○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
前回に引き続きまして、発議者の皆様に質問をさせていただきます。本日は、まず交付金の交付について、具体的な項目を含めて、その点から質問をさせていただきたいと思います。
まず、農業者戸別所得補償金として、主要農産物の種類ごとに毎年の主要農産物の生産面積に応じた支払を行うこととしていると。第四条の二には、主要農産物について標準的な生産費と標準的な販売価格との差額を基本としつつ需給の動向に応じて単価を決めていくということなんですが、まず初めに、これも繰り返し出ているかもしれませんが、標準的な生産費とは一体正確にどういうところまで考えているのか、全額地代を含めた話なのか。また、標準的な販売価格とはどういうことを考えていらっしゃるのか、それをまたどのように正確に捕捉していくのか。その点についてお伺いいたします。
○平野達男君 まず、標準的な生産費につきましては、政府が出している生産費調査という統計がございまして、これの該当になっている作物としては米、麦、大豆等々があります。このデータをしっかりと活用するということだと思います。
しからば、標準的ということでありますけれども、これについては、例えば過去の二年間の平均を取るとか三年を取るとか、いろんな考え方があると思っています。今そこについて、きちっとこれが標準的だというふうな算式までを今ここの中で詰めているわけではありません。
そして、販売価格でありますが、これは生産費との関係からいきますと、どうしてもやっぱり農家が受け取る庭先の、いわゆる庭先の販売価格でなければなりません。ところが、このデータがなかなかないですね。これについては何らかの調査をして、モデル調査になるのか、あるいは生産費的な多分サンプル調査になるのか分かりませんが、そういった調査は対象となる作物についてやっていかなくちゃならないというふうに思っています。
それから、もし生産費調査、政府のような生産費調査の対象とならないような作物でこの措置の対象になり得る作物については、生産費についてもやっぱり調査をするということが必要だと思っています。
○谷合正明君 対象品目は今、米、麦、大豆でございますが、それはつまり、例えば飼料作物等を含めていった場合に、飼料作物の場合は余り販売されていないというケースもあるやに聞いておりますが、そういった例えば飼料作物を対象品目にするとしたときに、これはどのように捕捉をされていくんでしょうか。
○平野達男君 例えば酪農家なんかでは、御承知のように自分で作って自家消費している例もありますけれども、例えば牧草なんかでも販売している農家もありまして、それはその農家を対象にした捕捉をやればいいというふうに、単純にいけばそういうふうに考えています。
○谷合正明君 いずれにしましても、米についても庭先価格をどう捕捉していくのか。この法律案によりますと、成立した暁には、何年に実施でしたか、二十一年でしたかね、かなり、一年間の余裕しかないという中でどこまで正確性を追求できるのか、これ非常にこの中身の骨格というか腰になると思っておりまして、この点は、何というんでしょうか、これから鋭意精査するというか努力されるとお答えされましたけれども、ここは本当に実効性あるものとするべき、これもう少ししっかり検討していただきたいと強くここで申し上げたいと思います。
次に、いわゆる主要農産物の需給調整、需給情勢からしますと、米とそれから麦、大豆については、全く需給調整の観点からするとベクトルが違うと。それは、先ほど来質問の中でも出ている話であります。こうした、例えば米の場合は生産を抑制的にする、麦、大豆の場合は生産を奨励していくという全く百八十度違うベクトルを向いているわけでありますが、そこに対して所得補償を行うと。それは、どういうふうにその違いを支援水準に出していくと考えているのか、その点について伺います。
○平野達男君 これについては、正にこの条文に書いてありますように、需要と供給の動向を勘案して単価を定めるということでありますから、標準的な生産費と標準的な販売価格の差ということに、今どちらかというと生産が過剰なものについてはやっぱりそれを勘案しつつ単価を設定するし、もっともっと生産を振興したいものについてはその単価を踏まえてもっと生産意欲を刺激するような単価を設定するという、そういう方向で決めるということであります。
○谷合正明君 当初、差額というのが、生産費と販売価格の差額というのが結構伝わっておりましたけれども、結局のところ、その法案の中には需給の動向を考慮して決めると、ここが非常にポイントなんだろうと思っておるんですが、言わばこれは差額に対して、当たり前の質問かもしれませんが、プラスアルファもあるしマイナスになるということととらえられるんでしょうか。
○平野達男君 いわゆる減らすとか増やすというのは、この間、先般山田委員との御議論の中でもいろいろやらせていただきましたけれども、減らすとかプラスマイナスということではなくて、私はどうしてもこだわりたいのは、あくまでも単価を設定するにはそういった要素を考えながら適正な水準の単価を設定するということでありまして、結果的にいいますと、米については、どちらかというと、米については今の標準的な生産費と標準的な販売価格よりはちょっと下がった単価設定になり得るんだろうというふうに思っていますし、麦、大豆についてはその水準か、あるいはその水準よりちょっと上なのか、今の段階で私は確たることを申し上げられませんが、そういった方向が考えられるのではないかと思っています。
○谷合正明君 そうしますと、結果的にはすべての販売農家の赤字、米農家ですね、赤字が解消されないということにつながるということだと思うんですね。
まず、前回の議論の中で単価は下げないというふうに言われていた。単価は下げないんだと。しかし、そういう考え方じゃなくて、需給の動向を見極めて価格を、補てん額を決めるということがなかなか、私も聞く範囲の中でなかなかよく分からないと。結局、米農家の場合はどうしても、例えば一万六千円と一万一千円の差額が全部は補償されないということになると思うんですね。そこの若干減るというところに対して、前回はナラシ以上の水準は確保できるのではないかというふうに答弁されましたけれども、ナラシと今回の価格補てんが同列に比較できるかどうかという問題はおきまして、今の、現行のナラシ、九割の補てんというのは確実に補てんするという考えなんでしょうか。
○平野達男君 私が申し上げた趣旨は、これまでのナラシの発動状況を見ますと、一番多いときで九百億ぐらいだったでしょうか。あるいは七百億だったかもしれません。それは発動したときもあれば発動しないときもある。これは、価格が下がってきて低位安定で止まればこれは発動されませんから。そういう性格を持っているということです。しかも、ナラシの場合は、一対三ということで生産者からの出資も前提にしております。
今回の私どもの措置は、例えば米一俵千円ということを補償したとしても、一千二百億円ぐらいそれで予算が出てきます。しかも、それは、その一千二百億というのはある意味ではずっと支払われ続ける補償金でありまして、そういった観点で、少なくともナラシよりは農家にとっては所得補償されているんだ、あるいは農家にとっては目に見える政策ということで映るのではないかという、そういう意味で申し上げました。
○谷合正明君 更に細かく聞きたいんですが、米については、特に地域差であるとか品種であるとか銘柄によって大きく状況が違うということなんですが、まず、標準的な販売価格というのは一律に決めていくのか、あるいは今申し上げました地域あるいは銘柄等に応じながら細かく、各、何というんでしょうか、最終的には農家ごとに設定していくのか、その点についてお伺いします。
○平野達男君 結論から言いますと、今私どもは標準的な生産費と標準的な販売価格については全国一本で考えています。一本で考えておいて、そしてそれで需要と供給の動向を勘案して定めるわけでありますが、そこで差額が決まってまいります。
そして、今申し上げた、今委員の御質問にあった、地域ごとによっていろいろ違うじゃないかと。確かにそうです。魚沼産コシヒカリもあれば北海道産のきららもあります。そういった米のいろんな違いについては、市場によってきちっとこれは単価差が出ておりますので、高いものは一俵当たり一万八千円でありますとか、ちょっと安いものについては一万一千円でありますとか出ていますので、その中で反映されるものだというふうに思っています。
○谷合正明君 もう一つ付け加えますと、加算措置って法案の中にも書いてあると思うんですね、品質等を踏まえて。それは米に当てはまる話なんでしょうか。
○平野達男君 そこはもうちょっときっちり御説明すべきだったと思います。
品質加算については私ども畑作物だけを考えています。具体的なイメージとすれば、やっぱり麦、大豆という、ああいった作物に代表されるものでありまして、その品質が市場の中でなかなか反映されにくいというものについて考えています。
米については、繰り返しになりますけれども、等級それから品種等においてかなり市場でそのままきちっと価格に反映されていますから、それをそのまま受け入れればいいというふうに考えています。
○谷合正明君 そうすると、米の場合は加算措置等はやらずに、あくまでも標準的な販売価格、生産費との差額で、さらに需給の動向に応じて決めていくということになりますと、例えば、繰り返しになるかもしれませんが、ちょっと私の理解の不足なのかもしれませんが、米農家といいましてもいろいろ、直売でやっているようなところもあれば経営規模を拡大しながらやっているところがあって、一律に、何でしょうか、標準的な販売価格を定めていくことがすべての米農家にとって、この辺ちょっと若干の不公平感が、差は生じてこないのだろうかという疑問がちょっとあるんですが、もう一度答弁いただけますか。
○平野達男君 不公平感というのはちょっとよく分かりませんけれども、いずれ、米については地域によって生産費が違います、また販売価格が違ってくると思います。だから、その地域ごとによって、じゃ補償する交付金の額、単価の考え方も違っていいんじゃないかという考え方もあると思いますが、これは私どもはやっぱり政策判断として、全国一本でまずその差額を決めて、そしてさらに、地域によっては単収によって差がございますから、その単収に応じて、単位当たり面積の単価が変わってきますが、その単価に応じてその単価を設定をして、いわゆる生産計画にのっとって生産した農家に対して交付金をお支払いするという、そういうことを考えているということです。
○谷合正明君 分かりました。
ちなみに、その単価は何年間か固定する、何年固定するとかいう今考えはあるんでしょうか。
○平野達男君 発議者としては、やっぱり三年ぐらいは固定した方がいいんじゃないかというふうに考えておりますが、これについてもまだ専門家等あるいは内部でいろんな議論が必要だというふうに思っています。余り頻繁に変えるのはよくないと思っています。
○谷合正明君 分かりました。
次に、生産数量目標について質問を移らせていただきます。これも先ほど来から出ておりますが、改めて質問させていただきます。
第三条には生産数量の目標が設定されると規定されておりまして、国は何を根拠に、どういう考え方で生産数量目標を設定するのか。また、その対象農作物、米、麦、大豆はありますが、雑穀だとか菜種だとか、あるいは飼料作物ごとの生産数量目標というのはどのように、すべて品目ごとに目標を設定していくのか、どのようにやっていくのか、その点について伺います。
○平野達男君 まず、米についてはもう先ほど来申し上げているとおりですから割愛させていただきますけれども、他のいわゆる生産を振興すべき作物については、何といっても、今どれだけその地域で当該作物が生産されているかということがまず基本だと思います。
そして、私どもは、この作物については十年後に何万トン、何万トンというような最終的な目標を必ずしも決めなくていいんではないかと。まずは、今も申しましたように、地域の中で麦、大豆、雑穀でもいいですが、どれだけ作られているか、それを三年間で生産を一割上げるあるいは二割上げる、そういったまず多分ガイドライン的なものを設定するんではないかというふうに思っています。
そのために、例えば雑穀を作ったらこれだけの交付金が出てきますよ、大豆を作ればこれだけの交付金が支給されますといった単価を公表していますから、その単価を見ながら生産者が自分でじゃ作ってみようか、こういう計画に参加してみようかということで参加の是非を決めるわけでありまして、その積み上げの上に、最終的な国が設定したガイドラインの目標に到達するかどうかが決まってくると思います。
どうしてもそれが到達できないといった場合については、例えばそれは地理的な条件の問題なのか、畑作物としてその作物が適さないという問題なのか、いや、そうではなくて、やっぱり交付単価がまだまだやっぱり少ないということなのか、そういったことをチェックしながらその生産振興を図っていくということになるんだろうというふうに思っています。
この特に生産するべき作物につきましては、繰り返しになりますけれども、国、県あるいは市町村がこれだけ作りなさいということではこの計画は進まないわけです。何といっても、当該の生産者が分かりました、作りましょうという同意がなければどうしようもありませんから。だから、その同意を踏まえつつ、その生産振興を図っていくということです。
○谷合正明君 米の場合、生産数量については供給が需要を上回っているわけなんですけれども、各農家の生産を抑制しなきゃいけないということですが、どのようにしてその配分した数量目標以下に生産を抑えていくか。
○高橋千秋君 これも何度も出ている話でございますけれども、今回の我々の生産数量目標については、生産をある程度抑制をしなければならない、余剰になっている米、それとそれ以外の品目については分けて考えないといけませんが、先ほど委員の質問で、米のように余剰になっているものについてどうして抑制をしていくのかというお話でありますが、生産数量目標に従ってこの制度に参加をしていただく方には、作っていただく方に対して交付金を払うわけでありますけれども、これに参加をしない人若しくは参加をしても意図的に多めに作ったような方々に対してはこれが一切払われないわけでありますから、もしそれで余剰が更に大きくなって価格が低下をすれば、一番デメリットを負うのはこれに参加をしない人やこの制度を破っている人、その方々が一番デメリットを負うわけですね。価格が下がってもその差額分をもらうのは、その制度にきっちり参加をされている方々がそのメリットを受けるわけでありますから、これで参加をした方がいいという、そういうインセンティブが働くわけです。そのことによってその生産数量目標を達成をしていくというやり方であります。
○谷合正明君 米の場合、その生産数量目標を少しでも上回った場合は一切支払われない、補てんされないんですか。
○高橋千秋君 生産数量目標を設定する場合に、一反当たりどれぐらい取れるかという、そういう綿密な計算の上で、単価は面積に掛けますから、そのときはそれはたまたま、作況によって当然変わってまいりますけれども、面積に掛ける単価という形でありますから、それは予測の上できっちりと判断をしていくということです。
○平野達男君 これは、生産数量目標というのは、戸別の農家については当該年度あるいは翌年度になるか分かりませんが、米についての作付面積が割り当てられます。それで、この交付金をしないか、罰則を科すか科さないかは、その作付面積を破ったときには、それは科さないということです。
一方、米については、当然単収とか何かにはその年、折々によっていろんな変化がございますから、多く取れるときもあれば少なく取れるときもある。
ここで考えなくちゃならないのは、本当にたまたまその年豊作だったらどうなるんだろうかと、豊作でですね。それは別に、作付けの面積が、割当て面積が守られている限りについては、それは何にもペナルティーになりません。ただ、全部が全国で豊作になりますと米が余ってきますから、これは残念ながら次の翌年度のときに作付面積の割当てがちょっと減ってくるということも考えられます。それは今の需給調整の仕組みと、考え方と全く同じです。
○谷合正明君 分かりました。
もう一つ、違う角度で確認させてもらいたいんですけれども、生産数量目標が守られたとして、これもあくまでも面積だという話なんですが、生産費が一定程度、差額が全額補償されるわけじゃないんですが、一定程度確実に補てんされるのであれば、逆に安売りが助長されるような可能性というのはないのだろうかと。つまり、買いたたきを防ぐ手だてというのはどのように考えていらっしゃるのか、その点について伺います。
○平野達男君 それは一般論でいえば、補助金を付けることによって、本来生産する力のない方が生産をすることで市場にいろんな歪曲効果を上げてそれは農産物価格が下がるということは一般論としてはあります。しからば、今の議論の中で、一定程度のゲタ、要するに加算をしたときに、いわゆる市場においてその加算を見込んで米の価格が決定されるかどうかということに対しての質問だと思います。
これは、多分ナラシ対策その他でもいろんな同じことが言えると思います。ナラシ対策をやっているからといって、じゃ米価の下落がしているか。これは、全く影響ないとは言えませんけれども、こういう対策をやっているからといってその分米価が下落するというような価格の形成のされ方は私はないと思っています。ですから、千円乗せても二千円乗せたとしても、これ、全く歪曲効果というか、価格に対する影響がないとは言い切れませんが、それを見込んで市場価格が形成されるというのは、米に対して市場がどのように物を、その米というものに対しての価値が市場に、どのように見ているかという問題でありますから、ここはやっぱり、そういうことはないということで私どもは考えています。
○谷合正明君 それから、また確認ですけれども、先ほど、需給調整に参加するメリットがあるのかないのかが大きな、生産調整ですね、参加するメリットがあるのかないのかが大きな違いだと言われました。その今生産調整に参加していない稲作の面積の割合が約一五%だと思います。そのうちの一二%の人が、人というか、一二%が四ヘクタール以上の耕地面積であると。大体、十ヘクタールもかなり、大規模農家もかなりあって、そういった方々、元々コストをダウンしておりますので、そうすると、そもそもそういう人たちがこの戸別所得補償をすることによってどれだけ生産調整に加わろうとするインセンティブが働くのか。
先ほど、価格下落があるから逆にデメリットがあるんだと言うんですけれども、どこまでそれが実効性あるのか、その点について伺います。
○高橋千秋君 先日も大規模農家の方とお話をさせていただいて、この話をしていたときに、要は、規模が大きくなればなるほど生産費はコストダウンはできますね。ですから、標準の販売額との差はその農家に限って言えば広がるわけです。だから、規模が大きくなれば大きくなるほどそのメリットは余計に大きくなるわけで、逆に言うと、そういう規模拡大のためにもこれは非常にメリットがあるわけですね。
○谷合正明君 何かいまいち、確実にインセンティブが働くかどうかというのが腑に落ちなかったんですけれども、最後にお願いします。
○平野達男君 その問題は、今の需給調整にもそのまま当てはまると思います。
ですから、この措置をとったからといって、例えば、今、十五ヘクタールの水田農家がいて、販路もしっかり確保している、だからもう自分で自由にやれますよと言って、それで、そういうことで自分の経営方針を決めてやっている方は、多分こんな措置やったとしても乗ってこないかもしれません。
ただし、今回と今までの需給調整の違いは何かといえば、万が一価格下落が続きますと、その人は価格下落の余波を完全に受けます、需給調整に参加していませんから。それに参加していれば、作付面積は減りますけれども一定の所得は確保されるということで、多分その方は、我々が設定する、これが設定する一俵当たりの単価でどれだけのセーフティーネットが張れるか、他方、将来の米のいろんな価格の動向を勘案しながら単独でやった方がいいかという、多分双方の経営感覚で判断すると思うんです。
だから、そういう農家は農家で、ある意味では自立した農家ですから、まあそれはそれでよろしいんじゃないかというふうに、まあよろしいんじゃないかと突き放した言い方じゃなくて、これこそ立派なプロ農家ですよ。いろんな政策があって、この政策に乗った方がいいか、いや自分の政策でやった方がいいかという経営判断を持ってやるわけですから、そこはそこでいいと思います。
ただ、違いは、繰り返しになりますけれども、今の需給調整では、そういう農家の方々については乗ることに対してのメリット措置は何もありませんから、需給調整に参加しようというインセンティブは本当に少ない。しかし、我々の措置からいけば、少なくとも需給調整に参加しようとするメリットはありますから、じゃ、やってみようかという動機が働いてくる、これは大きな違いであります。
○谷合正明君 それでは次、麦、大豆の方なんですけれども、生産数量目標を設定する場合に、麦、大豆にも、いろいろな用途ごとによってかなり需給状況が異なっていると。
先ほど単価のベースで話をさせていただいて、単価もいろいろなことを勘案しながら最終的には決めていくんだという話だったんですけれども、やはりこの生産数量目標についても同じだとは思うんですが、この麦、大豆の用途向け品種を、各用途ごとの用途向け品種をどの程度生産できるかを完全に、完全にというか、できる限り把握した上での目標だとは思うんですが、この点についてお伺いします。
○平野達男君 そういうことができれば、やれればいいんですが、私はやっぱりこれはできないと思います。先ほど言いましたように、麦は十年後までにはこれだけの生産やるから、個々の農家までレベル行ってこれだけの生産をやってくださいと言ってもそれだけのインセンティブを与えなければ農家は生産しません。
それからあともう一つ、先ほど佐藤委員の質問の中にもありますけれども、作ったものが本当に引き取ってもらえるかどうかということもあります。これはだから難しいと思うんですけれども、そういったものを勘案しながらやっぱり毎年度の生産量を、先ほど言ったようにガイドライン的なものを設定しながら農家との対話を進める中で生産振興を図っていくということだというふうに思います。
この問題は谷合議員にも是非考えていただきたいと思うんですけれども、政府が言っている四〇%から四五%まで自給率を上げますということに対しての目標が掲げられていますが、じゃどうやって上げていくんでしょうかということに対しての個別作物に対しての例えば筋道、それは何も示されてないんです。
今回、我々は、麦、大豆についてはある一定の、現状を勘案しながら、当面二、三年ごとの地域のガイドライン的な生産数量の目標を設定していきながら農家との対話の中で生産数量、生産の増産を図っていこうじゃないかということを提案していまして、そこが大きな違いであります。
ここをどうするかという問題は、本当にある意味では、今までやったことがないと言ったら言葉は語弊があるかもしれませんけれども、今まできっちりとやってこなかった分野でありまして、かなりの試行錯誤はあるのかとも思いますし、本当に自給率を上げるためにどうするべきかということについては是非知恵を出していただきたいというふうに思います。
○谷合正明君 この点については、私もこれはもちろん同じ委員の一人として鋭意考える、考えるだけじゃありませんけれども、しっかりやってまいりますけれども。
それで、この生産数量目標の設定に当たって農業者の意向を踏まえるというお話であります。この農業者の意向について、何度もこれは質問が繰り返されました。
確認ですが、麦、大豆については、農家の希望に応じた生産数量、生産面積なんでしょうか、これがイコール生産数量目標になるということでしょうか。
○高橋千秋君 先ほどもお話をしたように、生産を増進しなければならないものと、米のような供給を抑制をしなければならないという部分とありますけれども、麦、大豆については増進を更にしていって自給率を高めていかなければならない。その意味で、それぞれの農家から出てきた意向はそのまま酌み取っていきたい、そういうふうに考えています。
○谷合正明君 意向を酌み取った上で、更にもっと生産してくれということはあり得る。
○高橋千秋君 当然、それ以上にやっていただけるような努力はこちらからもしていかなければならないというふうに思います。
○谷合正明君 米については各農家の希望は積み上げるんですか。それは違って、やはりあくまでも需給のバランスに応じてブレークダウンさせて下に下りていくということなんですか。
○高橋千秋君 基本的には意向は聞きますけれども、それ全体の生産数量というのを目標定めていかなければなりませんから、国で定めたものをブレークダウンをしていくということが必要になると思います。
○谷合正明君 その基本的に聞くというところのそれがですね、どのようにそれが反映されていくのかが、それが意味あるプロセスなのか。今聞いていると、最終的にはブレークダウンしていくんだという話になるんですが。
○平野達男君 先ほどの議論でもありましたけれども、今の需給調整の、今、地域協議会なんかでやっていますね。その枠組みをまずそのまま使うんだろうと思っています。
繰り返しますけれども、何が違うかというと、そこに県、市町村の行政の関与の度合いが今度は大きくなるということでありまして、あくまでも地域の主体性に任せる部分はございますけれども、需給調整は、最終的に作付面積そのものについては、作付面積等についてはやっぱりきちっと確定しなければなりませんから。その中で、ブレークダウンという言葉を使いましたけれども、割当て的な形になる場合もあるということでありまして、繰り返しになりますが、米については今の需給調整のその流れそのものをまず継承する形になるということです。
○谷合正明君 生産数量目標ですけれども、国、都道府県及び市町村が相互に連携していく、目標を設定していくというふうに書かれているわけでありますが、どのようにこれを連携していくのか。先ほど、意向を酌み取っていくというような話だったんですけれども、合意形成がどれだけ容易にされていくのかがまだ私もはっきりとしたイメージがないんですけれども、これをだれが最終的にどのように判断して、配分という言葉を使いますけれども、配分を行うのかということなんですが。
○平野達男君 じゃ、以下は米以外の作物、特に麦、大豆なんかをイメージしてお話しをさせていただいてよろしいでしょうか。
○谷合正明君 はい、取りあえず麦、大豆。
○平野達男君 そうですね。
これはもう、先ほどもこれはずっと申し述べてきたとおりでありますけれども、麦、大豆を畑作で作った場合に、あるいは転作で作った場合にはこれこれの交付金が支給されますという単価が公表されます。そして、生産者はその単価を見ながら、じゃ、麦、大豆を作ろうかと、そういう判断をするんだろうと思います。そのときに、判断をするときに、地域の農業委員の皆さん方あるいは普及員の皆さん方、市町村の職員さんの皆さん方が、もっともっと作ってくれないか、何とか作ってくれないかと、そのために必要な、土地利用調整が必要だったら、土地利用調整の中にそういった形の人が入っていって、それで集団で例えば作付けをするとか、そういったことの調整が始まるんだろうと思います。
だから、そういったいろんなやり取りの中で生産振興が図られていくという、そういうイメージでありまして、正にこれからの生産振興というのはそういった一つの、一種の運動論、ただ運動論だけではなくて、繰り返しになりますけれども、生産者がその作物を生産するときに、これだったら何とかやっていけるな、損はしないな、もうかるなと、多少これは利益が出るなというような、そういったインセンティブを与えながらやっていくということでありまして、そこにやっぱり生産者の最終的には意思が反映されてくるというか、意思で決まるということだというふうに思います。
○谷合正明君 もっと作ってくれというのは多分、恐らく米に比べますと、生産抑制的な米に比べると割かし市町村職員もアプローチは容易ではなかろうかと思うんですね。
そこで、米の場合、基本的には農家の意向を聞くと、その上で需給のあれに応じるんですね。合意形成できなかったときの、多分市町村が、職員というのが、今回、国が決めて都道府県が決めて更に市町村が決めていくと考えていくと、市町村職員というのは大分板挟みになっていくんじゃないかと、そんなふうに危惧をするわけでありますが、市町村職員はこれを多分聞いていると、おれたちはそこまでできるのか不安になっているんだと思っておるんですが、その点についてどうでしょうか。
○平野達男君 かつてのいわゆる減反というのはそれでやったわけですよね。それを十五年度に改めて、自主的な生産調整ということであったので改めたというのは、先ほど佐藤委員が質問の中で言ったとおりです。
要は、需給調整は本当に難しいですよ。これは何回も私も言ったとおりです。パーフェクトな需給調整なんというのはなかなか難しいです。特にこれから需要が変転する中で、来年、再来年の国全体としての需要量をどのように設定するか、それがまず難しい。そして、その需要量を最終的には各農家の方々にこれだけの米の生産でお願いしますというふうに持っていく、これは本当に大変なんです。だから今、本当に苦労している。その中で、私は需給調整に、あるいは生産調整に参加しないという方も多分結構、先ほど、一〇%以上の方々がおられるんです。
今回の我々の政策はこれにパーフェクトにこたえているかどうか分かりませんが、少なくともこの今までの需給調整を進める中で一番言われていた、現場で言われていますけれども、需給調整にまじめに取り組んでいる人のメリットがありませんということに対しては、この計画生産にのっとった方々を対象としてある一定の米に対しての所得補償をしましょうというのがまず第一点。それから、需給調整についても、やっぱりこれだけタイトになってきますと自主的だ自主的だというわけにもなかなかいかないんじゃないかということもあって、県、市町村もどこまでかむかというのは、これから深く関与するかという問題がございますけれども、行政の関与もそこに入れていく必要があるということで、この二つの面で、需給調整は少なくとも今までよりはうまくいくんではないかということだし、そういうことが十分期待できる措置だというふうに思っているということであります。
○谷合正明君 繰り返し、これは法案の骨子の質問じゃないのかもしれませんが、市町村の場合は事務の煩雑さということで、それは現行の政府のやっているやり方よりは膨大になるとお認めになられているんですけれども、特に今回は米農家に対して交付金を支払っていくということになると、各農家が生産数量目標に従っているかどうかというのを確認していくという必要が出てくる。これは市町村がやっていくんでしょうか。かつてこういうことをやっていたじゃないかという話なんですが、今これをもう一度できるというふうに見込みをされているのかどうかについてお伺いします。
○平野達男君 いずれ、需給調整は、米価の安定、それから米以外の作物を作るための、推進していくという面においてもこれは重要な措置であります。
様々な問題がありますけれども、この需給調整をしっかりやっていくための体制整備、それから市町村、そして地域協議会、農家、あるいはいろんな農業団体、それが一体となった体制づくりについては引き続きしっかり取り組まなくちゃならないというふうに思っています。
○谷合正明君 分かりました。恐らく、もう相当しっかり取り組まないと市町村のレベルでは対応し切れないと思っておりまして、この辺りは市町村の人的配置の問題、今合併でもうかなり市町村数も減っておりますし、大丈夫なのかなというところがまだあるんですが、ちょっと時間の問題もありまして、次の質問の方に移らせてもらいます。
もう一度、米の生産目標のところに行きますけれども、民主党のマニフェストで原則すべての販売農家に交付金を支払うとしていたと。今回、法案については、生産数量目標に従って生産する農家に対して交付するという、そこに強いリンクが掛かったわけであります。マニフェストを読んでいる限り、そこは必ずしもリンクしていなかったと私は認識をしているんですが、そこはマニフェストを作ったときと今回法案提出したときとやっぱり差はあるということなんでしょうか。
○高橋千秋君 何事をやるにもやっぱりルールというのは必要ですよね。何でもかんでもやれるというわけではなくて、当然原則という言葉も書いてございますが、御質問に答えるのであれば、全くそのときのマニフェストと今もこの法案の中身も変わっておりません。
○谷合正明君 いや、変わっておられないと言われるんですけれども、どうしても変わっているなと思うんですね、私は。どうしても、先ほどチラシを見させていただきましたけれども、どう考えても変わっているとしか思えない。どう考えても縛りがきつくなっているとしか思えないんですけれども、この点についてどうなんでしょう。
○平野達男君 まず、農業者戸別所得補償法、補償というのは一体何なのか、あるいは戸別所得補償というのは何なのかということについての具体的なスキームは、この法案を通して明らかにしたところです。
そして、マニフェスト、ビラ等々のことについては、いろんな解釈もございますけれども、基本的な考え方は私は変わっているとは思っていません。そして、今回のお話の中では、ちょっとこの書き方おかしいじゃないかという御指摘はいただいておりますから、それについては再三申し上げているように御意見として真摯にお聞きしておきたいということを申し上げているわけであります。
○谷合正明君 まあマニフェスト、チラシの方はまだあれですけれども、マニフェストというのは私は非常に重い明文化された公約だと思います。御指摘を踏まえてと言われるんですけれども、もう出したものですので、マニフェストについても多分そのまま残っている、修正が書き加えられるわけではないと思うんですね。そう考えると、やはり私は今回の民主党の法案というのは、この参議院選挙を通じて訴えてきたところと比べますと、大分何というか温度差が違うんだというふうに思うんです。むしろ、本当にマニフェストどおりに出したものなんですかと。生産調整は廃止というのは、生産調整と生産数量目標と、まあ今の政府のやっているのと違うんだというんですけれども、やっぱり多くの国民の方は、そこは民主党はかなりマニフェストのときに比べると違うものを出したなというふうに思うと思うんですが、その点について再度答弁を願います。
○平野達男君 マニフェストでは原則すべての販売農業者というふうに書いていたと思います。今回の法律では、じゃ原則というのは何なのかということを具体的に説明しているというふうに思っています。
それから、イメージが違うんじゃないかと。それは、最終的には、この法案を出して皆様方がどのように判断されるのか、あるいは今日たくさんの傍聴をしている方々もおられますけれども、どのように判断されるかというのは、この判断まで私どもはああだこうだというふうに言うつもりはありません。もし違っているということであれば、いや、私たちの趣旨はこうでございまして、このような考え方でやらしていただきましたと、基本的なところは変わっておりませんという説明をさせていただいておりますけれども、それを繰り返し述べさせていただきたいと思っています。
ということでありますが、よろしいでしょうか。
○谷合正明君 マニフェストもちょっとすぐ出てこないもので。原則、原則ですか、分かりました。
いずれにしても、ちょっと私は納得できないと。説明をずうっと聞いているんですけれども、聞けば聞くほど、何というか、無理があるなというふうに思うんです。生産調整を例えば廃止を明確に明記されていたと。でも、この法案にとってみると、現実的にやっぱり対応しなきゃいけないというふうにトーンが大分変わってきたというふうに思うんです。まあ答弁は、もういいですけれども、私は……(発言する者あり)ビラとマニフェストは違うということですか。
○平野達男君 事実だけいきますと、生産調整の廃止ということは今回のマニフェストにたしか入ってなかったと思います。生産調整の……(発言する者あり)いや、マニフェストです。ビラにはあります。それは、生産調整の廃止というのは、平成三年の、昨年の、三年だったか、三年のいわゆる基本法の中に計画生産と生産調整の廃止という条文は入っていました。そのときの、これも国会答弁で何回も申し上げたとおりでありますけれども、需給調整はやるんですと。今までの生産調整とは違うんですという意味での生産調整の廃止だという、そういう趣旨で衆議院の方でも答弁されていると思っています。その流れの中で多分その今回のリーフレットも作ったということであって、生産調整の廃止そのものについての考え方というのは何も変わってないと、これ何回も申し述べたとおりであります。
○谷合正明君 ますます何かよく分からなくなってくるんですけれども、昔の生産調整は廃止するけれども、新たに生産調整をつくるということですか、民主党の。そういうことですか。
○平野達男君 ですから、何回も申し上げますが、需給調整をやるんです。(発言する者あり)いや、生産調整とか、要するに、きちっと計画生産やるんです。その必要性については認識一致しているでしょう。それは私たちも共通した認識を持っているんです。それはよろしいですね。よろしいですね、それは。
あとは生産調整の廃止という言葉はけしからぬという話であれば、それは、私どもはそういうふうな説明でやってきましたと、いや、皆さんは、要するに生産調整の廃止といえば米をどんどん自由に作ってもいいですと取られるから、おかしいじゃないかと言いますけれども、米を自由に作ってもいいというふうにやったら大変な事態が起こるということぐらいは私たちだって理解していますよ。
そういうことで生産調整の廃止というのを昨年の国会の中での法律の中では出したということであって、何か私どもは前から、要するに米の生産調整を廃止して、いや、どんどん自由に作ってくださいと、余った米は買い上げますとか、そういうことを言っているんだということではないということは、この法律を見ていただければ分かりますし、それから前の基本法においてもそういう仕組みになっているということです。
○谷合正明君 まああんまりやってもあれなんですけれども、生産調整という言葉を使うか使わないかの話になっちゃっているような感じがします。(発言する者あり)ええ、ええ、まあそういうことだと思うんです。
一番大きな違いは何かといったら、そのメリットがあるかどうかというふうな言い方もされますし、要は今の法案を読めば、それはもう需給の動向に応じるというのは書いてありますけれども、それが、今の法案はいいんですけれども、その前が、やはり説明が、繰り返しますけれども、マニフェストとビラが何か一部ちょっと違ったり、ちょっとそこの説明が不十分だったと、ちょっとじゃないかもしれませんが、不十分だったというふうに指摘をさせていただきます。
今日は時間があともう一分、二分ですので、また次の機会に残りの質問をさせていただきたいと思いますので、今日のところはこれで終わりにいたします。