○谷合正明君 公明党の谷合です。
広域地域活性化法案について質問をさせていただきます。
まず初めに、この法案を提出した趣旨、背景等について大臣にお伺いしたいわけでありますが、大臣も衆議院の質疑あるいは本日の質疑の中でも、我が国の明治以来の国の形成されてきた過程の中で、極端な中央集権行政システムがあった、あるいはそれが東京一極集中、これは政治、経済、金融、文化、学校だとか、そういったものを含めた東京発の情報が、価値観といいましょうか、そういったものがややもすると全国を支配してしまう、まあ大臣はそのようには直接は言われておりませんけれども、私自身も地方におりますとそういうことは本当に多いなと思っております。
例えば岡山にいて、ラジオをぱっとつけて聞いてみると、ニュースが流れてきて、首都圏の東京の高速道路の渋滞状況なんかが、三宅坂を先頭に何キロ渋滞している、そういう情報を岡山で聞くというのは、こういうというのは本当にいいのかなと思ったりするわけであります。
また、大臣は、地域ブロック、これをこれまでの一極あるいは一地区型の国土形成から地域ブロックが自立し連携していく国土構造への転換ということも言われております。私が住む岡山県は、知事が大変道州制の議論に熱心な方でございまして、そういう意味ではよく比較出されます地域ブロックとヨーロッパ諸国との人口、GDPの規模、こういったものも従前からいろいろ拝見をさせていただいたわけでありまして、本当になるほどそうだなと、我が国の地域ブロックというものは本当に大きな力があるんだなと実感した次第でございます。
もう一つは、今後、じゃ日本の社会が、構造がどうなるのかというと、人口減少という一つ大きな問題があります。団塊の世代の方が、二〇〇七年問題というのがありますけれども、大体一年間で二百万人を超える方が出生、生まれていたと。私は団塊ジュニアの世代でありますけれども、やはり一年間に二百万人生まれていた。しかしながら、今生まれる赤ちゃんの数というのは半分の百万人ちょっとでございまして、これを考えると、ちょうど今、今年から二〇五〇年ぐらいにかけて、私かその下の世代が六十代、七十代になっていくころの二〇五〇年というのが非常に、それまでにどういう国づくりを進めなきゃいけないのかということが非常に大事なんだろうなと。
このまま人口減ると江戸時代並みになると言われていますけれども、江戸時代と違うのは、やはり急激な人口減少と、もう一つはその人口構成の比率が高齢化の率の方が圧倒的に高いのが今の時代でございますので、そういったことを含めながら、この交流人口というのをいかに増やしていくのかということを考えなきゃいけないんだろうなと、私もそのように思っておるわけでありますが、まず初めに、大臣の方から、この法案を提出した趣旨、背景、またあるいは地域ブロックの自立した姿、どういうイメージを持っていらっしゃるのか、冒頭に、最初にお伺いいたします。
○国務大臣(冬柴鐵三君) もう今までも答弁申し上げましたけれども、明治期以降の極端な中央集権型の行政システムというものが東京に過度に集中を呼び、その反面、地方には過疎ということになってしまいました。地方にはそれぞれの歴史や伝統や文化があります。観光だけではなしに、固有の資源があるわけです。そういうところが今死に絶えんとしていたわけでございますが、私は、それは許されないわけでございまして、何とかそういうところがそれぞれ生き生きと活性化する、そうあらねばならないというふうに思うわけでございます。
〔委員長退席、理事山下八洲夫君着席〕
時は今、ちょうどそういうことの認識から地方分権推進が行われ、そしてまた国土につきましても国土形成計画法と、今までの全国総合開発計画法に代えて、そういうような地方広域ブロックというものを重視した、そういう形を国民は望んでいるというところからこの法律を提案しているわけでございます。
地方には、岡山県もすばらしい歴史があり、そしてまた観光資源としてのものもあり、また備前焼等のすばらしい伝統の工芸というか、そういうものもお持ちでありますし、瀬戸内海の美しい景観、こういうものもあるわけです。そういうものが、東京一極集中で、そこに住む人たちがもうすべて高齢者ばかりになってしまって、若い人が魅力失ったということになりますと、そのようなすばらしい瀬戸内海の景観、自然、そしてまたそこでしか取れない食材と申しますか、またそれを加工する手法というものも死んでしまうわけですね。これは我々の世代で殺してしまってはいけないわけでして、私どもはそういうものをどうしたらいいか。
そこで、国というレベルじゃなしに、一番そこのことをよく知っていられる都道府県が中心になって、そしてまたそこに住む財界の人も、そしてまた我々の地方支分部局もそこにはあるわけでございまして、そういう人たちが寄って、そしてここを、この魅力というものをどう生かしていくのかということになると思うんです。
最初から話がありますように、そこを活性化し、そしてそこに住む人たちも自信や誇りを持つようにする。また、よそから来ていただく方も、その地域に身を置くことによって本当にその良さというものを体感していただく、そういうことができるようにするためにはどうあるべきか、こういうことになるんだろうと思います。
私は、そのように日本というすばらしい自然に恵まれた土地が隅々まで生き生きとした形でやはり後世に伝えられていかなければならないというふうに思うがゆえに、このような法律は是非通していただいて、そしてこれを中心にそのような日本の国土が形成されていくことを心から願っているものでございます。
○谷合正明君 大臣の方からお答えいただきまして、この法案の目的、趣旨に沿った形で国土形成がされていくことを私も望んでいるわけでありますが、一つ、この広域の概念について先ほど来お話があるわけであります。
例えば、これは少なくとも都道府県を越える空間という範囲を想定ということで答弁があると思いますけれども、岡山県と鳥取県の県境には大山という観光資源がございます。私もそういったところに行きましていろいろ観光業に就く方のお話を聞いてみると、やはり県境というのが一つのネックになっておると。高速道路も近くは通っておるんですけれども、インターを下りて岡山県内の方にいると、鳥取県の側の大山の観光資源の情報というのがなかなかなかったりする。それは逆の話もあるわけであります。
〔理事山下八洲夫君退席、委員長着席〕
もう一方、大山のふもとには湧水がありまして、そこに飲料水メーカーなんかが工場を立地するという今計画、工事されているんですけれども、やはり工場の場所はこれは鳥取側なんだけれども、トラックで物流のためには高速道路に乗るとそのインターは岡山県側にあると。工場からインターまでの国道の整備が、鳥取側はいいんだけれども、岡山側になるとなかなか意思が伝わらないというような話を聞きました。正に、私はこの法案の趣旨を聞いたときに、どういう地域が星になるかといえば、正に県境の観光資源であるとかあるいは物流拠点、その周辺地域というものが一つ重要なエリアになるべきであると私は思った次第でございます。
そこで、広域ブロックの自立という目的が掲げられておりますが、本法案は基本的にやはり都道府県単位で計画を作成し交付金を交付するという仕組みになっております。手段として、私の先ほどお話しした、いわゆる県をまたぐという広域的な概念から照らし合わせますと適当ではないのではないか。どのように広域的な視点を確保していくのか、その点についてお伺いいたします。
○政府参考人(渡邊東君) お答えいたします。
委員正に御指摘のとおりだと思っております。特に観光資源というのは県境に重要なものが多くあるというふうなこともございますし、また企業が立地する際には、県境を、県の境を考慮してやるというよりも、その地域が全体として立地するに適切かどうかということを判断して立地するわけですから、やはり政策を考える方も、県境ではなくて隣の県と一体となって活動するということが今回の仕組みの中で広域活性化ということを図っていくためには非常に重要であるというように考えております。
しかしながら、交付金制度という制度の仕組み上、最も広域的な行政主体であります都道府県が作成する広域的地域活性化基盤整備計画に対しましてハード、ソフト一体の支援をするということにしておりますが、繰り返しになりますけれども、この活動というのは一つの県を越えた活動でありますから、幾つかの県が一緒になって計画策定作業を協力、連携してやっていただくということが大変重要だと思っておりますので、一つは、ブロックの計画を作るに当たりまして広域地方計画協議会というのができますけれども、この広域地方計画協議会におきまして、県が企画、都道府県が計画を作るときにはいろいろと連携方策を御審議いただくというようなことをこれから定めていきます基本方針の中で示していきたいと思っておりますし、また法案の中でも、この計画を実施するに当たってこの広域地方計画協議会の仕組みを活用するということを言っております。そういうような形で各都道府県の連携というのを大いに進めていただきたいというのが私たちの気持ちでございます。
○谷合正明君 広域地方計画協議会が有効に機能するように、この法案の第六条にも書かれているわけでありますが、しっかりそこを見ていきたいと思っております。
そこで、各都道府県から本制度に対してどういう今のところ反応があるのか。衆議院の質疑の中では、その当時は二十程度案が出ているというふうな話を聞いたんですけれども、またどういうプロジェクトが提案されているのか。先ほど二つの県をまたがるような、こういった案というのが実際にあるのかどうか、その点について伺いたいと思います。
○政府参考人(渡邊東君) これまで各ブロックにおきまして、予算のPR等を通じまして本制度の周知を図ってまいりましたところでございますけれども、衆議院の審議では二十を超えると申し上げましたが、今日は既に二十五を超えるということで御報告申し上げたいと思います。二十五を超える都道府県から具体的な問い合わせというのを受けておりまして、最終的には相当数の都道府県から申請があるんじゃないかなというように考えております。
地域別に見ますと、大都市圏よりもむしろ東北とか四国とか九州、こういったところからの問い合わせが多く見られるというようなことでございまして、内容といたしますと、やはり広域観光の活性化あるいは生産・物流機能の強化といったようなテーマが多く見られます。こういったものの中には県境を越えてというようなことの考え方もございます。そのほか、地方としての活性化とか、あるいは都市農村交流の活動とか、こういったものも今後上がってくるんじゃないかなというようなことを期待しておるところでございます。各地方でいろいろとそれぞれの地域の特色、特性、資源、そういったものを生かしたプロジェクトを御提案いただくことは大変有り難いというように思っております。
○谷合正明君 先ほど来、私は岡山の話出していますけれども、まだ中国地方では出てないようなので、しっかりと国交省の方からも、まあ私の方からも県の方にも言っていきたいと思っておりますけれども。
ところで、まちづくり交付金とこの本制度がよく比較されるわけでありますが、簡単に言うとまちづくり交付金は市町村バージョンであって、この法案は都道府県バージョンであると、大ざっぱに言うとそうあるわけでありますが、このまちづくり交付金とこの法案ですね、この目的であるとか対象などの違いはどういったところにあるのか。また、まちづくり交付金と交付対象エリアが重なって交付することは可能なのか。そして、まちづくり交付金の対象となる市町村と都道府県、こういった連携についてどのように考えていらっしゃるのか、その点についてお伺いいたします。
○政府参考人(渡邊東君) 本制度の趣旨ということでございますけれども、正に民間の活動に合わせてタイミングよく必要な社会資本整備を都道府県が進めると。それを対象に必要な基盤整備やソフトのための支援をやっていくというものでございます。
仕組みとしてはまちづくり交付金と似たところがございまして、どちらも地方の裁量性とか自立性を高める仕組みでございますけれども、大宗といたしまして、本交付金でありますと都道府県が対象でございますから、より広域的な地域活性化活動に資する基盤ということで、市町村を対象としたまちづくり交付金にはない補助国道とか、あるいは港湾や空港、こういったものを対象にしているといった違いがございます。
この地域自立・活性化交付金による都道府県事業とまちづくり交付金によります市町村事業、こういったものが同一の事業に対する二重の補助ということになりますと問題でありますけれども、そうでない限りは同じ地域で適用することは十分可能であると思っておりますし、この二つの制度がうまくマッチングしましてより効果が高まるということであれば、それはより望ましいわけでございますから、両者の一体的な推進ということが図られるようなことを地域の方でも工夫をしていただければ我々としても一生懸命支援していきたいというように考えております。
○谷合正明君 分かりました。
次に、今回は地域の発意、これを大切にしているわけでありますが、地域の発意による計画作りということなんですが、その結果として採択される地域が偏る懸念はないのかと。これ、この国土交通委員会、さきの委員会でも都市再生特別措置法でも同じような質問が出ているわけでありますが、計画をする前の段階でこのことについてどのように考えていらっしゃるのか。
また、交付率は今四五%で設定されておりまして、これは道路だとか下水道とかいろんな補助事業をならしたときに四五%出るということなんでしょうが、これは例えば北海道、沖縄は四五%のままであるのか、そういったところからの観点でこの採択される地域が偏る懸念はないのか、お伺いいたします。
○政府参考人(渡邊東君) ちょっと繰り返しになりますけれども、都道府県が作成する計画に位置付けられる民間活動でございますけれども、これは地域外の広域から来訪者を増加させたり、あるいは広域にわたります物資の流通を促進する、こういった広域的な地域の活性化に資する活動であれば広範囲に認めていくという仕組みにしておりまして、確かに企業の誘致とか、それから観光とかそういったもの、そういったものが例えば大都市に多いんじゃないかというような御指摘もあるかと思いますけれども、そういったものだけじゃなくて、例えば都市と農村の交流活動とか、あるいは地域資源を生かした観光とか、あるいは農村への定住促進とか、あるいは地場産品の振興とか、こういった広域的な活性化の活動というところの点につきましては、地域でそれぞれの特色を生かして大いに工夫していただければいいんじゃないかということでございまして、そういった点では大都市だけではなくて地方でも十分活用できるんじゃないかなというように思っております。
先ほど、今までどのくらい来ているかという御質問いただきまして、申し上げましたけれども、むしろ現在の状況を見ますと、大都市圏よりも東北とか四国とか九州とかが多いということで、地方の方でも非常に関心を持っていただいておるということでございます。
国土交通省といたしましては、これまで予算のPR等を通じて周知に努めてまいりましたけれども、本法案成立していただければ、ブロック単位での説明会の開催とか、あるいは都道府県からの相談等への積極的な対応、こういったことで地域の方でしっかりこの制度が使えるように努めていきたいというように考えております。
なお、この交付金の交付率でございます。これは全国四五%一律ということでございます。確かに北海道とか沖縄、補助率が高いので若干使いにくい点はあろうかと思いますけれども、ただ、この仕組みというのの良さは、やはりソフト、ハード両面の幅広いメニューをタイミングよく使っていくというところが良さでございます。そういった点を大いに生かしていきたいということで、具体的な相談があれば、こちらとしても積極的に対応していきたいというように思っております。
○谷合正明君 今後、この制度の良さを、メリットを周知されていくということでありますが、まず、その十九年度の予算額は、交付金が年間二百億円で事業推進費の方が百五十億円ということで、約三百五十億円でございますが、これは地域の要望に十分にこたえられる規模であると考えていらっしゃるのか、あるいは来年度以降どのように考えているのか、併せてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(渡邊東君) 予算の規模はただいま委員が御指摘のとおりでございますけれども、一つの事業が大体三年から五年ということで考えております。例えば五年ということになりますと、交付金の率を考えました事業費としましては五十億弱ぐらいの規模ということでございまして、これはまちづくり交付金の規模と比べまして倍程度かなということでございます。
先ほどからちょっと繰り返しになりますけれども、具体的な活動というのはそれぞれ地域で工夫していただく、内容は様々でございますから、必ずしも平均ということで申し上げるのは難しいかもしれませんけれども、これだけの規模であればある程度各都道府県から手を挙げていただいても対応できるんじゃないかなというように思っておりますし、それと併せまして事業推進費というものも設けてございます。これは、この計画の推進に当たりましては、やはりタイミングよく直轄事業を推進していくというようなものもございます。また、本来の直轄事業やそれから都道府県の補助事業と、こういったものとも連携を図っていくということが必要でありますし、そういった点を十分考えていけば、この制度で十分まずはやっていけるんじゃないかなというように思っております。
今後につきましては、この制度は大変使い勝手がいいねと、地域の活性化に大変役立つねというようなことで御希望が強いようであれば、我々としても更に今後努力していきたいというように考えております。
○谷合正明君 分かりました。
最後にお伺いしますけれども、評価制度についてお伺いいたしたいと思います。
さきの統一地方選挙の結果を受けて、有権者の方は新たに当選した首長に何を期待するかといったら、やはり経営者の感覚というふうに答える割合が高うございました。やはりこの政策、制度、今後は、PDCAサイクルだとかいろいろありますけれども、チェックの部分、評価の部分をどうやってやっていくのかというところが大事であると思っております。
この制度におきましては、この制度ならではの評価制度というのはどういったものがあるのか、その点について最後にお伺いして、終わりたいと思います。
○政府参考人(渡邊東君) お答えいたします。
今回の制度につきましては、対象となる事業につきましては非常に幅広く地域の自主性を尊重した形で考えておると。それから、その事業の仕組み自体も都道府県の自主性、裁量性というのを非常に高めているという意味での使い勝手がいいわけでありますけれども、そうなりますと、実際この結果として成果がどう出てくるのかというところが非常に重要になるわけでありまして、そういう意味から考えますと、この評価というのは大変重要であるというように認識しております。
このため、この地域自立・活性化交付金の運用に当たりましては、都道府県が広域的地域活性化基盤整備計画を作成する段階で、例えば観光客が入り込み数の拠点となる施設の利用者数とか、あるいは企業立地でありますと企業立地に伴う雇用者数と、こういった目標値をできるだけ数量化していただいてそれを設定していただくと。これを私どもとしましても公表していくということで、国民の目で、あるいは地域の住民の目で見ていただく。
また、期間が終了した時点で、都道府県におきまして、事前に設定したこういった目標の達成状況につきましてしっかりと評価をしていただくと、その結果も公表していただきますし、私どもとしても公表していくというようなことをしていきたいと思っております。
私どもとしましては、都道府県に適切な指導を行いまして、交付金の効果的、効率的な活用、これが広く国民の目で分かるように、国民の目で十分チェックできるようにというような仕組みをしていきたいと思っておりますし、また都道府県が行いましたその評価というものが今後のまた制度の活用に結び付くように、正にPDCAをしっかりやっていきたいというように考えております。
○谷合正明君 終わります。