先日、東京・羽田空港に向かう飛行機に乗っていましたら、その日は雲ひとつない快晴で、機上から下の景色をじっくりと観察することができました。
瀬戸内海の因島、瀬戸大橋、小豆島、姫路沖にある家島諸島、そして淡路島と次から次へと景色が移り変わりました。淡路島の先には明石大橋、しばらくして海上には神戸空港、関西空港、阪神工業地帯がはっきり見えてきました。さらに京都の町、琵琶湖、伊勢湾、中部国際空港、富士山、伊豆半島と続き、約1時間のフライトを満喫しました。
しかし、何と言っても、瀬戸内海の美しさには魅了されました。そこには、大小あわせて3000もの島が存在するそうですが、晴れた日の景色はまさに絶景です。海面は、まるで宝石箱をひっくり返したかのようにキラキラ光っています。
瀬戸内海は、古くから海運による物流が栄え、各港町では文化と産業が発達してきました。現代にあっては、漁業や工業だけでなく、観光、環境、そしてアートのメッカにもなりつつあり、経済力と文化力を内包している極めて貴重な水域だと思います。
こうした瀬戸内海の魅力と実力をより発揮するためには、今までのように各県ごとに海域を分断させずに、広域的に統合をはかっていくのがよいと思います。
G8サミットや日韓シャトル首脳会談の開催招致も単県での取り組みより、瀬戸内として取り組む方が、未来性があります。
また、瀬戸内地域では、すでに広島の原爆ドームや宮島、あるいは姫路城などが世界遺産に認定されているほか、福山のともの浦、備前の閑谷(しずたに)学校などを世界遺産にしようという動きもあります。しかし、私個人としては、むしろ日本で1934年3月にはじめて国立公園として認定された、この瀬戸内海こそを、世界遺産にするくらいの視点があっても良いのではないかと考えます。
3月23日の予算委員会で、私は道州制の考え方について安倍官房長官に質問をしました。この時は、地域割りについては触れませんでしたが、道州制を考える時、この瀬戸内海を分断してはいけないという考え方を持っています。瀬戸内海を基軸に考えれば、必然的に中四国州に発展するわけですが、これは州都を岡山にしたいがための発想でないことは言うまでもありません。
アジア市場に近い日本海側、そして環太平洋側が同時にひとつの州としてまとまるのであれば、それは魅力的であります。海は隔てるものでなく、結びつけるものと言われますが、まさに瀬戸内海がその存在であることは間違いないと思います。
(谷あい)
【エッセー】瀬戸内海は隔てるものでなく、結びつけるもの