○谷合正明君 公明党の谷合正明です。私の方から、始めるときはODAというのは、援助というのはいいんですけれども、終えるときというのは非常に難しいと、ODAを終了するときですね、そのODAを終了させるときの話を中心に質問をさせていただきます。
〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕
私もいろいろ現場経験からいって、いかにそのプロジェクトを現地のカウンターパートにハンドオーバーして、それが向こうの自立につなげていくのか、これが本当に言葉では簡単なんですけれども難しい課題でございます。
そもそも、我が国のODAの卒業基準、円借款、無償資金協力、技術協力、また大使館には草の根・人間安全無償とありますけれども、どういうふうに相手国がなった場合にそれを、ODA卒業とみなすのか、事実確認をさせてください。
○政府参考人(別所浩郎君) 幾つかのODAの手法があるわけでございまして、有償、無償、技術協力とあるわけでございます。それぞれについて申し上げます。
有償資金協力につきましては、供与年度の前の年に発表される世界銀行融資ガイドラインを使いまして、一人当たり国民総所得、GNIでございますが、が五千六百八十五米ドル以下の国を現在の供与対象の目安としております。
それから、無償資金協力につきましては、一般に直近の世銀融資ガイドラインの、これちょっと細かい話になりますけれどもⅠ及びⅡの分類、そこに分類される一人当たりのGNIが千六百七十五米ドル以下の国を現在の供与対象の目安としております。
技術協力につきましては、供与相手国が開発途上地域ということにしておりまして、具体的に申しますと、DACの援助受取国ないし地域のリスト、それに国名が掲載されていることを目安としております。
これ、以上が目安でございまして、実際の卒業につきましては、このような各援助手法に関します目安を踏まえまして、諸般の事情を考慮して個別具体的に検討することとしております。
○谷合正明君 草の根・人間安全無償は出ていませんでした。これは、むしろもっとこれを、判断は現場判断になって、基準もある意味あいまいだとは思うんですけれども、まあちょっとその質問、次に時間がないので行きますけれども、ブルガリアのODAについて質問をさせてください。
ブルガリアが明年の一月にEUに加盟するということで、その影響だと思いますけれども、我が国のODA、いろいろなプロジェクトが終了すると。特に、青年海外協力隊が派遣されております。ただ、その青年海外協力隊も、先ほどのEU加盟に伴ってDACリストから除外されるということに連動して、これも新規を打ち切るということで、それが半ば抜き打ち的にこの措置が表明されたということで、現地に対してはですね、現地社会の失望が強く表明されているということを私は聞きました。
そもそも、この青年海外協力隊引き揚げるということにつきまして、どういう理由で今回そういう措置がなされたのか、お聞かせください。
○政府参考人(別所浩郎君) 今のお答えの前に一言、先生がおっしゃっていた草の根とか日本NGO支援無償、あるいはテロ対策治安無償、防災、こういったものにつきましては、少し高めのレベルの国民所得まで柔軟に対応するということにしております。
ブルガリアの件でございますけれども、先生も御指摘のとおり、二〇〇七年一月にEUの加盟が予定されているわけでございます。そういうことで、明確に発表されたということを受けまして、二〇〇五年の十二月にDACリストから外れました。ODA予算が減少する中で、一層の選択と集中ということが求められていることもございまして、このブルガリアに対していつまでもODAで支援するということは困難だというのが実態でございます。そういうこともございます。
また、ブルガリアに対するODAにつきましては、一人当たりのGNI、それから一般的な経済水準もございます。さらに、EU加盟をすることによってEUの中で多額の補助金といったことを受けることがございます。そういった要因を踏まえまして、段階的に縮小していこうということで考えているわけでございます。
○谷合正明君 JOCV、青年海外協力隊の中で日本語教師の派遣というのがあるんですけれども、特にこれは現地においては評価が高いと聞いております。
そこで、そういう海外協力隊がもう打切りになるということで、例えば広島大学等が、これが民間ベースの教員交流を続けていこうということで計画していると聞いております。しかしながら、いったんそのODAが打ち切られてしまうと、外務省あるいは国際交流基金からは、いわゆる金額ではないと思いますけれども、渡航費用だとか、あるいは現地のプロジェクトそのもの、教員交流プロジェクトそのものに対して支援受けられないという事態があります。私は、ODAも、それはもう段階的に自立していくべきだと思っておりますけれども、ただ果たしてそれが日本政府がしっかりと判断した上での措置なのか。ただ、今回はブルガリアはEU加盟になってDACリストから除外されるという言わばちょっと外部要因によってODAがストップしてしまったわけであります。
そこで、ブルガリアという国情も一朝一夕に加盟をもって変わるわけではありませんので、私は、ODA事業にとらわれず、何か側面支援というものができないだろうかということを外務省さんに要望させていただきたいんですが、何かいいアイデアはございますでしょうか。
○政府参考人(山本忠通君) 御指摘の日本語教育の関係でお答えいたしたいと思いますけれども、御指摘のように海外青年協力隊の日本語教育関連事業というのは、今ODAが終了することに伴いまして終結する方向で調整されています。これは、二〇〇八年の末までかかって海外青年協力隊事業というのは終了することになっておりまして、その間、我々としてやはり日本語教育は大変大事ですから、どのようにしてその後を埋めていくことができるかということを相手の受入れ国側の機関とも話しながら今対応を練っているところです。
具体的には、現在、既に国際交流基金から専門家が一人ソフィア大学に行っておりまして、幾つもの協力の形態があるんですけれども、何人も実は今行っているものですから、その方が現地にいろいろ助言をするということと、それからJOCVの方がいなくなった後につきましては、受入れ機関と、それからあと日本側の例えば大学などから派遣するところで新しいやり方を決めていただいて、そこに可能な範囲で我々も支援していくと。教材の供与のようなこと、その他便宜をいろいろ図ったり、あとブルガリア政府との間で取決めを交わして、ブルガリア政府が受け入れるに当たって政府のお金を出しやすくするようにするというようなことでいろいろ考えております。
○谷合正明君 是非きめ細かい配慮をお願いしたいと思います。
次に、この夏、私もODA調査団の一員としましてウズベキスタン、カザフスタンに行ってまいりました。阿部団長とともに行きました。その中で、視察させていただいたプロジェクトの一つが日本センタープロジェクトというものがございます。これは日本語学習を提供するでありますとか、日本文化あるいは留学情報を提供するとか、あるいは現地の若手経営者に対していわゆる経営学を提供するといったプロジェクトなんですけども、これが二〇一〇年に技術協力の第二フェーズが終了するということで、その後どうなるのかということが心配されているわけでありますが、ここは今どのように考えられていらっしゃいますか。
○政府参考人(別所浩郎君) 先生御指摘のとおり、ウズベキスタンもカザフスタンにもございますが、日本センター、市場経済化に資する人材育成ということと日本との相互理解促進ということでやってきております。また、御指摘のとおり、今第二フェーズにこのプロジェクト入っておりますけれども、二〇一〇年には終了ということで考えております。そういう予定になっております。
では、これからどうするかということでございますけれども、これまでに行ってきた日本センターの今までの成果、これは先生御自身ごらんいただいたと思います。非常にうまくいっている面と、いろいろ困難を、挑戦を受けながら頑張ってきたところございます。そういった成果を踏まえ、またその、旧ソ連圏でございます、独特の文化圏である両国の国情なども踏まえながら、両国のニーズ、いろいろ私どもとして支援すべきものはあると思います。そういった中で人材育成のための協力を行っていく。必ずしもODAというわけにはいかないかもしれませんけれども、いろいろ考えていきたいと思っております。
○谷合正明君 ODAという形でない、それ正に私はそこを言いたいわけでありますけども、そういうODAの枠にとらわれない形で是非やっていただきたいと思うわけです。
特に、そのカザフスタンにつきましては、小泉前首相が同国訪れまして、今後人的交流をしっかり進めるんだと言われました。表明されました。そう考えますと、この日本センターの役割というのは非常に重要であると私は考えております。しかしながら、カザフスタンは原油の生産によりましてかなりその一人当たりのGDPが、額が上がっておりまして、無償資金協力も卒業だと、で、円借款も向こうは要らないと言っているわけであります。
そうした中で、ODAとしてずっと続けるという位置付けもどうなのかと。実際やっているのが、計画講座といいまして、むしろセンターを運営している方自身も市場経済プロジェクトとしてやっているんですと。だから、これがODAというよりは、もうこれからいわゆるパートナーシップとして、何か事業として位置付けられないかと思うわけでありますが、この辺り、どのように考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(麻生太郎君) それはちょっと、それはちょっと局長クラスじゃなかなか答弁のしにくいところだと思いますんで。
谷合先生、これは確かにおっしゃるとおりに、最近では石油の値段が急激に、二十USドルから六十ドル、七十ドルに上がったこともこれあり、いろんな意味で急激に、一人頭のGDPに直しますと、ODAの対象とはぽんと飛んじゃった国、まあカタールとか、いろいろほかに数え上げれば、日本より三万ドル、四万ドル行っているところが一杯出てきております。
じゃ、実情はどうかというと、なかなか、急に金持ちになったけれども、教育がどうたらとか、やれ行政がどうとかとか、地方自治がどうとかいうと、全くできていないという。外務省より自治省によくそういう方お見えになるんですが、そういった方々に、実は自治大学校に学生をよこして、日本の自治大学校に送られて、そこで勉強されたらどうでしょうといって、実はそういった方々に対して、いろんな意味で、優秀な地方公務員教育というのは日本というのはかなり優秀なものがありますのでやられたらどうですというようなことを申し上げて、送ってきておられる国もあります、現実問題として。
〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
このカザフスタンの場合は、この間小泉総理が行かれて、これまで年間千七百人の海外留学生って、国費による海外留学生っていうのを全部ヨーロッパに送っておりましたものを、欧米に送っておりましたものを初めて日本に送るというところまで今来ておりますので、この受入れに関しましては、ウズベキスタンはやっておりましたけど、カザフスタンはありませんので、こういった意味では初めてそういった方にも道を開こうといたしております。
いずれにしても、今、ODAという、何となくリニューアルして、一緒にプロジェクトという、これは多分全然別の名前でやらぬといかぬのかなと思いますけれども、一つの考え方として大事な御視点だと思います。
○谷合正明君 さらに、カザフスタンだけじゃなくて、先ほど挙げたブルガリア、東欧には、今回ポーランドだとかハンガリー、ルーマニアもDACリストから除外されてしまうわけでありますね。そういう国々がどんどん出てくるんじゃないかと。
これまでは、東南アジアなんかはODA卒業して、それは民間投資でやればスムーズにいっていたんですけれども、ODAを卒業してから民間投資に行くというこの流れが必ずしもうまくいかない国がどんどん誕生しているんじゃないかと。
私は、そこで、ODAも民間投資に行くため、そのシームレス化が大事だと思っております。そのつなぎの部分が正に日本のODA、戦略的に考えなきゃいけない部分だと思っております。ODAをどうやって終了させて、どうやってハンドオーバーして、どうやって民間投資につなげていくか、この辺り、もう少し大臣の方から答弁をお願いします。
○副大臣(浅野勝人君) 今カザフスタンの例が出ましたけれども、ODA以外では中央アジアプラス日本というフレームの対話をしておりますし、もちろん二国間対話もございます。これらを通じてJBIC、それからジェトロ、民間の日本カザフスタン経済委員会の活動を連携しながら投資環境の整備をうまくやっていく。
卒業イコール次の入学という委員の御指摘は極めて重要だと思っています。それを併せて、来年一月にEUに加盟が予定されているブルガリア、それからルーマニアを含む中東欧諸国に対しても、円借款によるインフラ整備や投資庁への専門家の派遣などを通じて投資環境整備をこれまで実施してきておりますけれども、ODAを卒業したから、はい、さようならではなくて、むしろ同時に、ODA卒業を視野に入れて日本の企業の投資促進をテーマとするセミナーを開催したり、一層の投資環境の整備に向けての努力を日本もし、相手にも促しております。
委員の御指摘、極めて重要な点と受け取っておりまして、今後ともそれらに当てはまる国々で一層努力をしてまいります。
○国務大臣(麻生太郎君) 今、中央アジアのところまで説明を終わった。この上のところにいわゆるGUAMと言われるグルジア、ウクライナ、アゼルバイジャンというあれがあるんですが、これらを含めまして自由と繁栄の弧、いやいや、ずっとこっちまで、インドからこっちへ抜けまして、こういったものを基本としてやるとき、これ、抜けるところが今言われたアゼルバイジャン、ここらが抜けることになろうと思いますんで、そこのところを今にどうやっていくか、ちょっときちんと今立案中でありますので、改めて御説明させていただきます。
○谷合正明君 特に私が今申し上げた国々というのは非常に親日的でございます。大臣のお好きな漫画、漫画を通じて日本を好きになった、日本に留学するという学生を目の当たりにして非常にびっくりしたわけでありますけれども、金の切れ目が縁の切れ目にならないようにしっかりとやっていただきたいと思います。
対中国の円借款についても併せて伺いたいと思います。伺うというよりも、こちらの要望をさせていただきたいと思います。
対中国の円借款につきましては、二〇〇八年のオリンピック前までに円満に終了するということが日中の共通の認識でございます。しかし、今年というんですか、二〇〇五年度の閣議決定が年度末にできなかったということでございます。この理由についてはいろいろな委員会質疑でさんざん出てまいりましたけれども、私は、いずれにしましてもあと二年でございますので、円借款については、次は年度内に是非しっかりと円満に終わるような形、両国が話し合っていただきたいと思いますし、また、あと二年ということであれば、プログラムなんかは、予算は一年ごとで区切ってもいいとは思いますけれども、プログラムは終了時点まで何か提示していくというような考えもあってもいいんではないかと私は思います。
是非、その辺り、海外経済協力会議なんかでも議論になっているのかもしれませんが、検討していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のとおり、海外経済協力会議でこれは議論になっているところであります。
この点につきましては、二〇〇八年オリンピック前までに新規円借款については円満に終了ということで日中間で共通の認識が既にでき上がっております。したがいまして、中国も御存じのように豊かになってきておりますので、その意味では、いわゆる円借というのの必要性は以前に比べればもうかなり低下しておるということを踏まえた結果そういう判断をいたしておりますので、いずれにいたしましても、新規供与につきましては円満終了ということを基本的な方針に基づいてやっていこうと思っておりますが、今それをどういう終わり方をするかについては、今いろいろ議論のあるところだと思いますので、一括というのはどうかなという感じがしないでもありませんので、更に調査をいたしたいと存じます。
○谷合正明君 是非、波紋を残すような形じゃなくて、日本のODAというのは本当に、ODAを終わるときも何かすばらしい終わり方だというような国際的評価をいただくような判断を下していただきたいと思います。
最後に、時間が余りましたので、話題が変わりますけれども、日本国際協力システム、JICSの在り方について、最後、質問させていただきたいと思います。
先ほども話題に出ましたけれども、三年前の十二月に中東イランで大地震が起きました。バム、古都のバムで起きました。二年前はインド洋の大津波災害がございました。それぞれ、我が政府から相手国政府に、イランの地震のときは十六億円、インド洋の大津波災害は三か国に百四十六か百四十七億円供与しました。真っ先にディスバースメントしました。
そこについては非常に高く評価したいと思うんですけれども、使う費目は決められていっても、その後なかなか進展していかないと。イランの仮設住宅のプロジェクトも三年たっていまだ新規入居がないわけであります。インド洋の大津波災害もまだ何に使うかということ、実行の部分のところが結構多いわけでございます。
そもそも、相手国政府に、一気に相手国政府の口座に資金を出すときに、その後どこがどう管理するかというときに調達代理機関であるJICSというのが登場してまいります。だから、調達代理機関であるJICSがしっかりと管理していただかないといけないと思っております。
ただ、結果として、今二つ申し上げましたけれども、うまくいっていないんではないかと私は思っております。しかも、相手国政府に一回資金が渡ってしまうと、日本の会計検査院の検査も及ばないわけでありますから、相手国政府とJICSとの契約のやり取りなんかも分からないわけでありまして、よほど国際協力システム、JICSの専門性を強化していかないと本当に無駄遣いになってしまうんではないか、あるいはタイミングを逸した援助になってしまうんではないかということを私は危惧をしております。特に、JICSの在り方、専門性の強化でありますとかそういったことについて、今現在、外務省としてどのように検討されているのか、お伺いしたいと思います。
○副大臣(浅野勝人君) JICSは、国際的な調達に関する知識や実績があるだけではなくて、日本で唯一の中立かつ公的な調達専門機関であります。これまでも、JICSが被援助国政府を代行してこれらの業務を実施することによって、日本の二国間無償資金協力事業の適正な実施が確保されております。
JICSがこれまで以上に被援助国のニーズに的確にこたえ、また日本政府との緊密な連携の下で一層効果的かつ適正な援助を実現するよう、JICSの機能強化を図っていきたいと考えます。
それから、イランの住宅とインドネシアの津波の被害支援についての御指摘がございましたけれども、インドネシアに対するノンプロジェクト無償資金協力にかかわる復興事業については、去年十二月までに、その全額、予算上の使途の割り振りが決まっておりまして、現在、着実に実施されています。
五月に日本へ来たインドネシアの復興庁長官によると、日本の支援事業はすべて必要なものばかりであって、既に道路の修復や放水路の復旧、給水など、様々な分野で実を結んでいるときちんと評価をいただいております。
それから、イランのバム地震による住宅建設の御懸念でありますけれども、去年の十一月十四日までに全戸の設置を完了してイラン側に引き渡してはいるんですけれども、何でも電気工事が、住宅向けの電気工事が遅れておりまして、今電気工事が完了した住宅から順次被災者が入居するということにしているようでございます。来年の二月にはその補足の工事も完了する見込みと聞いておりますので、イラン政府としっかりこの点引き続きコンタクトをして、必要なフォローアップをさせていただきます。
○谷合正明君 終わります。