○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
本日の質疑におきましては、私の方からはまず道路法等の改正から質問をさせていただきたいと思います。
地域のニーズに即した柔軟な道路管理制度を通じて安全な歩行空間を創出していくと、これが今回の法改正のねらいでございます。今、政府の目標としましては、平成二十四年までに交通事故者数を五千人以下に減らしていくということが掲げられております。そのうちの施策の一つとしまして、自転車利用者対策の推進というものをうたっているわけでございます。
今、自転車は全国で、間違っていたら訂正していただきたいんですけれども、全国で八千万台ほどあると言われておりまして、この自転車というのは非常に大きな、道路法等の改正を考える上で非常に大きなポイントではないかなと思っております。
自転車については、言うまでもなく健康増進にも役立ちますし、また環境についても負荷の少ない乗り物でございます。しかし、自転車が乗り入れることができる、そういう自転車専用道というのは我が国におきましては圧倒的に少ないと。また、車道にありましても歩道にありましても、今も事故が少なからず生じております。
まず、自転車整備の推進に向けた取組について伺いたいわけでありますが、道路交通法上は自転車は車道を走ることと原則されておりまして、私も初めてそのことを知ったわけでありますが、まず、自転車歩行者道の総延長距離、先ほど道路局長の方から一部答弁あったと思うんですが、もう一度確認の意味で質問させていただきたいと思います。
○政府参考人(宮田年耕君) 自転車歩行者道の設置されている道路延長、十七年度現在で七万二千キロでございます。
ただ、四十五年から自転車歩行者道を整備しておりまして、そのときの基準は、自転車歩行者道、幅員二メーター以上ということでございます。現在の道路構造令の基準というのは三メーター以上でございます。こういうのも含めて七万二千キロでございます。
○谷合正明君 警察庁の方にお伺いいたしますけれども、原則は自転車は車道を通るということなんですけれども、そうなってはいないのが現実ではないかなと思うんですが、自転車が通行可能な歩道の総延長距離というのは今どうなっていますでしょうか。
○政府参考人(矢代隆義君) 御指摘のとおり、自転車は車道通行原則ですが、都道府県公安委員会が普通自転車の歩道通行可の規制を行った場合には車道を通っても歩道を通ってもいいと、こうなっておるわけでございますが、これの、自転車の歩道通行可の規制の総延長、計算方法といたしまして、両側に歩道があればその規制を掛けた歩道ごとに積算いたしますが、十八年三月末現在では、全国で六万八千九百九十二キロメートルでございます。
○谷合正明君 先に事実関係を確認させていただきましたが、今自転車の事故が増えているのではないかと指摘されておりまして、自転車が加害者となるケースもあれば被害者となるケースもございまして、自転車といいましても一口に、私がイメージするような自転車は、主婦の方が乗るような普通のタイプの自転車から、宅急便で使うような本当にスポーツタイプの自転車まで、いろいろ多種多様な用途があるわけでありますが、今そういった自転車の専用通行空間の整備が、先ほどもありましたけれども、まだまだ不十分ということもあり、自転車をめぐる事故について増えているのではないかと。
今実態としてどのように把握されているでしょうか。警察庁の方、よろしくお願いします。
○政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。
自転車の事故は、相手方が歩行者の場合と、それから相手方が自動車、二輪車、あるいは列車、自転車同士もございますが、いわゆる車両の場合がございます。
それで、昨年一年間に発生いたしました事故を見ますと、対歩行者事故が二千七百六十七件でございます。それから、自動車と、他の車両等と衝突する事故ですが、これが十七万一千四百九十五件でございまして、合わせて十七万件強でございまして、事故全体の二割弱を占めているところでございます。
○谷合正明君 これは本当に事故の約二割ということで、これは大きい数字だなと思うんですね。特に、交通事故全体が、自転車に関する事故が今十七万件台ということだったんですけれども、これはたしか調べたところ、平成七年、十年前のデータと比べるとこれは増えているということでございます。やはり自転車をめぐる環境整備をしなきゃいけないんだなと私は思ったわけであります。
もう一つ、実際に地域に入って聞く要望は通学路ですね。通学路の歩道整備率というのはどうなっているんだということもよく聞きます。実際、今この通学路の歩道整備率というのはどうなっているでしょうか。
○政府参考人(宮田年耕君) 通学路の歩道設置率でございますが、トータルで申し上げますと約三分の一、三三%でございます。通学している児童が百人以上、通行量の多い通学路で見ますと四六%という設置率でございます。
○谷合正明君 私も議員になりまして、地元の町内の婦人会の方といろいろと話したときに、通学路の安心、安全ということで要望を受けまして、そのときにいろいろお答えしていたんですけれども、実際、自分自身が通学路を歩いたことがなかったと。実際に小学生が歩く通学路を歩いてみようというふうに思い立ちまして、歩いてみました。そうしましたら、やはり車の目線とは違って、歩行者の目線で歩いてみるといろんなところが見えてまいりました。私の通学路に関していえば、本当に生活道、本当に細いところ、隣に農業用水があって、もう今にも落ちそうな道路の道幅なんですけれども、そういったところもあれば、国道二号線のバイパスを越えていかなければ小学校に行けないという、車も抜け道も使って通りますので、非常に危険だなということを実感しました。実際に事故もあるんだということを話を聞かせていただきました。
先日も埼玉県の川口市におきまして、生活道路の中での通園途中の事故という痛ましい事故もございました。今、幼児、小中学生の登下校時の事故についてはどのように把握されているんでしょうか。
○政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。
私ども、事故統計は、事故に遭った方が通学目的であったか、あるいは買物目的であったかという目的別に統計取っておるわけでございますが、それで、登下校中ということで取ってみますと、幼児、小学生、中学生合わせまして、歩行中が四千七百四十五人、それから自転車乗車中が四千四百六十四人ということで、合わせて九千二百九人ほどの死傷者が出ておりまして、うち死者は十四人でございます。
それで、これは幼児とそれから小学生、中学生で少し特徴が違うわけでございまして、六歳未満の幼児でございますと、歩行中と自転車乗車中を比べますと大体二対一ぐらいでございます。小学生でございますと、歩行中が九に対して自転車乗車中が一割弱ほど、それから中学生になりますと逆になりまして、歩行中が二割で自転車乗車中が八割強といったところでございます。
○谷合正明君 登下校中の事故というのは増えているんでしょうか、減っているんでしょうか、ここ数年。もし分かれば教えていただきたいんですが、分からなければ結構。済みません。
○政府参考人(矢代隆義君) 登下校中の事故につきましては、これは、事故というか死亡事故全体が減っておりますので、大きな流れといたしましては減少しております。
○谷合正明君 分かりました。
今回の道路法改正案におきまして、歩行者の安全確保についてどういう措置がとられるのかということについて、国土交通省にお伺いしたいんですが、先ほど来のお話の中で、やはり子供が巻き込まれるケースでありますとか、自転車が巻き込まれ、巻き込んだりする事故のケースというものが依然として多いわけでございます。このような悲惨な事故を防止して、安心、安全の歩行空間を形成していくためには、通学路などの歩道整備、あるいは自転車道の整備を含めて歩行者優先の道づくりを推進することが重要ではないかと。多くの国民は歩道の整備が必要と認識をしております。
道路局長にお伺いしますけれども、今回の道路法の一部改正におきまして、これは歩道等に着目して地域のニーズに即した柔軟な道路管理を行うことが目的であるわけでありますが、歩行者の安全確保という点におきましてどのような措置がとられるのでしょうか。
○政府参考人(宮田年耕君) 大きくは二点、今回そういう観点での一部改正をお願いしております。
一つは、地元を最もよく御存じの市町村が、本来の道路管理者であります都道府県に代わりまして、国道とか都道府県道の歩道の拡幅あるいはバリアフリー化、駐輪場の整備が行うことができる制度、いわゆる代行制度でございます。それからもう一つは、地元市町村が道路管理者に対して、地域の歩行者の安全に資する交差点付近の改良、そういった改築の要請ができる制度、いわゆる要請制度、この二つを盛り込んでございます。
○谷合正明君 是非そうした制度が実効を上げるように努めていただきたいと思います。
もう一つ、私が視覚障害者の方からいただいた声なんですが、その方はつえをついて歩くわけです。かつては、歩道を歩く上ではその方は優先的に周りの方も配慮しておったと。しかし、現在になってきますと、バリアフリー化が進んでいるとか、あるいは元気な高齢者も増えたり健康ブームもありまして、歩道を歩く方が増えてきましたと、その方の実感として言われるんですね。かつては、弱者といえば、例えば視覚障害者の方なんかは優先的に通行が、皆さんが配慮していただいたんですけれども、今は何か歩道の中にもたくさん弱者がおってルールが徹底されていないと。その視覚障害者の方がよくぶつかるんですということをお伺いしました。
歩行者と自転車との歩道上の区分というのはどうなっているのか、また歩行者同士の通行についてはどうなっているのか。ルールもありましょうしマナーの部分もあるでしょうが、いずれにしても周知徹底というものが、啓発というものが大事になってくるんではないかなと思うんですけれども、その辺り、警察庁の方よろしくお願いいたします。
○政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。
歩道上で、まず自転車との関係でございますが、自転車が歩道を通行できるとされている場合でも、比較的幅員が広い場合には真ん中に線を引っ張っておりまして、自転車はその車道寄りの方を通るというふうになっておりまして、それがルールでございまして、またその歩道上は徐行すべきことと、それから歩行者に支障を及ぼすおそれがある場合にはこれは一時停止するようにと、こういうのがルールでございます。
それから、歩行者全体でございますが、これは歩行者については歩道通行と。それで、車道を横断するときや道路工事のために歩道を通行することができないときには車道を通ってもいいと、これルールでございますが、これを踏まえまして、歩道上の中では、これは交通の教則ということで安全教育の中でも実施していることでございますけれども、障害者の方々など一定の、いわゆる弱者と言われる方々でございますけれども、身体障害者の方々等がそばを通行している場合には道路を開けたり、あるいは交差点等の危険な場所で困っているのを見た場合には手をかす等して、安全に通行することができるように支援してくださいと、こういうふうにしておりまして、教育としてはそれをやっておるわけですが、今御指摘のように徹底していないところが、向きがあるかと、こういう御指摘だろうと思います。
○谷合正明君 特に高齢になりますとそういう教育を受ける機会もなかなかなかったりしますので、その辺りも知恵を是非、私も考えなきゃいけないんですけれども、出していただいて、頑張っていただきたいと思います。
それで、高齢者、障害者にとりまして安全な歩行空間の確保という点におきましては、やはり放置自転車の問題というものが大きい問題としてございます。
全国に駅周辺に放置されている自転車が三十八万台ほどあると私、お伺いしておりますけれども、今回のその道路法の一部改正におきまして違法駐車対策を進めるためにどのような措置を講ずることとしているのか、お伺いいたします。
○政府参考人(宮田年耕君) 放置自転車の問題、委員御指摘のように過去百万台近くございましたものが駐輪場の整備で三十八万台、九万台というふうに減っておりますが、なお深刻な問題だというふうに認識をしております。
それで、これまで放置自転車対策、平成十七年度に道路管理者も設置をできるというふうに改正をしておりますが、十八年度におきましては民間事業者も道路上に占用物件として駐輪場を置くことができるということを改正をしております。
今回の道路法の改正には、道路管理者が設置する駐車場が今申し上げた民間の事業者とのバランスを考慮して有料とすることができるというふうな改正が一つでございます。これによって地域の駐輪場のバランスが取れてくるんではないかなと思いますし、さらには、先ほども申し上げましたが、市町村が都道府県に代わって駐輪場の整備ができる、自らできると、こういうふうにしたことと、もう一つは、市町村自らが駐輪場の整備が行うことができない場合であっても本来の道路管理者に要請をすることができるということを、そういった措置を講ずることにしております。
こういった措置によりまして、引き続き総合的な違法駐輪対策を進めてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 是非その違法駐輪対策を迅速に、積極的に進めていただきたいと、そのように思います。
続いて、大臣にお伺いしたいんですけれども、歩道、自転車道の整備についての大臣の決意をお伺いしたいんですが。
私、スウェーデンに留学したことがありまして、初めてスウェーデンの地に降り立ったときに一番感動したのが、夕方、歩道に老夫婦が手をつないで本当にゆっくり歩いて、散歩されている光景を見て、本当に豊かな光景を見たというか、日本ではなかなか余り見なかった、まあ今はあるのかもしれませんけれども、ゆったりとした歩道に本当にゆったりと高齢者の方が散歩を楽しまれている様子を見ました。実際に、その歩道だけでなくて自転車道というのもあの地域は整備されております。公共の、自転車の空気入れなんかも公共のサービスとしてストックホルムの市街地なんかには設置されているというぐらいに、自転車については非常に環境整備されているわけでございます。
もちろん、日本と北欧と人口密度も違いますので一説に同じように論じることはできませんけれども、ただ私は、これから日本はコンパクトシティーであるとか、あるいはビジット・ジャパン・キャンペーンなんかもやっていますけれども、やはり歩くことがもっと楽しめるような空間をどんどんつくっていかないといけないと思っております。
大臣も、この間の衆議院選挙の際に、私、尼崎に行ったときに、当時幹事長でしたけれども、冬柴幹事長が自転車に乗っていらっしゃると、幹事長が自転車に乗っていると聞いて本当にびっくりしたんですけれども、幹事長も、大臣も自転車をそうやって尼崎市内で乗っていらっしゃったということは、やはりそれなりの視点で、やはりまちづくりの中に歩道であるとか自転車道の整備というのは大事だなということを十分認識されていると思うんですけれども、大臣の、道路行政をあずかる大臣としまして、今後、元々歩道だとか自転車道の整備というのは道路特定財源でも使うことができるわけでありますから、なお一層取組を強化していただきたいと思うわけですが、決意を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(冬柴鐵三君) ありがとうございます。
尼崎は、淀川水系の河川が運んできた土砂が堆積した沖積層ですから、真っ平らなんですね。したがいまして、アップダウンがありません。そういうことから自転車が大変普及しておりまして、国道二号線沿いには自転車専用の道路も尼崎市内は造られておりまして、大変自転車が普及し、便利に使われている地域でございます。私はそういうことは大切な視点だと思います。
平成十七年現在で全国の道路に歩道等が整備されている割合は、先ほど道路局長が答弁しましたけれども、一般国道では五八・六%ですけれども、生活道といいますか、都道府県道では三五・五、市町村道では実に八%ということでございまして、それを合計した平均が一三・三%ということでございますので、まあ我々の生活道である市町村道が、やはりこれはもっとしなきゃいけないということを痛切に感じます。それで、その結果、歩行者や自転車の死者数は、交通事故の全死者数の四三%を占めているということになりますと、これはやはり、私はこれを是非整備しなきゃならないというふうな思いに駆られます。
こういう中、昨年三月閣議決定されました第八次交通安全基本計画では、人優先の交通安全思想を一つの基本理念として掲げておりまして、特に、先ほど言われました川口の悲惨な事故等がありました、ということで、通学路等における歩道等の整備や自転車利用環境の総合整備を積極的に推進するということになっています。
これを受けまして、国土交通省といたしましては、通学路を主とした歩道等の整備を進めてまいらなければならないという決意をしています。また、安全快適な自転車利用を図るため、路肩等の空間の活用を含め、自転車道、専用ですかね、の整備を積極的に進めていかなければならないというふうに思っています。
ちなみに、私は、市営バスなんかでも低床で自転車をそれに載せられるようなバスも必要じゃないかなと。歩いていって先でその自転車に乗り換えられるような、そんなことも考えているところでございまして、歩行者、自転車乗りの人が安全で安心して暮らせる町をつくっていかなければならないと思っております。
○谷合正明君 是非よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
密集地法についても質問を用意させていただいてたんですが、時間の関係上また来週の方に回させていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。