○谷合正明君 公明党の谷合です。
今回の法案につきまして、特に補助率のかさ上げ等については触れずに、その周辺の例えば海岸の環境整備でありますとか、あるいは環境整備というか、ごみ問題でありますとか、港湾の競争力強化、そういったところに着目して質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、海岸の漂着ごみの問題についてであります。
これは最近、いろいろ新聞等でも、漂着ごみがたくさん増えてきたと、これまで流木等が中心であったと思いますけれども、いろいろな生活物資であるとか、あるいは日本語の表記がない外国から来たと思われる漂着ごみも増えてきていると、自治体がその処分に大変困っているということで、それはもう認識されているわけでありますが、ただ、どの程度その漂着ごみが我が国の海岸にあるのかといったところがなかなか実態が分かっておりませんでした。
また、その所轄する省庁も、環境省であるとか国土交通省あるいは農林水産省とまたがっておりまして、例えば環境省の試算によりますと、漂着ごみの量というのは年間十万トンに達するとされております。一方で、国土交通省と農林水産省が行った実態調査によりますと、二万六千トンと言われておりますし、これは、環境省の方はその一年間で流れてくる量というか到着する量という、いわゆるフローの値だと、後者の二万六千トンというのは調査した時点でのストックの量だということでの違いがあるということで昨日説明を受けたわけでありますが、いずれにしましても、二万六千トン、四十フィートのコンテナにしますと約二千個分のごみが我が国の海岸にあるということが分かりました。
今後、対策の一つとしては、例えば省庁の連携というものが大事になってくるわけでありますけれども、例えば実態把握、そして対策に関しまして、国土交通省の省庁間の連携についての見解をお伺いいたします。
○政府参考人(中尾成邦君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、海岸の漂着ごみの実態把握とか対策に当たっては関係省庁が連携して推進することが重要であると認識しております。
このため、平成十九年三月には、関係省庁の局長級で構成される漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議におきまして、漂流・漂着ごみ問題に対する国の取組が取りまとめられたところでございます。また、平成十八年度には、海岸を所管する農林水産省、国土交通省の四つの部局が連携いたしまして、海岸漂着ごみ実態把握調査を実施いたしました。全国に漂着したごみの総量とか分布状況など、実態の把握を進めているところでございます。先ほど委員の御指摘したとおりでございます、約二万六千トン、推計でございます。ただ、これは十五万立米という体積だそうでございます。
国土交通省といたしましては、このように関係省庁と連携して取組を引き続き推進してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 そこで、海岸の漂着ごみの処理対策の制度についてでございます。処理はどこがするのかという大きな問題はあるわけでありますが、国土交通省の中には災害関連の緊急大規模漂着流木等処理対策事業というものがございまして、ただ、これは従来は流木のみを対象にしておりました。
そこで、補助対象となる処理量は、海岸のいわゆる漂着量の全量の七〇%が対象であったわけであります、これまでは。残りの三〇%はいろいろ流木以外のごみであるということが前提となったわけでありますが、今回、この平成十九年度の制度の改正で、ここに流木等だけでなく漂着ごみが規定されると、これは本当に大きな前進であると思っております。その結果、補助対象となる処理量も漂着量の全量、一〇〇%になるということでございます。ちなみに、国が二分の一を補助する制度でございます。
しかしながら、自治体の中には、この制度を拡充したわけでありますが、喜びとともに更に拡充を求める声が上がっております。この制度、今一千立米以上を対象にしているわけでございますが、これをもう少し緩和してほしいであるとか、あるいは海岸保全区を対象にしたわけでありますが、海岸保全区以外もどうにか救ってほしいという声も上がっております。
海岸保全区は日本の海岸の約四〇%、五〇%だというふうに昨日ざっくりと教えていただいたんですが、そう考えますと一歩前進いたしましたが、次年度以降に向けて制度の拡充を是非検討していただきたいと、行うべきであると考えますが、国交省の見解をお伺いいたします。
○政府参考人(中尾成邦君) お答えいたします。
今委員御指摘の制度の拡充でございますけれども、今年度の予算におきまして、既存の災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業、これを拡充いたしまして、事業の対象を従来の流木などに限らないで漂着ごみに拡大するといったことと、補助対象となる処理量につきましても七〇%だったものを一〇〇%全部やるということにしております。
これは、一つは、今年拡充したということでございますので、その推移をまず見ていただきたいということが一つでございます。それともう一つ、我々、農水省、国土交通省含めまして海岸の公共事業でこれをやっておるということがございまして、その場合、公共事業、海岸保全区域内ということに限られておりますので、できましたら、やり方といたしましては、海岸保全区域を広げるとかそのような方法。
あるいは、もう一つの問題といたしまして、一千立米以上ということで、一千立米を処分する場合どの程度の額になるかといいますと、場合によりますけれども、一千数百万とかその程度の額でございます。一般的にいろんな補助事業で一千数百万というのは高い額かもしれませんけれども、公共事業といたしましては一件当たりにしますと非常に少ない額ということで、これをまた下げるとなりますとなかなか零細補助ということにも引っ掛かってくるということでございまして、いずれにいたしましても、十九年度始まった、拡充されたばかりということでございますので、もうちょっと推移を見守りたいというふうに考えております。
○谷合正明君 今年の実績を把握した上で、この対象を是非柔軟な対応をしていただきたいと。一千立米以下の数字を規定するのは難しいかもしれないけれども、一千立米という、どの範囲をもって一千立米にするかというとこれはまた検討のしがいがあると思いますので、是非よろしくお願いいたします。
あと、国際的な取組も必要だと思っております。質問をいたしませんけれども、特に今、東アジアを中心とした地域から発生源と見られる漂着ごみが大きな問題になっております。国際摩擦にもつながりかねない大きな問題であると思いますので、これは国交省のみならず政府挙げなければ解決できない課題でもありますので、是非、この点も含めましてこの漂着ごみ問題対策を推進していただきたいと思っております。
続きまして、港湾の国際競争力強化についての質問をさせていただきます。
我が国の港湾、先ほど来質問の中でスーパー中枢港湾等の話が出ておりましたけれども、まず初めに、港湾の競争力が低下してきた原因についてどのように把握されているのかなといったところを質問させていただきたいと思います。
今、何というんですか、近代日本というのがちょうど百五十年前、明年二〇〇八年で開港百五十周年というところが、港があるわけでありますけれども、近代日本というのは港の開港とともに始まったと言われております。
また、全国の都市を見て、五十万以上の都市、五十万都市で海に面していない都市というのは、古いデータかもしれませんが、札幌、京都、さいたま、相模原、八王子しかないと。要は、あとの五十万都市というのは二十ぐらい、全部で二十四ぐらいあるそうなんです、ちょっと古いデータかもしれませんが、あとは全部海に面していると。それほどこの海と港の関係というのは、我が国の町の発展、近代日本の発展に欠かすことのない要素であったわけであります。
今、特定重要港湾でありますとか、重要港湾、地方港湾合わせて約一千ありますけれども、こういった港の問題の中で、例えば旧態依然とした各種規制、岸壁の水深の問題でありますとかIT化の遅れなどが課題となってコンテナの取扱量が、これはよく使われるデータでありますけれども、一九七七年から二〇〇四年の間で、神戸の港は当時は世界第二位だったけれども今は三十五番目に取扱量が落ちていると。七七年、東京は世界で十番目だったけれども、二〇〇四年では二十二番目に落ちていると。軒並み韓国、台湾など東アジア諸国に比べての競争力低下というのが激しくなっているわけであります。
物流の改革というのは、国土交通行政の極めて星であると思っておりますし、また我が国の国家戦略でもあると思っております。物流の大部分は海上にゆだねているところでありまして、この港の問題というのは非常に大きいんだなと。そうしたときに、どうしてこの国際競争力がこんなに、我が国にとって大事な要素である港がどうして競争力が低下してきたのかという認識をまず初めにお伺いしたいと思います。
○政府参考人(中尾成邦君) お答えいたします。
確かに我が国港湾は相対的にその地位を低下しているというのは事実でございます。これは、一つはアジア地域の急速な経済成長に加えまして、アジア諸港を始めとする海外の港湾と比較してコンテナ一つ当たりの取扱コストが高い、あるいはリードタイムを始めとするサービス水準が低いなどによるものと認識しております。
これはいろいろな要因が複合した結果でございまして、港湾のコストの面で見てみますと、一つは所得レベルの相違による労働コストとか物件費が割高であるということ、二つ目は我が国コンテナターミナルはこれまでワンバース単位で個別運営されていたため運営規模が小さいなど、運営の効率化が遅れてきたことなどが要因として考えられます。また、サービスの一つでありますリードタイムでございますけれども、これはアジア主要港より長くなっていると考えております。
そのため、我が省だけじゃなくて、輸出入港湾関連手続の簡素化、統一化など、財務の関税局あるいは入管等々関係各機関との協力の下で、漸次その短縮に努めているところでございます。
○谷合正明君 そこで、スーパー中枢港湾でございます。国家レベルでの新しい港湾政策が打ち出されまして、平成十六年度にスーパー中枢港湾が指定されまして、京浜、伊勢湾、阪神と指定されました。このスーパー中枢港湾施策というのは何を目指しているのかという質問と、これは私の前の委員の質問の中でも出てまいりましたので簡単に触れていただいた上で、その中で、スーパー中枢港湾政策の中で、官民連携の下でハードとソフトが一体となった総合的な施策を推進することとしておりますけれども、その具体的な内容について併せて説明をしていただきたいと思います。
○政府参考人(中尾成邦君) スーパー中枢港湾の目的でございますけれども、これは相対的地位が我が国港湾は低下しております。我が国の発着の国際海上コンテナ貨物のうち、近隣のアジアの港湾において積み替えられる割合が急増しております。これは海外トランシップ率と呼んでおりますけれども、平成十年には五%だったものが平成十五年には一五%という具合に、直接海外、欧米に行くんじゃなくてアジアの国を経由して行ってしまうというような率でございます。
このため、スーパー中枢港湾政策では、我が国輸出入産業の国際競争力にとって重要な基幹航路の維持、欧米等の航路でございますけれども、維持確保を図るために、港湾コストの三割低減、リードタイムの一日程度への短縮を目標にいたしまして、アジア主要港をしのぐ港湾コスト、サービス水準の実現を目指しております。
その推進に当たりましては、政策的視点といたしましては、シンガポールのように国外から貨物の積替え需要を中心に発展していくモデル、つまりトランシップ率が八〇%程度でございます、シンガポールは。そのようなモデルじゃなくて、まず、相当量に上ります我が国発着貨物を中心に低コストで効率的なサービスを実現することが重要と考えております。引き続き、我が国輸出入産業の国際競争力の強化とか国民生活の質の向上に資する政策を推進してまいりたいと考えております。
それともう一つ、官民連携の下でのハード、ソフト一体となった政策でございますけれども、もちろん、スーパー中枢港湾プロジェクトにつきましては、総合的な政策ということでソフト、ハード一体となった政策をやっております。
具体的には、スーパー中枢港湾におきましては、水深十六メートル級の大水深岸壁、奥行き五百メーター程度のコンテナヤードを擁する次世代の高規格コンテナターミナルの早期整備を行うこととしておりますし、またソフト面では、その運用に当たりまして、大規模ターミナルを民間事業者が一体的に運営することでスケールメリットの実現を目指すということにしております。また、このようなターミナルの機能を更に高めるために、内航船との円滑な接続を確保するための社会実験、そういった共同デポ、鉄道の積替え施設など、効率的な運営のための必要な施設整備に対する補助も行っております。さらに、港湾行政における手続の統一化とか電子化ということも行っておりまして、このようなソフトの政策を通じましてスーパー中枢港湾を進めているということでございます。
○谷合正明君 最後に出ました手続の統一化、簡素化に関連する質問でございます。
次は、シングルウインドーの話でございまして、これも片仮名で、私が言っているわけじゃなくて、そう書いてありまして、いわゆる港の手続は煩雑であるという問題意識があり、平成十五年七月にシングルウインドー化というものができました。何のこっちゃという話もあるんですけれども、六府省七システムを連携接続して複数の手続が一回で済むというものだったんですが、更なる手続の簡素化、統一化の必要性がございまして、平成十七年十一月には、国際海上交通簡易化条約の対応も含めまして簡素化、統一化が図られたと。さらに、次世代シングルウインドーということで、平成二十年十月に稼働予定だと。要は、窓口を一本化すると言った方が話が早いのかもしれませんが、入港前の申請業務の統一、入港届け業務の統一、出港届け業務の統一を平成二十年十月に稼働予定であると、これが次世代シングルウインドーだということでございます。
ただ、今もう一つ課題となっているのは、港湾の管理者であります地方自治体、この地方自治体ごとでさらに手続等が、あるいは書類等の、余り使われない書類も何か申請に出さなきゃいけないとか、そういった問題があり、国の方では一本化できたとしても地方自治体の方でまだまだばらばらなところがありますよといったところが今問題であると私ども認識しております。
ちなみに、手続時間、日本は十二時間あるいは二十四時間、シンガポールは四時間で済むと、これが今の現状でございます。
質問は、地方公共団体が主管する港湾手続についてはどのような形で次世代シングルウインドーへの一元化を推進していく予定となっているのかと。
アジア・ゲートウェイ戦略会議の中で、貿易手続改革プログラムの中に、推進に関しては「次世代シングルウィンドウ稼働から一年程度で一定の成果が得られるような早期実現の工夫を、引き続き検討する。」となっておりまして、一年程度であるとか一定の成果であるとか、ある意味、目標が明確になっていないという指摘もございまして、その辺り、いつまでにやるのかといった工程に関してお伺いをいたします。
○政府参考人(中尾成邦君) 次世代シングルウインドー、二十年十月、来年十月に行われますけれども、実はそれまでシングルウインドーと呼んでいたやつ、平成十五年十月ですか、そのときにできたやつは、シングルウインドーはシングルウインドーで、一つのところに入るとそこからまた次のところに入れるということだけであって、一つのデータを入れたら全部それができるというわけにはなっていなかったわけです。そのために、今回、次世代シングルウインドーというのは、二十年十月のやつは、一つある程度データを入れたらそれが全部のところに行くという、正にシングルウインドーという形でやるということでございます。
実は、港湾の部分につきましては、港湾管理者というものが各自治体でございますので、港湾ごとに実は異なる港湾関連手続の申請様式というのがございます。例えば、ある港では引き船のことが要る、あるいは給水のことが要る、ある港では要らないとか、そのようなことでございますので、こういう申請用紙を各港共通の手続で入力情報の利活用の効果が高い手続につきまして、本年度中に、申請書式の統一モデルの様式というものを国が、国交省が作成した上で、港湾管理者へ通知して、採用を要請いたします。これは、港湾管理者ごとにそういう様式、条例で決まっている場合がありますので、そういうことで要請をするということでございます。
また、平成二十年十月の次世代シングルウインドー稼働後できるだけ早期に、次世代シングルウインドーに機能を追加しまして、申請窓口の一元化を実現するように努めてまいります。
さらに、各港湾の申請書式の統一化とか所要のシステム改修等の状況を定期的に調査とか公表を行いまして、今後三年間を集中改革期間と位置付けて達成を目指してまいります。
このように、税関とか入管とか国だけでできるものと、我々の港湾管理者がやっております手続とが若干異なる部分がありますので、各自治体の条例等の改正とかいろいろなことがありますので、ちょっと時間をいただきたいということでございます。
○谷合正明君 できる限り早くという御答弁でありましたけれども、平成二十一年の十月を目途にしっかり早期にやっていただきたいと思っております。
最後に、大臣に、スーパー中枢港湾を始めまして、我が国の港湾の国際競争力の強化のために今後進めるべき政策、これについて大臣の最後に決意、御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 少子高齢化、人口減少社会に突入しております我が国が継続して経済の成長を求めていくためには、勃興するアジアというそれの活力を日本に取り入れなければならないわけでありまして、そのためには、国際港湾をきちっと整備しておくということがもう非常に大事、必須の要件だと思います。
日本に参ります貨物あるいは日本から出ていく貨物の九九・七%が外航海運に依存しておるという事実に照らしても、その積込み、積み上げ、荷揚げ、荷降ろしという部分をきちっとしなきゃならないわけであります。
したがいまして、そういうことから、スーパー中枢港湾、日本の貨物の八割を扱っている三つの港湾を当面強化しようということでスーパー中枢港湾を政策を進めているわけでございまして、具体的には平成二十二年までにアジア主要港をしのぐコスト、サービスあるいは水準の実現を目標にしようということで頑張っているところでございます。
また、大型コンテナ船に対応した水深十六メートル級の次世代の大規格コンテナターミナルの整備、あるいは埠頭公社を民営化する、あるいは国内輸送連携の強化など、ハード、ソフト一体となった取組を引き続き着実に推進していかなければならないと、このように認識を持っております。
さらに、国際水平分業が進展する中におきまして、物流コスト、あるいは環境負荷の低減、さらにはアジア・ゲートウエー機能の向上をさせるためには、今後、スーパー中枢港湾等の高規格のコンテナターミナルと一体となって機能する高度で大規模な臨海物流拠点の形成、ロジスティックって、また横文字はいけませんけれども、そういうようなものの集積が次には絶対に必要だという認識をいたしております。そのような、スーパー中枢港湾の後背地にそのような物流のための拠点ですね、これを造っていかなければならないというふうに認識をいたしております。
○谷合正明君 終わります。