○谷合正明君 公明党の谷合です。
タクシー業務適正化特別措置法の改正する法律案について質問をさせていただきますが、質問の順番をちょっと若干変更いたしまして、初めに、東京地区におきます運賃改定の状況について確認をさせていただきますが、午前中の質疑より今の検討状況というのが分かったわけでありますが、東京地区の申請というのは、長野、大分に次いで三番目に来ていると。その後、今五十一地区から申請来ているんでしょうかね。
となりますと、東京地区がどうなるかということがはっきり決まらないと、東京地区の後に申請した地区の値上げ申請の処理、これに影響があるのではないかというふうに考えるわけでありますが、この辺りどういうふうに今後されていくお考えなのか、まず最初にお尋ねいたします。
○政府参考人(岩崎貞二君) 先ほども答弁させていただきましたとおり、東京のタクシーの運賃改定については、物価安定政策会議を二回やっていただいたところでございます。さらに、東京の運賃改定につきましては、物価問題に関する関係閣僚会議の了承がございますので、政府部内で調整を進めていったと、このように思っておるところでございます。
今、先生御指摘のとおり、五十一地区から今タクシーの運賃改定の申請が出ておりまして、長野、大分の三地区については既に認可をしたところでございますけれども、その四番目が東京でございまして、その後にずっと控えていると、こういう状況でございます。原則としては、一般的には申請の出てきた順に処理するというのが通常適切な方法だろうと思っておりますので、東京と運賃改定についての調整を進めていって対応してまいりたいと、このように思っておるところでございます。
○谷合正明君 原則申請順ということでありますが、その東京地区の運賃改定がまだこれいろいろプロセスがおありでしょうから、この影響もあるのではないかと思いますので、しっかりとした対応をしていただきたいと思っております。
次に、タクシーの規制緩和によるプラスとマイナス面、これについてどう評価しているのか。これも午前中以来の質疑で出ております光と陰の部分、その陰の部分については、例えば事故数が増加していることが挙げられると、あるいは一人の乗務員当たりの運賃、これも下がってきているというようなこともあります。
今回、その運転者登録制度を強化するということで質の強化を目指しているわけでありますが、またこの対象地域を拡大することによりまして、規制緩和の、今申し上げました負の側面、マイナス面にどの程度効果があると見込んでいるのか。これで事故はなくなるのかと聞いても、まあ全部なくなるというわけじゃ、単純な話ではないかもしれませんが、どの程度その効果をあると見込んでいらっしゃるのでしょうか。
○政府参考人(岩崎貞二君) 事故をなくしていく、それから事故の多いような事業者、運転手の方には市場から退出していただくと、こういうことが必要だろうと思っております。特に、公正な競争をやってくださいということでございますので、そうした問題のある事業者は退出していただく、運転手も退出していただくということが必要だろうと思っております。
このため、今回の法律は運転者の方に規制を掛けますけれども、運転者の方に規制を掛けるとともに、ここ近年力を入れておりますけれども、事業者の方の監査、処分でありますとか指導でありますとか、こうしたことも充実していきたいと、このように思っております。
定量的にどうかということについての答えは持ち合わせておりませんけれども、こうした今回の法律の措置、それから他のいろいろな手段等を通じまして、タクシーというものの規制緩和のマイナスの部分を少しでもなくしていきたいと思っておるところでございます。
○谷合正明君 それで、次にタクシー運転者の登録制度を導入する指定地域でございますが、先ほど来政令指定都市の話題になりまして、新潟、静岡、浜松は対象と現時点のところでは考えてはいないというような話でございますが、これ政令指定都市の中だけで決める話なのか。流しの営業の割合が高い地域、例えば中核都市、これ平均で流しの割合というのは三四%みたいですけれども、地域によっては高い地域もあるでしょうと。政令指定都市の平均は六〇%だから、政令指定都市の中にも高い地域もあれば五〇%を下回る地域もあると。
そう考えていきますと、政令指定都市以外の地域の広がりというのも考えてしかるべきだと思うんですが、この辺り、どのように今考えていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(岩崎貞二君) 先生御指摘のとおり、法律上の文言では政令指定都市というのは一言も出てきませんで、流し営業が主な地域であること、それから安全とか利用者利便で問題のある地域というのが法律で書いておるところでございます。したがいまして、政令指定都市であるかないかにかかわらず、制度的には指定が可能でございます。
ただ、私ども、御説明の際にも政令指定都市が中心ですよと、こう申し上げているのは、現実に流しの比率が高く、安全や利用者利便で問題のある地域というのが主要政令指定都市と一致するものですから、分かりやすく説明をさせていただいているところでございます。
先ほど答弁させていただきましたとおり、政令指定都市以外でも、東京と千葉の間の地域なんかも指定することを考えておりますし、先生御指摘のとおり、中核都市なんかでこの要件に該当するもの、我々の今の調査、認識では該当しないと思っておりますが、今後そういうことになりましたら、繰り返しになりますけど、法律ではそういう政令指定都市でなきゃいけないという要件は書いているわけではございませんので、そういうことが当てはまるところがありましたら、それは提起をしていきたいと思っておるところでございます。
○谷合正明君 分かりました。
続きまして、登録要件となります最初の講習ですね。この講習の対象者というのは、新規のこれから参入してくる運転者を対象と聞いているわけでありますが、現在実際に運転しているドライバー、こうした方々が、すべてのドライバー、全国で四十万人近くいらっしゃるんでしょうかね、そういった方々はどういうふうにしていく考えなのか、この点についても確認させていただきます。
○政府参考人(岩崎貞二君) 先生御指摘のとおり、新規の運転者を対象として考えております。既存の運転手の方については弾力的な取扱いが必要だろうと、このように思っているところでございます。
また、今後これから制度設計してまいりますけれども、長年その地域で問題もなくタクシー乗務を、運転をしておられる方について、登録はしてもらいますけれども、新たな講習を課するというのは制度としても行き過ぎだろうと思っております。ただ、まだタクシー乗務の経験も浅い、あるいはトラブル等も起こしておられることもあるといった方には、やはり一定の講習は受けてもらうことは必要だろうと思っております。
そうした考え方の下に具体的な取扱いを設計していきたいと、このように思っているところでございます。
○谷合正明君 そうしますと、その運転歴の浅い、これがどのぐらいの期間なのかというのもまたあれでしょうけれども、事故の多いドライバーについては、別途今後対応していくということですね。それはつまり講習命令だとかの措置とはまた別に新たな仕組みを考えていくということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(岩崎貞二君) 御指摘のとおり、登録は既存の運転手の方も受けてもらいます。そのときに、まるっきり新規の方については法令、地理試験等々、いろんな分野にわたりましてきっちりした講習を受けていただくと、こういうことを考えておりますが、繰り返しになりますけれども、新規の方じゃない、そこで既存のタクシーで経験のある方については、その運転経歴等に応じて講習の長さ、内容等については弾力的に考えていきたいということでございます。
○谷合正明君 それで、いったん登録された後、登録の取消し要件の見直しが今回の法改正であります。また、登録運転者の講習受講命令制度の創設もあるということでございまして、この登録の取消しであるとか、講習受講命令の対象となる運転手というのはどういうケースを想定されていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(岩崎貞二君) 現在のタクシー業務適正化特別措置法というのは、これは利用者利便を中心に、利用者利便を阻害するような行為をやった場合に取消しをするということになっておりまして、具体的には乗車拒否でありますとか運賃の不正収受、あるいは悪質な客引き行為、こうしたものについては登録の取消しを行うという制度になっております。
今回は講習命令という制度をつくりました。それから、安全の観点も加えたわけでございます。このため、今までの要件に加えまして、講習命令を出したのに講習を受けなかった人、あるいは死者、重傷者を生じた重大事故を引き起こした場合等も想定をしております。ただ、この事故を引き起こしてから直ちにというわけではございませんで、やはりその運転手の関与度を見て、運転者に責任のある事故を、タクシードライバーに責任のある死者、重傷者を生じた事故なんかを出した場合について登録の取消しを行うことを考えております。さらに、輸送の安全の確保の観点から、例えば著しいスピード違反をやる、常習的にやっている、あるいは最近話題になっておりますけれども、酒気帯び運転等を繰り返している、こうした運転手についても取消しの対象とすることを考えております。
こうしたかなりレベルの悪いものにつきましては登録の取消しをいたしますけれども、そこまで至らない行為であっても、輸送の安全、利用者の利便を確保する観点から講習を受講させるということを、受講命令を発するというのを考えております。登録の取消しほどの死亡事故、重大事故ではないけれども、やはりタクシーの運転者に問題のある事故を引き起こした場合、あるいは利用者に対する接客で苦情が多い場合等については、こうした講習の受講を命ずるということを考えておるところでございます。
○谷合正明君 登録の取消しに至らないような事故の場合は講習受講命令に行くわけでありますが、私は個人的に先日タクシーとぶつかる事故がありまして、交差点での追突というか、当てられた事故だったんですけれども、結局被害側の乗っている本人がけがをしなかったものですから、その扱いは物損事故になるわけですね。タクシー運転手は信号無視で入ってきた。信号無視というのはいわゆる点数は二点なんですね、減点は。物損事故ということで、結局その人は次の日からハンドル握って営業されているんですよ、私、確認しましたけれども、そういう人身事故ではないんだけれども、かなり事故というのは、物損事故なんかも含めると多いんじゃないかなと思うんです。
そういうものを講習受講命令に行くような、これから具体的に措置を検討されていくんでしょうけれども、私はそういうことをしっかりやっていただきたいなと思っているわけでございます。一方で、タクシードライバーにしてみれば、一発退場なんというのもなかなか大変な措置かもしれませんけれども、この法の改正の趣旨は、いわゆる質の向上、事故をなくす、いかになくしていくかということが第一の主眼であろうと思いますので、私は、その講習受講命令が、受講内容そのものもありますけれども、そこにどういう人が入っていくのか、これもしっかりケーススタディーしていただきたいと思っております。
さらに、事故を防ぐ観点から事業者が自主的に取り組むものというのがありますね。例えば運行記録計、タコグラフというふうに呼んでいますけれども、この運行記録計による記録を義務付ける地域というものが決まっておりまして、これは最高乗務距離が制限されている地域でございまして、この最高乗務距離が決まっている地域というのは、実はかなり前に、昭和三十年代のころに何か決められていったような話を聞いているんです。
ただ、この地域をもっと拡充していくべきだという声もありまして、実際、そのような措置を講じたと聞いているんですけれども、具体的に、この運行記録計による記録を義務付ける地域、どのように今拡充されているんでしょうか。
○政府参考人(岩崎貞二君) 先生御指摘のとおり、従来は最高乗務距離が定められている地域を対象に運行記録計による記録を義務付けておりました。具体的に申しますと、関東でまいりますと、二十三区、それから武蔵野・三鷹、京浜地区、それから大阪でまいりますと、大阪市周辺の地域、それから福岡の周辺の地域と、この地域を指定したところでございます。
ただ、運行記録計は最高乗務距離のチェックにも役立ちますけれども、運行管理一般にもこれは役立ちますので、安全を重視する観点から、昨年の七月に取りまとめられた交通政策審議会の小委員会でも、これを拡充していくべきではないかということで御指摘をいただいているところでございます。
関係省令を改正した上で、昨年十二月に、流し営業の割合が高く、人口おおむね十万以上の都市を含む地域であって日車走行キロが相対的に長い、運行記録計によってより確実、合理的な運行管理が期待できるという地域につきまして、具体的に言いますと、千葉でありますとか名古屋でありますとか札幌でありますとかでございますが、運行記録計の義務付けを開始するということで制度を設計しているところでございます。
○谷合正明君 分かりました。
もう一つ、タコグラフのほかに、今ドライブレコーダーというのがございまして、これは飛行機にあるフライトレコーダーの自動車版でございまして、実際に衝突事故を起こした場合なんかは、その前後の十八秒を映像で残すことができるようなものでございます。
私も、先ほどの体験談じゃないですけれども、信号のある交差点でタクシーが信号を無視してぶつかってきました。それは、保険会社に言ったときには、まあ通常八、二の割合で保険が決まっていくと言われたんですけれども、タクシーでしたので、そこにはドライブレコーダーがございましたので解析したわけです。そうすると、もうしっかりタクシーが信号を無視して突入したということが分かったと。もしこのドライブレコーダーがなければこれはどうなっていたのかなと思って、私はそのときにぞっとしたわけであります。
ドライブレコーダーはまだ義務付けではない。しかしながら、実際ドライブレコーダーが装置されている車を運転すると、緊張、緊張というか、背筋伸ばして運転する、結果的に安全向上にも役に立つし、また事故を起こした場合、それを映像を解析して、ほかのドライバーにも安全教育という面でしっかり活用できるということをそのタクシー事業者の方からも私聞きました。
しかしながら、今その助成制度ですね、タコグラフのデジタル版、デジタルタコグラフに係る助成制度というのはあるんですけれども、こういったドライブレコーダーの導入に係る助成制度というのがないわけでありまして、私はこれ、公共交通を業とする方々、業者は、こういったドライブレコーダーなんて当然設置してしかるべきだなと思うわけでありますが、ただ、事業者にも本当に少数でやっている事業者もあれば、もう何百、何千人と抱えた事業者もあればいろいろ様々でございまして、そういったことを考えますと、ドライブレコーダーの導入に係る助成制度というのを考えてもしかるべきではないかなと思うんですが、この辺り、どうでしょうか。
○政府参考人(岩崎貞二君) ドライブレコーダー、私も大変いいものだろうと、こう思っております。事故を起こしたときのちゃんと証拠写真が残りますので、だれが有責だったかというような判断に役立つほか、先生御指摘のとおり、うまく活用するとやっぱり運転手の緊張感につながる、あるいは運転者の教育に役立てられるといったことで非常に効果があるんだろうと思っております。
現在、二十二万台、法人のタクシーがございますけれども、約五万台の法人のタクシーにドライブレコーダーが搭載されていると、こういう状況でございまして、大ざっぱに言いますと四台に一台は付けておりますので、かなり普及が進んできたかなと、こう思っております。
ドライブレコーダーの助成でございますけれども、簡易なものですと一台三万円から七万円で付けられるということ、それから相当普及が進んでいること、それから一部のタクシーの共済組合でございますけれども、これに対して助成や無償貸与を行っているということでございますので、私どもの方として直ちに助成制度を設けなきゃいかぬかどうかということについては若干疑問を持っておりますが。
ただ、私ども、このドライブレコーダーを単に積んでおくだけではなくて、それを、ドライブレコーダーをちゃんと、せっかく映像を撮ってあるわけですから、何も事故が起こったときだけではなくて、急加速をしたときあるいは急ブレーキを踏んだときといったときの映像もあるわけですから、そうしたものを安全教育に是非役立てていただきたいと、このように思っておるところでございます。そういう普及の方策、それから教育への生かし方、こうしたもので側面的に助成をしていくということで考えていきたいと思っておるところでございます。
○谷合正明君 いずれにしましても、しっかりとした性能のあるドライブレコーダーの普及を望みたいと思います。
次に、乗合タクシーの質問をさせていただきたいと思います。
地方、特に地方へ行きますと、バス路線が廃止ということが実際に起きております。岡山県の県北のある地域の方が先日も乗合タクシーのことを勉強しにこちらの方に来たわけでありますが、特に、市町村合併等で市の面積が広くなって、その市では基本的に中心市街地を巡回するようなバスはやっているんだけれども、それ以上のところになると余りにもちょっと効率が悪いので、実際今バスも、週に、遠いところだと週に一回その中心市街地に行くというバスが辛うじてある、週に一回というのは余りにもちょっと、それは余り生活交通になっていないんじゃないかと。今考えているのはその乗合タクシーを考えていると。
しかし、地方のバス路線の維持対策として路線維持費、車両購入についてはたしか七十一億円の補助金というのがあるんですけれども、バス路線が廃止された地域、例えば乗合タクシーの導入をしたいという地域があると思います。実際にあるわけでありまして、先日やりました地域公共交通の活性化の中でも協議会というものを市町村でつくって、その中で、実際、じゃ乗り合いタクシーを地域の生活交通の足と位置付けたとしても、実際今の状況だと事業者がさすがに参入するにはなかなか難しいという声もありました。
そこで、こうした地方のバス路線が廃止された地域でも乗り合いタクシーの導入を促進するような助成措置というのは講じることはできないのだろうかと、その点についてお伺いいたします。
○政府参考人(岩崎貞二君) 御指摘のとおり、地方のバスの確保は重要な課題と認識しておりますが、国と地方公共団体の役割分担として、広域的な幹線的な路線、これについては国と都道府県でやっていきましょうと。さらに、こうした広域的、幹線的ではない更にローカルな足につきましては地方公共団体でやってくださいという大きな役割分担をしております。このため、乗り合いタクシーというところについて、私ども、今適切な財政措置を持っているわけではございません。
ただ、この前御審議いただきました地域交通の活性化の法律の中でも、市町村の方がこうしたものについて積極的にやっていきたいというようなことも幾つか出ておりますので、そうしたものは我々も積極的に育てていきたいと思っておるところでございます。
これから、来年度の予算要求を考える時期でございますので、今御指摘のございました路線バスが廃止になった後の交通について、先進的な、あるいはモデル的ないい取組を一生懸命やっておられることについては何か支援できることはないのかなということで勉強をしているところでございます。
○谷合正明君 是非前向きに取り組んでいただきたいと思っております。
さらに、福祉タクシーの普及促進について質問をさせていただきます。
福祉タクシーの導入や運転手のいわゆる乗降する介助の知識ですね、この習得について支援措置を講じていくことというのがまた重要だと考えるんですけれども、この点についてはどうでしょうか。
また、地域指定ですね、今回のその地域指定の運転者登録の要件となる講習においては、こうした福祉対応についての内容も是非追加していただきたいということを併せて要望させていただきます。
このタクシーの将来像としては総合生活移動産業という言葉が出ておりまして、やはりその地域の公共交通の位置付けが重要になってくるわけでありますが、そうなってきますと、やはりこの福祉タクシーの重要性というのが更に増してくるわけでありますが、この福祉タクシーの普及促進についてどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(岩崎貞二君) 我々も福祉タクシーが更に進んでいくといいなと、このように思っております。
タクシーの許認可に当たりましても、福祉輸送の事業限定については許認可の弾力的な運用を行って、最低車両台数を緩和するとか、税制上の優遇措置を講じております。
それから、十八年度には福祉輸送促進モデル事業というのを創設をいたしました。福祉輸送に対して先進的に取り組む、実施する地域をモデル地域として認定いたしまして、そこでの福祉輸送をやられるのが必ずしも一つの会社だけではございませんし、NPOなんかがやられる場合もございますので、そうした共同配車センターを設立していく、あるいは福祉車両の導入について支援していくということで制度をつくったところでございます。十九年度は、大阪府、大阪市、堺市辺りでこの事業をやるということで予定をしております。
それから、福祉輸送を行う運転手の乗降介助知識のやっぱり教育が必要でございますので、そのカリキュラムの策定に要する経費について予算措置をさせていただいておるところでございます。
さらに、先生御指摘になりました今回の法律の指定地域での講習の中にも、こうした障害者あるいは要介護者の方の接客についての講習も加えていきたいと、このように思っているところでございます。
○谷合正明君 分かりました。
では、最後に大臣にお伺いいたします。
タクシー業界の構造的問題について、これも物価安定政策会議の中でも度々指摘されているところでございます。いろいろ議論のある中で、結果、運転手の賃金に跳ね返るだけであるとか、そういう指摘もあって、タクシー業界の構造そのものについての指摘をする意見が相次ぎました。
大臣に、このタクシー業界の構造的な問題についてどのように見解を持たれているか、またこの将来像について最後併せてお伺いしまして、質問を終わりにします。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 先ほどもお答えしているところでございますけれども、自由主義経済の下で、タクシー営業者と運転者との雇用契約の内容というものは、本来、労使間で決められるべきものでありまして、国がそこに介入するということについては相当抑制されると思います。
そして、このタクシー営業というのは、もう御案内のとおりですが、特に流し営業の場合、出庫してから帰るまでの十数時間は、事業者の事業主体が運転者について、その働き方とかそういうものについて指揮監督をするという機会がないわけですね。そういう特性がありますから、極端なことを言えば、途中でサボっているという人も、そうじゃなしに走っている人も皆同じように賃金はもらうというようなことがなかなかできにくいというところから、慣行的でしょうけれども、ほとんどの事業者が歩合制というものを、私の知る限り、この数十年間、戦後、取っていますね。したがいまして、そのような労使慣行が確立されている中で、それをするわけにはいかない点があります。
しかしながら、今の現状は、一般労働者よりも相当長時間働いていらっしゃるにかかわらず、その所得というのは、年収は相当低いわけですね。そういう事実があります。
したがいまして、我々としても、できるだけの手段を通じて指導と申しますか、そういうことで、このような労使間の問題ではありますけれども、それが直接に乗客の安全とかあるいは乗客の利便というものに跳ね返ってくるわけですね。相当過労に陥っている、そういう運転手さんの運転する車に乗った乗客というものは大変不安でしょう。事故も多くなっている。
したがいまして、今回、流し営業が中心になっているようなところについて、あるいはそれを指定地域にしまして、そこの運転手さんの資質の向上というものを考えようというところから今回の法律を提案をさせていただいているわけですけれども、私どもとしましても、運賃を上げてくれという申請も相次いでいるわけでございまして、その申請書には、すべてと言ってもいいんですけれども、働いている運転手の労働条件を改善したいということが書かれているわけですね。
したがいまして、そういうものを通じて、我々は、できるだけの手段を用いて運転手の待遇といいますか労働条件が良好なものになるように努力をしていかなければならないと、このように思っております。