○谷合正明君 公明党の谷合正明です。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、あらゆる技術の中で、第一の、そして最も尊敬に値するものは農業であると、これはルソーの言った言葉でございます。また、農村を大事にしない社会は、人間や生命を粗末にする野蛮な社会となり、すべての面で行き詰まる、そういう警鐘を鳴らし続けてきた識者もいらっしゃいます。正に、農業については、多面的機能という言葉を持ち出すまでもなく、私たちは本当に第一にしていかなければならない私は産業でもあると思っておるわけです。
その農業が、やはり今、我が国だけじゃないんだと思いますけれども、特に我が国においては、高齢化であるとか後継者不足、そして埼玉県ほどになったという耕作放棄地の増大、そして農家所得の減少等、大変厳しい局面に置かれているということでございます。
そこで、この一大農政大転換と言われる品目横断的経営安定対策が本格的に今年から実施されたわけでございます。午前中の質問の中にも、実際にこの経営安定対策に申請して加入した農家戸数は幾らあったのかと、そういう質問もございました。
この本対策の加入申請については、作付け計画面積についてはほぼ計画どおりいったというふうに発表しているわけでございますが、一方で、加入戸数については認定農業者と集落営農の両者合計で今七万二千四百三十一経営体と。ただ、集落営農については正確な数字が発表されておりませんので、先ほども掛け算で、平均戸数で掛け算をして二十九万戸ですか、出しました。米作、水稲の農家に限って言いますと二十一万戸と先日の予算委員会でも答弁されております。
やはり、この数というのが私は非常に少ないのではないかと。ここまで農政の大転換と言ってきた、宣伝してきた割には加入農家数が少ないということは、安定対策の魅力が十分に伝わっていないということもあると思いますし、また、一方でこの要件を満たせない農家が大変多くいるということでございます。
まず、農水省において、この参加農家数について今どのように把握して分析していらっしゃるのか、その点について伺います。
○政府参考人(高橋博君) まず、本対策の参加農家数につきましては、先ほどもお答えさせていただいておりますけれども、個別の経営体、認定農業者ベースで六万七千余、集落営農組織で五千四百弱ということでございます。大体一集落営農組織当たり四十人程度ではないかという調査結果が別にございますので、推計ということで二十九万戸。米の場合には、このうち集落営農組織が三千七百八十五戸、認定農業者五万五千という数字がございます。
したがいまして、これを用いまして約二十一万戸、委員の御指摘の数字で推計をさせていただいたわけでございますけれども、まず、このうち麦でございますとか大豆、あるいはビート、てん菜、でん原用バレイショという畑作物につきましては、これらの対象作物につきましては、従来から麦に対します麦作経営安定資金、あるいは大豆の交付金というような品目ごとの対策を講じておりまして、それらの対象の面積が約、それぞれ、麦につきましては二十六万程度でございまして、それから大豆についても十万程度というような数字がございます。これを今回、品目横断的経営安定対策の導入に伴いまして、麦については二十五万四千ヘクタール、大豆で十一万ヘクタール、てん菜で六万六千、でん原用バレイショで二万二千という形で品目横断的経営安定対策を導入して、その対策に加入した人が従来とほぼ同程度の作付けを行うということでございますので、この畑作関係については、先ほど申し上げましたように、基本的に新しいこの対策の加入要件、そういったことに参画をされた方々でこれまでの生産を担う構造ができているのではないかと理解しております。
ただ、お米の場合につきましては、先ほど来申し上げておりますけれども、ここについては、お米の生産そのものが畑作と異なっておりまして、自家飯米でございますとか、あるいは市場を介さないで流通するお米というものが相当数ございます。そういうような状況と、もう一つは、お米については他の作物とは異なっておりまして、国内で基本的には市場が完結をしている。その中できちんとした需給調整を図りながらこのお米の作付け構造を強くしていくということでございますので、他の畑作物と異なりまして、ここの構造転換については地域ごとの着実なる推進、その当該地域でどういうようなお米の生産構造を今後担っていくのかということを地域ごとにきちんと話合いをしていただきながら、そこで認定農業者で引っ張っていく地域、あるいは集落営農で担う地域、それぞれごとお考えいただきながら推進をしていくという丁寧な手順をこれから踏まえていっているところでございますので、まず一歩、今年はまずその第一歩であったというふうに理解をしているところでございます。
○谷合正明君 畑作については面積にしても農家戸数にしても大丈夫、クリアしたと、米作については一歩前進したと。そう伺いますと、じゃ、なぜ一体地方キャラバンを今回農水省全省挙げてやってこられたのかと。やっぱり実態としては本当に厳しい声が寄せられていると思うわけであります。
私ども公明党も選挙の前から農林水産業活性化本部で各地を巡回して回ってまいりました。私自身も岡山とか愛知とか兵庫とか、また先日も福井県の方にも行きましたけれども、本当に二週間前、福井行った際も、例えば集落営農、二十ヘクタールないと駄目だというふうに言われていると。昨日確認したら、そんなことはないんですと。そんなことはないというのは農水省が言うんですね。ただ、現場ではいまだにそんなことが、集落営農を実際やっている方の中で発言を聞くというのは、これは実際としてございます。
そもそも、品目横断的経営安定対策という名前が分かりづらいというか取っ付きにくいと。名前が悪いと、率直に言うと。という声も相当聞かされました。あるいは高齢の方で、市町村によっては六十五歳以上の方はもう認定農家として認められないという条例もあって、いわゆる認定農家への参加が閉ざされているという状態も見受けられているわけでございます。
そういう中で、まず大臣にお伺いしますけれども、先ほども加治屋委員から質問ございましたが、今回地方キャラバンが必要と判断した理由、一番の理由というのは何なんでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 先ほども御説明申し上げましたが、私は、やはり新しい制度を設計をし、つくり上げますと、その担当者はそれを何とか分かってもらおうということが先に立ちます。私も農林省におりますときにいろんな制度をつくりました。そのいろんな制度を普及に入るときには、どうしてもその制度に中心を置きまして、何とか理解してもらおうということに行くわけですが、そうすると、理解できない、あるいはまたいろんな意見があってもそれは十分伝わらない。相手の皆さんも、何か意見を言いにくいという雰囲気が出てきております。
私もそういう経験を持っておりますので、今回のこの品目横断経営安定対策というのは、ただでさえいろんな複雑な仕組みになっているということもあり、現実からするといろんな無理をお願いしなきゃいけない、そういうことになっておりますから、その制度を理解をする、説得をするということも大事ですけれども、その前に、今の時点でどういうふうな理解をしていただいているのか、これに対してどんな、それが実は当たらないことであっても、それは違いますよとその場で言わないで、いろんな批判は素直に聞いてくるということが大事じゃないかと。そういうことをしないと、今、地方、地域において、この制度に対する不信、不満、いろんな御意見というのは、我々それにこたえていくことができないんじゃないかと。そういう意味で、キャラバンを編成をして回ってくるように言ったわけでございます。
時間の関係があると思われますので、一つ一つ申し上げたいんでございますけれども、主な代表的なことだけちょっと申し上げますと、まず何といっても、品目横断経営安定対策については、その仕組みや内容が難しい、分かりにくいと、もっと分かりやすい説明が必要なんじゃないかと。例えばビデオを作ったりするとか、そういうような分かりやすい説明をしてもらいたいと。それから、いろんな規模の要件がいろいろありますけれども、これはもっと弾力化してもらいたい。また、緑ゲタと言われます生産条件不利補正対策の過去の生産実績に基づく支払だけでは豊作になった場合でも収入が増えなくて、何となくこれは違和感があるとか、書類や申請手続はとにかくもっと簡素化してもらいたい。あるいはまた、緑ゲタについて言うと、その交付金を、交付時期をもっと早く交付してもらいたいといったようなこと。それから集落営農についても、その集落営農を進めるに当たっていろんな種々の要件、条件があるわけですけれども、これらを組織化し、運営していくに当たって、もっと現実に即したような組織化、その運営の在り方があるんじゃないかといったようなことなど、更に具体的にいろんな意見が出てきております。
これは、やはり普通ですと行った担当者が答えちゃうんですけれども、私は、直接でない責任者、課長クラスが手分けをして行っておりますから、自分の専門外のことについてもいろいろ聞かれるんですね。聞かれたものはもうそこで答えないで、一度帰ってきて、みんなで総合的な検討をした上で答えを出していこうじゃないかと、こういう仕組みにしたということでございまして、今それを集約して検討をしているところと、このように申し上げたいと思います。
○谷合正明君 必ず実のある改善策をという声がありまして、聞いたけれども結局集約して答えが何か不十分だというと、よっぽど、期待値を高めておきながら何かはしごを外されるみたいな思いをさせてはいけないと思っておりますので、しっかりと実のある改善策というものを実行していただきたいと思っております。
そういったキャラバンの意見の中にも、米価下落対策というのがあったと思います。先ほど来、何度も質問に出ております米の備蓄制度の活用でございますけれども、大臣の方からは、主要食糧法において米価維持のために備蓄制度を使うことはできないとしつつも、法の枠内で運用することは考えると。農水大臣として、主要食糧法の運用上、米の備蓄をどの程度まで積み増すことを考えているのか。今、百万トンのうち七十七万トンあると。あと二十三万トン余裕があるわけですね。その百万トンという備蓄の根拠も、かつての農林水産委員会の質疑の中でも、通常八十から九十万トンあれば備蓄としては十分だと。ただ、七月、八月の新米が出る前の時期には百万トンあれば大丈夫だということでの数字だったと思いますけれども、大臣、どの程度まで積み増すことができると考えていらっしゃるのか。
○国務大臣(若林正俊君) 実は、この適正備蓄水準というのは、食糧法に基づきまして基本方針というのを定めているわけでございます。基本方針の中で適正備蓄水準というのが定められているわけですが、これは、食料・農業・農村審議会の中の食糧部会にかけまして、専門家の意見を十分聞いた上で、そこで決められているのが今百万トン程度と、こういうふうになっているわけでありますから、今の時点で緊急にこの備蓄水準自身をどう動かすかというようなことを今私どもが物を申し上げられるような状況ではございません。
そしてまた、この備蓄水準については、米の消費が減ってきているという状況を反映すればもっと少なくていいんじゃないかという意見も識者の中にはいるわけでございまして、この備蓄水準をどう設定するかということは、いろんな意見を伺ってみないと私の方で申し上げることができないわけでございます。緊急に今の時点で考えるとすれば、どうしてもこの適正備蓄水準の百万トンというのを念頭に置きながら運営をしていかなきゃいけないと思っております。
ただ、いろんな意見の中に、これを言わば、備蓄ということでありますから、これを隔離して、あるいはほかの用途に充ててしまうというようなことをこれでやれというのを表立って出ますと、それはこの食糧法の中で予定していることではありませんと、そういうことはできないんですということに相なるわけでございます。その意味では回転備蓄という考え方でございまして、この備蓄は主食用としてまた売り渡していくと。
同じように、実はこの基本方針の中で決められた基本計画というのがあるんですが、市場への影響を考えながら年間通じて安定的に売っていくようにということも実は決められているんですね。これはもちろん運用の在り方ですから、そういう事情によって市場に悪影響を与えないような処理の仕方はどこまで許されるかというようなことも詰めていかなきゃいけないと思っておりますが、今我々が与えられている与件として言えば、適正備蓄水準の百万トン程度というのを枠組み、念頭としてこの運用を図っていくということしか申し上げることはできないのでございます。
○谷合正明君 重々理解した上で質問させていただいているわけですが、実際、その過剰米吸収がどの程度米価下落防止効果を持つのだろうかと、これ普通に素朴な疑問として持つわけでございます。
この辺り、今答えられる範囲でどうでしょうか、政府の方で、答えていただけると思いますが。
○政府参考人(岡島正明君) 価格につきましては、現在も、例えば全体需給が緩和傾向にあるということでございますけれども、例えば、昨日のセンターの入札であれば、北海道産のきらら等はむしろ値上がりしておるということもございます。個別銘柄ごとにもかなり動きが違ってきたりもしておるということでございまして、一般論として言えば、買入れということになればその分市場が引き締まるということもございますけれども、今申し上げましたように、様々な要因で決まってまいりますものですから、なかなかその影響を一概に見通すということは難しいのかなというふうに考えております。
○谷合正明君 分かりました。
それで、生産調整の方なんですけれども、結局のところ、一つ反省しなければならない点というのはこの生産調整の話だと思っておるんですね。皆さんそう考えていらっしゃると思いますけれども。ただ、強制的な生産調整が今できない中で、それは、もうあとは生産調整に参加する農家に対するメリット措置をこれ十分手厚くするよりないと考えておるわけであります。
十九年産米で過剰米が生じて、二十年産米が出荷される段階でも在庫が残ると予想されているわけであります、今。そうすると、二十年産の生産調整においては目標数量を更に下げなきゃいけないという事態も想定されると。そうすると、生産調整にこれまで協力してきた農家がまた更にこの生産調整の引下げ分を引き受けざるを得ないと。よっぽど、何というんですか、生産調整に協力しない農家との不公平感が高まるのではないかと指摘されておりまして、この点、生産調整に参加する農家に対するメリットをどうするのか。産地づくり交付金というのは、もう答弁の中で繰り返されておりますけれども、果たしてそれだけで本当に今の水準でいいのかという問題がございます。
是非、この辺り、生産調整のメリット措置について前向きな答弁を期待したいわけでありますが、いかがでございましょうか。
○政府参考人(岡島正明君) お答え申し上げます。
現在、正にメリット措置としては、今委員御指摘のように、産地づくり交付金等々あるわけですけれども、今後とも、国としては、需給の均衡を図るため、すべての都道府県で生産調整の実効性が確保されるよう工夫していく必要があると、そういうふうな認識でございます。
それとともに、今委員御指摘のように、生産調整参加者へのメリットということございますけれども、一方で、現に一〇%強の方々が参加していないと、非参加の方がいらっしゃいます。そういう方々には、実は十九年、初めての試みですけれども、重点取組県ということで、私どもの地方農政事務所も始め各農家に、例えばパンフレットを配るとかいろんな形で、今こういう制度になっていますよということもお話ししながら、やはり参加していただく努力ということも併せて必要かなというふうに考えているところでございます。
○谷合正明君 是非、この点は今年だけじゃなくて来年以降も続く深刻な問題だと思っておりますので、是非適切な措置を講じていただきますようお願い申し上げます。
時間が余りないので、はしょりますが、米ですね。品目横断的経営安定対策では、米についてはゲタの対象作物とはなっておりません。これは、関税、今七七〇%を超える関税に守られているという国境措置のためにゲタがないわけでございます。
しかし、WTOの交渉次第では、関税の引下げであるとか、あるいは米の生産費が今実際に販売価格を上回っているという状況があるという中で、米にもゲタをという声もあるわけであります。実際、民主党さんの農業者戸別所得補償法案でも米にゲタというのがあるわけでありますが、まず一般論として、米にゲタを履かせることについて大臣の見解を伺いたいと思っております。
○国務大臣(若林正俊君) 過剰がこの段階まで来ている中で、一般的にゲタを履かせるという形で助成をするということの政策的な意味合いとか効果ということを考えますと、このことをしたからといって生産過剰というような米問題の解決にはならないんじゃないかというふうに考えているわけでございまして、やはりこの米価の下落による農家所得の低下というのは、国内の需要に応じた米の生産が行われない、過剰が生じているということによって発生しているわけでございますから、やはりその基本的な問題を回避して当面の困っている状態を救済するというような意味合いでゲタを履かせてしまうということをしても、この過剰状態は、むしろ見方によっては、このことによって更に生産に刺激的な効果を与えて過剰が発生することがあるかもしれない。もっとも、その生産調整に参加した人についてだけやるというんだからそういうことはないよという意見もあるかもしれない。
しかし、根本的な問題として言えば、この米の需要、これも、米という商品があるんではなくて、それぞれ、どこどこの産地のどこのどういう銘柄だというようなことで商品として既に流通をしているという実態があるわけですから、きめ細かな需要に応じた生産を、需要の動向を見極めながらきめ細かく生産の調整をしていくというような措置によって需給を均衡させていくということを重視しなければ政策的にはならないというふうに思うわけでございます。
○谷合正明君 今日は、米価下落対策に関連して、ほかにも集荷円滑化対策の見直し等用意してきたんですけれども、時間が迫っておりますので食品の安全の方について移らせてもらいます。
昨日、ミートホープの元社長が逮捕されました。御承知のとおり、これJAS法が適用されなかったと。虚偽表示、いわゆる不正競争防止法違反で逮捕されたわけでございまして、このときも言われたのは、JAS法は生鮮食品と加工食品に分けていると。ただ、加工食品にはいわゆる業者間取引について表示義務がないということで、今回ミートホープの問題が起きたわけでございます。
中間報告を今取りまとめているということでございますが、このミートホープ以来、もういろいろな食品にまつわる問題が度々起きておりまして、私はむしろ、もうある程度その結論は見えているわけでありまして、結論というのは、いわゆる加工食品の業者間取引についても表示義務をということはもっとスピーディーに行えばいいと思っております。
その点、まず大臣に、このJAS法の見直しも含めて、食品の安全について大臣の決意なりを聞かせていただきたいと思っております。
○国務大臣(若林正俊君) 相次ぐ加工食品の不当表示を始めとして、あるいは虚偽表示、そして悪質な食品衛生法にも反するかもしれないような事案が発生してきているということに憂慮いたしております。
これにはいろいろな対策を講じなければならないんでありますけれども、今委員が御指摘になりました業者間取引がJAS法上の対象になっていないということについてでございますが、今月末には有識者からの結論をいただくことになっております。もう先が見えているというお話もございます。私も期待をしていますのは、やはり有識者の方も、この業者間取引についても全く業者に任せっきりにするんではなくて、表示上の義務も掛かるような形で制度を拡充していかなきゃいけないというふうに、私どもとしてはそのように考えているところでございます。
ただ、業者間というのは、やはりミートホープのようなことが起こると、ただただあきれ、驚き、そして怒りに至るわけですけれども、業者間というのはお互いそれで生業して食べているわけですから、お互いがもっと分かり合っている。つまり、これとこれとこれと細かいことを決めなくても、繰り返し反復継続して少数の取引先との取引が継続的に行われていることが普通ですからね、どこまでを法的な規制とするかといったような規制の仕方についてはいろいろ工夫を要するんじゃないかというふうに思っておりますが。
いずれにしても、そこに全く規制が掛からないという状況はここで改善をしていかなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに考えております。
○谷合正明君 もちろんまじめにやっている業者もたくさんございまして、業者の中での自発的な取組というのは第一義的には大事だと思っておりますし、また行政側の体制強化ということも併せて必要であろうというふうに思っております。
最後に、都市農業について大臣の御所見を伺いたいと思うんですね。
所信の中には都市農業という言葉は出てまいりませんでした。ただし、統計的にいう都市的地域の農業産出額というのは三割近く、全産出額の三割近くあるというふうに私認識しております。私も澤政務官とともにこの都市農業の検討をずっと党内で重ねてきてまいりました。東京も含めて愛知県など、いろんなところで現場の声を聞かせていただきました。
本当に今、特に市街化区域内に農地を持っていらっしゃる方というのは、都市計画法上、十年以内に宅地化しなきゃいけないという前提の中でやっていると。生産緑地制度というのはあるけれども、ただしその要件が大変厳しい要件、いわゆる相続税法上終身営農も課せられているとか、いろいろ厳しい環境の中でやっております。
多面的機能ということが先ほど来ずっと出ておりますけれども、正に都市農業というのは多面的機能を持っているんですね。防災ですとか市民にとってのレクリエーションの場であるとか、そういったことでいえば、日本の農業の一つのモデルになり得るということを言う識者もいらっしゃるわけです。
都市農業が出てないということで、都市農家の方が今の大臣どう思っているのかと心配しておりますので、大臣のこの都市農業についての前向きな御答弁をお伺いしたいと思います。
○委員長(郡司彰君) 若林大臣、簡潔に願います。
○国務大臣(若林正俊君) 都市農業は大事だと思っております。大都市周辺部、都市内において軟弱野菜などを中心に、都市内部で生産された野菜はシェアにおいても相当大きなシェアを占めているという現実もございます。そういう意味で、新鮮な農産物を供給するという生産面での役割も大きな役割を果たしているというふうに思っております。
しかし、それだけじゃなくて、その周辺に住んでいる人たちの農業体験の場にもなるわけでございますし、災害が起こった場合の避難場所としてのオープンスペースを確保しているというような意味合いもあるわけでございます。また、その近辺の人からすれば、管理された生産緑地というのはそれなりの憩いを与えていると、今委員がおっしゃられました多面的な役割も果たしているという意味で非常に大事なものだというふうに私は認識をいたしているところでございます。いろいろと申し上げたいこともあるわけでございますが、認識としてはそういう認識を持っております。
私は、農地課というところにおりまして、都市計画法を作って線引き問題が出たときの農業側の担当者をやっておりまして、市街化区域の中の農地をどうするかといった議論をしたことがございますが、日本の中ではっきり位置付けたのは、横浜市が実は農政課というのがあったんですけれども、これを契機に緑政課というふうに課の名前を変えたのが非常に印象的でございました。それは今の多面的機能に着目した横浜市の中における生産緑地の評価だったと思います。
以来、私もそういう意味合いでまじめに、真剣に取り組んでいる都市農業者に対しては敬意を払っているつもりであります。しかし、だからといって他の地域の農業者と同じような意味でのすべての優遇策を講ずるかということになりますと、これはまた別の問題、税制などについてございますので、いろんな条件が掛かってくるということも、これまたやむを得ない面もあるんではないかというふうに考えております。
○谷合正明君 終わります。