格転嫁が思うように進まないという現状があるわけであります。
先ほどの質問の中で価格転嫁、小売価格の転嫁の問題が提起がありましたが、私は、小売価格はもとより、卸売市場での価格形成というのは適正な価格が反映されているのだろうかと。食肉の中央市場での取引方法に関しては、食肉は九〇%以上が競りで取引されます。これは、青果、水産、花卉に比べてかなり高率な割合でございます。
基本的に価格というものは市場で決めるものというのが大原則であろうと思うんですが、しかし、そもそもその市場の価格というのは生産費が適正に反映されたものなのか、この認識、あるいはこれが適正なものでないとすれば、私は適正さを欠いているんだと思っているんですが、この対策についてどう取られるのか、この点についてお伺いをいたします。副大臣。
○国務大臣(若林正俊君) この食肉の卸売市場、食肉の卸売価格の形成は、おっしゃるように競りの形態を取っております。これはもう個体、それ一つ一つ違って、規格というのが生体の場合にございませんので、どうしても一つ一つ確認をして、質も見て、それでそれぞれが評価して競りで取引するという形態は避けられないんだろうと思うんです。
問題は、だから買う側が、競りで落としたものが流通過程を経て商品として消費者の手に渡る、その過程の合理化と併せて、やはり消費者段階でどのような価格形成が行われるかということが私は大事なポイントになると思っております。
ちなみに、小売価格への今度の生産コスト、飼料価格の値上がり分の、まあこれ仮定の計算ですが、すべてを小売価格に反映した場合に、小売価格はいろいろそれぞれによって違うんですけれども、五円ないし十円の上昇と。生乳については、生乳一キログラム当たりでいえば五円、六・六%ですが、牛肉でも、乳用種のものについては四・九%、二十円上がる、上げなければ吸収できない。ブロイラーは七円、六・一%。豚肉については十二円、四・八%。鶏卵が大変でございますが、二十二円、一パック当たりで二十二円で一〇・三%と。
こういう、これは計算を適正に反映していくとすれば、これが実現しなければ畜産経営は経営としては維持できなくなるんですという話を、我々行政も、市場に任せるというだけではなくて、積極的にPRをしていかなきゃいけないというふうに思うわけでございます。
こういう小売価格への適正な反映をしていく際によく問題にされますのは、量販店などの優越的地位の濫用行為というのがあるんじゃないかと。これは、実は公取のある責任者とも話をしているんですけれども、なかなか捕まえられないといいますか、話としてはあるんだけれども、いざとなると言ってもらえないんだと。そうするとその後の取引に影響してしまう、他の取引に影響してしまうというようなことがあって、なかなか優越的地位の濫用行為を具体的に取り締まるということが現実としては非常に難しいというお話がございました。
我々、そういう情報を入手したときにはやはり公正取引委員会にしっかりと連絡していく、そういうことを関係者の中に周知をして、公正取引委員会も立ち上がらざるを得なくなるというような状況を、我々、関係者がそういう取組をしていくということもお願いしなきゃいけないんじゃないか。私自身は、公正取引委員会におきます優越的地位の濫用行為というにらみをここでしっかり利かしてもらいたいなという思いを込めまして、情報の提供などをしていかなきゃいけないと、こんなふうに思っております。
○谷合正明君 公取の優越的地位の濫用行為ですね、疑いがあった場合には、まあこれ畜産だけじゃなくてほかのすべてのものに言えるんですけれども、なかなか公取も動いていただけないという悩みもあって、これ是非、大臣としても是非問題を取り上げていっていただきたいというふうに考えております。
次に、この飼料価格高騰、輸入飼料の価格高騰があるので、この輸入飼料に影響されないように国内でいわゆる自給飼料をどうやって増産していくのかというのが一つ課題であろうというわけであります。その中で、従来、粗飼料の増産というのは中心的に行われてきたんですけれども、濃厚飼料の自給対策については結構今もその自給割合がかなり低いということで、ここがまだネックになっているわけであります。
そこで、飼料米についてお伺いしますけれども、まだこの飼料用米の作付面積というのは全国で百ヘクタール程度ということで、まだまだ少ないのが現実でございます。課題はいろいろございます。トウモロコシとの価格差をどうやって埋めるのかとか、あるいは多収穫米の開発であるとか、いろいろやることがあろうかと思うんですが、しかしながら、今のこの畜産を取り巻く現状を考えると、ここを本当に本腰入れないと私はいけないと思っています。
この飼料自給アップの切り札として期待されている飼料米の増産対策、またこれがしっかり定着するまでの工程についての管理についてお伺いをいたします。
○国務大臣(若林正俊君) 私も同じような認識で同じような視点の下にこの十九年度の補正予算の地域水田農業活性化緊急対策というのをお願いをして組み立てたわけでございます。
水田を活用した飼料用米の生産というのは本当に重要だと考えております。主食用米の需給バランスを図りながら、米の生産調整の一環として飼料用米などの非主食用米の低コスト生産技術を確立し、定着を進めていくということを大きな方針として打ち出していくと。そして、畜産における利用拡大を図るために、飼料用の米を利用した畜産物の付加価値化、これは現実に実証事業で青森などであるんですけれども、お米を多く食べたえさでつくると、卵が余り黄身が黄色くならないんですね、白っぽくなると。何となく、これ御承知かもしれませんが、卵の黄身を黄色く見せるために、カロチンですけれども、パプリカなんかの粉末を入れて黄色く見せるというようなことを配合飼料なんかはやっているんですね。それはそういう消費者とのかかわりですから、いろんな工夫が行われるんでしょうけれども、逆手を取って、お米を食べた鶏ですよ、卵ですよということで青森ではむしろ高い付加価値を付けた形の高い鶏卵を流していると、売れているというようなケースもあるわけでございます。
そういうようなことで、本格的に飼料用米の生産とその活用というものに取り組んでいきまして飼料の自給率向上に努めていきたいと、このように思っております。
○谷合正明君 私は、地元の岡山県内回っている中で普及の課題として聞いたのが、いわゆる転作奨励金だとか、あれがいつまで続くのか分からないとか、産地づくり交付金ですね、というのがあったり、あるいは機械の導入の話を受けました。これ飼料米というのは新しい新規の機械要らないんじゃないかと最初私は思っていたんですが、よくよく聞いてみると、その稲発酵粗飼料用の、ロール状にしてラッピングにしてまとめる専用の機械が必要だと、効率良くその飼料用米を増産していくためには。しかしながら、その機械が津山、美作といった岡山の県北、東部ですけれども、一台しかないという現実でございました。
この機械導入というのが欠かせないんですが、ただこれ高額な上で、そういう購入に踏み切る地域が少ないんではないかなということを推測するわけでありますが、この耕畜連携における機械類の導入に対する支援の現状、取組についてちょっと手短にお願いします。
○政府参考人(内藤邦男君) 御指摘のように、稲発酵粗飼料の収穫作業、既存の機械でもできるわけでございますけれども、最近開発されました専用機械でより効率的にできるということで我々も普及を進めております。その支援の事業としましては、強い農業づくり交付金あるいは耕畜連携水田活用対策事業でございます。これらの事業のPRをしながら、その普及に努めていきたいと思っております。
ちなみに、メーカーから聞いている販売台数では全国で百二十台強という状況になっております。
以上でございます。
○谷合正明君 最後に、政務官に質問いたします。
新型インフルエンザ対策でございます。新型インフルエンザが発生した場合、我が国にこれが広範にかつ急速に広がると言われておりまして、日本で発生した場合は人口の約四分の一が感染するだろうと、で、死者は最大で六十四万に上るという報告があるわけであります。
こうした事態が発生した場合にどういう対応をするのかと。厚生労働省が出したガイドラインについては、これは医療面のことはいろいろ書いてあるんですが、食料品の確保という点については書いてないという。ここについて、農林水産省として事態想定だとか対応策を検討すべきだと私は思っておるわけでありますが、国民への食料品の安定的供給という観点で今どのように考えていらっしゃるのか、この点についてお伺いいたします。
○大臣政務官(澤雄二君) この新型インフルエンザ対策につきましては、おととし私は初めて国会で質問させてもらいまして、政府の対策の後押しといいますか、後押しというよりも引っ張り上げてきたというふうに思っていますが、この食料の安定供給については質問したことはありませんでした。今回御指摘があって、これは非常に重要な問題であるというふうに認識をしておりますが、物すごく難しい多岐にわたる問題がいろいろございます。
今ガイドラインについてお話をされましたけれども、実はガイドラインに一部述べているところがあります。それは、治安維持、ライフラインの維持、輸送関係者等は、その機能の破綻が及ぼす社会的影響が大きいことから社会機能維持者として位置付けられていて、食料販売関係者及び食料品などを搬送する者もこれに含まれております。
この社会機能維持者については、新型インフルエンザが流行した場合における業務を継続するための計画を策定することが望ましいということが行動計画の中に書かれています。つまり、感染してどんどんどんどんその輸送業務者が少なくなっていく。しかも、仕事に就けば就くほど感染をしていきますから、感染をしていくと致死率が高いので仕事には行きたくないということになったら、食料を供給する人がいなくなってしまう。だから、そういうことがないように業務を継続するための計画を策定しなさいというのがガイドラインでございます。
農水省では、この行動計画に沿って、平成十九年の四月、去年の四月に、食品製造業や小売業、外食産業等の業界団体及び会員企業に対してガイドラインを周知徹底いたしました。と同時に、今年の一月以降、食品製造業及び小売業界において業界説明会を実施し、ガイドラインを踏まえた業務継続計画の策定を要請しているところでございます。
いずれにしましても、この新型インフルエンザ発生時に食料の安定供給を確保するためには、食品業界のみならず、運送業者など食料品の輸送を所管する関係府省との連携が重要と考えております。
具体的に、食料品については、まず第一に、どのような品目を供給しなければいけないのか、そしてその供給しなければいけない品目についてはどのように確保するのか、そして確保したその品目をどのように消費者の手元に届けていくのか、こういうことについて、いろんな関係省庁にかかわる分野もございますが、検討を始めたところでございます。
今後とも、新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議を通じて、関係省庁と一体となって取組を進めていきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 終わります。