○谷合正明君 公明党の谷合です。
私の方から、まず鳥インフルエンザについて質問をさせていただきます。
この高病原性鳥インフルエンザでございますが、大きな話をいたしますと、この鳥インフルエンザが、ウイルスが変異をすると、新型鳥インフルエンザになりますと、厚生労働省の試算によりますと、国内で推定六十四万人の方が最大死者として推定されていると。また、経済協力開発機構、OECDの事務総長は、先日、世界経済の先行き懸念材料として、テロとこの鳥インフルエンザの流行いかんというものを挙げられました。また、もちろん諸外国につきましても、この鳥インフルエンザについては国家を挙げての危機管理体制をしいているということでございます。こういうマクロの視点もございます。
一方にミクロ的な視点で、私の知人が岡山の方で養鶏をしていたわけですが、別に何か問題があったとかいうわけじゃないんですが、今後続けていくのはなかなか難しいと。というのは、いつ本当に起きるか、この鳥インフルエンザが蔓延するか分からないと。そういう精神的な重圧でするのはもう続けていくのが難しいということを、そういう話を聞きました。
もう本当にこの鶏の養鶏業者の方にとってみれば、特に零細業者の方にとってみれば、毎日弾薬庫を背負っていわゆる生活していると。私がお会いした方は、本当に夜眠れないので、ここ数年、眠れないことが多いので薬を飲んで、安定剤を飲んで寝ているんだと。そのくらい、マクロの視点でもミクロの視点でも本当に大変だなということを私自身が認識したわけであります。
そこで、まず大臣にお伺いしたいんですが、この鳥インフルエンザでございますが、もう本当に国家として危機管理をしいていかなきゃいけないと。特に、とりわけ農水省のこの役割というのは非常に重要だと私は思っております。
先日、予算委員会で同僚議員がこの鳥インフルエンザについて取り上げたわけですけれども、そのとき、同時にこの参議院の農水委員会もございましたので、そのときに大臣の鳥インフルエンザに対する御認識というものが聞けなかったものですから、まず冒頭に、この鳥インフルエンザの対策ということで大臣の認識というものを伺いたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 谷合委員御指摘のとおり、この鳥インフルエンザは今もう急速な勢いで世界じゅうで広がっているわけでありまして、ヨーロッパでも、今のところ確認されてないのはチェコとポーランドだけであると。アフリカでもどんどんどんどん広がってきていると。特にアフリカの場合には、貧困とか水の問題とかいろいろございますから、これがもう広がらないようにただただ祈っているわけでございます。
そして、日本の周り、中国あるいはまた東南アジア、そして、これはまあああいう国ですから情報が正確じゃないかもしれませんけれども、北朝鮮といったところでも大変蔓延をしているというふうにも聞いております。
何しろ空を飛んでくるものですから、これはもうどうしようもないわけでございます。しかも、フランス、たまたま私がフランスに行ったときに発生が確認されて、全面ストップをしたわけでありますけれども、フランスでの発症例は、渡り鳥のふんを、外に置いてあった敷きわらに付いて、それが屋内で飼っていた七面鳥に感染したというのが通説だというふうにフランスでは言われております。
本当にもう、先ほどの御友人の養鶏業者の方々の不安というものは大変厳しいものがあると私も想像いたします。
対策といたしましては、サーベイランスの強化でありますとか、早期発見、早期通報、あるいは防疫演習の実施、この間、成田空港でやりましたけれども、あるいはまた水際で侵入防止措置の強化、国際的な連携ということでありますが、空港とか検疫できちっとやるのは最大限やりますけれども、渡り鳥が空から来るものについては、これはどうしたらいいのかなと。文字どおり、早期発見、そして感染した鳥、あるいは最近は猫にもうつるという話もあるようでありますけれども、まあとにかく高病原性、そして、鳥にも大変ですけれども、ある日突然変異をして人に襲い掛かってくるということが最終的には一番厳しい状況でございますので、やれることを最大限これはやっていくことが我々の課せられた仕事だというふうに理解しております。
○谷合正明君 今、大臣の方からいろいろ対策について項目を言っていただきました。
そこで、この対策を今後講じていくわけでありますけれども、その際、この感染源と感染ルートの究明というものが非常に重要かと思います。
我が国内におきましても、一昨年、山口県あるいは京都で強毒性の方の鳥インフルエンザが、感染というものが、鶏の感染というものが発生いたしました。昨年におきましては茨城県の方で、こちらは弱毒性でございますがございました。ここまで、現時点でこの二つの、一昨年の京都、山口の感染源、感染ルートと、そして昨年六月以降発生しています茨城での感染源、感染ルートについてどこまで明らかになっているのか、まずそこをお伺いいたします。
○政府参考人(中川坦君) 感染経路の件でございますけれども、平成十六年の一月に我が国で七十九年ぶりに高病原性の鳥インフルエンザが発生をいたしまして、その後、大分、京都というところでも発生が確認されたわけでありますけれども、この平成十六年春の高病原性鳥インフルエンザの感染経路につきましては、その年の六月に感染経路究明チームの報告書が取りまとめられております。
この報告書によりますと、まず、どうして我が国に入ってきたのかという点でありますけれども、遺伝子解析を行いまして、韓国で採れたウイルスと極めて近縁性があるということで、朝鮮半島等からの渡り鳥によってまずウイルスが持ち込まれた可能性が高いとされております。
いったん持ち込まれた後の鶏舎への伝播経路でございますけれども、先ほども大臣からお話がありましたが、渡り鳥のふんなどに接触をしたネズミあるいは野鳥などの野生動物、あるいはまた水辺、池だとかそういったところの汚染された水、あるいは人等によって鶏舎に持ち込まれた可能性があるというふうにこの感染経路の究明チームの報告書には書かれております。
ですから、直接渡り鳥が即鶏舎にということではなくて、むしろ養鶏をやっておられる方々がその現場できちっとそういったネズミや野鳥がその鶏舎に入らないように防鳥ネットを張ったり、あるいは定期的に消毒をしたりというふうなことをきちっとやることによってかなりの程度侵入、感染が抑えられるというのも識者の見解でございます。
それから、昨年の例でございますが、こちらは茨城県を中心に弱毒タイプのウイルスによる発生でございまして、こちらも昨年の七月に感染経路究明チームを立ち上げまして、十月の時点に一応中間取りまとめ、中間報告書が取りまとめられてございます。
こちらの弱毒タイプ、H5N2の亜型のウイルスは中米、グアテマラ由来のウイルスと非常に近縁であるということですが、これは、中米と日本との間に渡り鳥の飛来経路があるということは、専門家にもそういうことは知られておりません。したがいまして、どうして日本に入ってきたかというのが一つのなぞでございますけれども、未承認ワクチンですとかそういった何らかの人為的な行為によって日本に持ち込まれた可能性が否定できないというのがこれまでのところの専門家の見解でありまして、その後四十一例、今回の場合発生がございましたが、その伝播経路としては鶏の移動というのもございました。中古鶏という形で鶏舎間で移動したというのもありますし、また人や物あるいは車両といった移動との関連で広がっていったということが考えられております。
この辺の感染経路については更にまだ調査を継続しているところでございまして、疫学的な調査をこれから詰めて、更にもう少し詳細な感染経路の究明をしていきたいというふうに思っております。
○谷合正明君 分かりました。
人為的にせよ自然的に広がったにせよ、早期発見、そして早期の報告というものが非常に重要だと思うわけですが、この茨城の件で、報道で明らかになりましたけれども、本来この報告をしっかりするべき立場の方が、獣医師が感染を知りながら県への届出を怠ったということで逮捕されるという事例もございまして、本当にこれはもう甚だ、私はこれ、こういうことはあってはならないことだと思っているわけであります。
一方で、これはこれとして、業者の抱える、通常抱えている、日常生活で抱えている不安というものもすごく大きいものでございまして、京都では、発生の際も業者の届出が遅れたばかりに被害が拡大しました。この報告の遅れというところでは、そこに非があるわけでありますけれども、一方で違う観点から考えてみると、やはり業者が感染の発覚を非常に恐れているということは、この感染、一たび感染すると経営に大打撃を与えるものだと。つまり、現状の支援措置というところで業者にとって十分なのかどうかというところをしっかり見ていく必要があるのかなと私は思っております。
この鳥インフルエンザが発生した養鶏農家、業者に対しては処分経費等を補てんする手当金でありますとか、あるいはその周辺にあって移動制限措置に協力した農家に対しましても売上げの減少等を補てんする支援措置等が講じられております。最近になりまして、この家畜防疫互助基金というものの基金不足というものが報じられております。最大で約二・四億円不足するのではないかというふうに農水省の方で試算されているようでございますが、この辺り、対策として今後どうされていくのかというところをまずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(中川坦君) 平成十六年春の山口あるいは京都の例を踏まえまして家畜伝染病予防法の改正も行いまして、今、先生おっしゃいましたように、移動制限区域内での様々な経済的な損失についての補てん等支援措置を強化をいたしましたのと併せまして、家畜防疫互助基金、こちらは生産者の方とそれから国の方とがお互い一対一で基金造成をいたしまして、そして万一そういった鳥インフルエンザの発生で被害を受けられた方が再度経営再建をするという、そういう計画を作られた場合にはこの互助基金の方から支援措置が講じられるというものでございます。
今現在、まだ茨城県の現場におきましてこういった経営再建のための計画が余り多く出ておりませんので具体的な基金の状況について、本当にショートするのかどうかという点については、今現在確たることを申し上げられない状況ではございますけれども、冒頭申し上げましたように、これは生産者の方と国とが一対一で積むということですから、業界の方で仮にショートするというふうなことになった場合におきましても、生産者も積めば国も積むということで、そこはきちっと対応していきたいというふうに思っております。むしろ、業界の方でいろんな事情がある中でどういうふうにして積んでいただくかという、そこのところを今役所の方と団体の方でいろいろと協議をしているところでございます。
いずれにしましても、再建の意図を持って努力しておられる方に対しましては、できるだけのことは支援をしていきたいというふうに思っております。
○谷合正明君 続いて、風評被害に対する対策なんですけれども、茨城の例でして、今年に入ってから茨城で鶏の扱い方が注目されたわけでありますけれども、結局、国としては食用出荷を認めたと、ウイルスの検出がなかった鶏については食用出荷を認めたという形だったと思うんですけれども、しかしながら現場レベルではやはり風評被害というものがあるんでしょうか、なかなか業者もそれを引き受けるところがなかったと聞いております。
報道によりますと、茨城県の担当者は世間や消費者の漠然とした不安、風評被害に対し関係者のだれもが対応するすべがなく、打つ手がなくなったというところで、最終的に焼却処分になったと聞いておりますけれども、ただ打つ手がなくなったというだけではいけないのかなと。国としてこの風評被害対策について、防止策について伺いたいと思います。
○政府参考人(西川孝一君) 風評被害ということについてでございますけれども、この高病原性鳥インフルエンザに関しましては、機会があるごとに鶏肉、鶏卵は安全である旨の、これは食品安全委員長談話が出ておりますが、それの周知、消費者等への正確な知識の普及について、各都道府県、関係団体などへの協力要請を行うとともに、全国各地におけるリスクコミュニケーションや消費者、生産者、流通業者などが一堂に会した意見交換会、私どもこれを顔の見える関係づくり会合と呼んでおりますけれども、そういう会合を開催する。あるいは、発生産地の卵などを扱っていないといったなどの不適切な表示がある場合は、これは直ちに是正をしていただくということで小売業者への巡回調査、指導といったことを行ってきているところでございまして、関東局からの報告によってもそういったような不当な表示は現在ないと、改善されているという報告を受けているところでございますが、今後とも鶏卵、鶏肉の安全に関する正確な情報提供には努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○谷合正明君 もちろん食の安心、安全が一番大事なんでございますが、一方で、先ほど申し上げました支援措置の強化でありますとか、あるいは風評被害対策というものもしっかりと進めていただきたいと思います。
最後に、改めて大臣にこの鳥インフルエンザ対策について伺いたいんですが、冒頭に海外に広まっているという話をされましたが、確かにヨーロッパでの感染拡大、アフリカでも、ナイジェリア、ニジェールでも拡大していったと。で、先日は、アゼルバイジャンで鳥インフルエンザによる死者三名が確認されて、WHOによるとその鳥インフルエンザの死者が百名を超えたということでございます。
とにかく、新型インフルエンザの出現を食い止めるために、全世界で常に検査、監査していく体制というものを整えていくことが必要であると思いますけども、日本としてこの鳥インフルエンザの国際的な防疫にどのように貢献していくのかと、そのことについてもう一度詳しくお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(中川昭一君) この問題に関しましては、WHOそれからOIEあるいはFAOといった機関が担当して、文字どおり世界的に今対応をしているわけでありますが、日本といたしましても、日本ができることを積極的に世界に向けて貢献をしていきたい。
その中でも、とりわけ一番発生をしている、また一番人の被害の大きい中国、あるいはまたアジア諸国に対して、ノウハウ、あるいはまたいろいろな、まあ資金面も含めて協力をしていきたいということで、十七年度の補正予算で約二十億のアジアにおける高病原性鳥インフルエンザ拡大防止緊急総合対策というものを認めていただきまして、やはり早期の封じ込め、それから通報体制の確立といったものをアジアできちっとやっていこうということで、今リーダーシップを取って始めるところでございます。
○谷合正明君 是非とも大臣にはリーダーシップを取っていただいて、国家的危機管理をしっかりとしていただきたいと思います。
続きまして、水産行政について質問させていただきます。とりわけノリの問題について取り上げさせてもらいます。
まず、日本のノリにつきましては、これはIQ制度、輸入割当て制度というものが適用されております。このIQに指定された品目というのが十七品目もございまして、日本の水産物の、まあ私の手元にあるデータでは五百九十二万トンのうちの三百四十六万トンはこのIQ品目だということで、かなりのボリュームを占めているなと。
この水産行政考えていく上で、このIQの問題というのは非常に重要ではないかというふうに私は認識をしておりまして、その意味で今日はこのノリの問題について取り上げたいと思います。
まず、このノリのIQ制度の韓国そして中国との非公式の場での会議だと、協議だと聞いておりますけれども、この輸入枠、それぞれどうなったのかというところをまず教えていただきたいと思います。
○政府参考人(小林芳雄君) ノリのIQに基づく輸入枠の関係でございます。
まず、韓国との間におきましての昨年三月からWTOの紛争処理パネル、これが設けられまして議論を進めてまいりました。一方では、この問題を解決すべくいろんな協議を進めてまいりまして、その話合いの結果、今年の一月二十日でございますが、韓国との間でその合意を見たところでございます。その内容は、一つは、十年後、韓国枠として十二億枚まで拡大するということ、それから今年の枠につきましては三億四千万枚とすること、こういったことを前提にパネルが終了いたしました。
また、この日韓の合意を踏まえまして、中国との間でもその後協議を進めまして、こちらにつきましては、今年の中国枠を二億三千万枚とすることで二月の二十七日に合意をしたところでございます。
こういった経過を受けまして、今年の輸入枠という形で、こちらは経済産業省の方で発表しておりますが、今申し上げました韓国枠三億四千万枚、中国枠二億三千万枚、またこのほかに、WTO整合性という意味でグローバル枠というものを、一千五百万枚でございますが、こちらも加えまして、全体で五億八千五百万枚と、こういった輸入枠を発表したという経過でございます。
○谷合正明君 韓国のIQの割当てが、これまで一か国だけあったわけでありますけれども、それが約二億枚あったわけで、それがほぼ一〇〇%使われていたと。で、私の認識として、今後十年間で韓国の輸入枠が十二億に広がっていくと。中国も恐らくそれに準じて広がっていくものだと、拡大していくだろうと。そうなったときに、国内のノリ養殖業というのはどうなっていくのかなと。日本全体の消費枚数というのは大体年間で百億枚ですので、この輸入枠が広がるということの意味というのが非常に分かるかと思います。深刻な事態に直面しているんだろうと。
ただ、この養殖業というのは日本の水産業の中で非常に重要な位置を占めております。特に、海面養殖業では、ブリ、カキ、ノリというのは代表的なものがございますけども、大体そのうちノリというのは四分の一、まあ五分の一ないし四分の一も占めている、生産高を占めている、非常に大事であると。また、歴史的に言っても、大宝律令の中に諸国の税を納める品目の一つとしてノリが定められたというぐらいに古い歴史を持った日本の伝統的な食べ物じゃないかなという中で、やはりノリの業者の、今後輸入枠が拡大されていくわけでありますから、それに対する国内生産者への影響緩和策、そしてまた緩和だけじゃなくて強化していく策というものが大事だと。それについてどのように今考えていらっしゃるのか、それをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) ノリを始めとする問題はWTOでも非常に一番ある意味では苦しい交渉の一つでございまして、IQ制度の問題、それからノリとか寒天とかいうものは植物だから農業交渉に入れるべきではないかという議論も今起こっているわけでございます。
日本の本当に伝統的な国民の、とっても身近なものでございますから、国産のおいしいノリを消費者、日本の国民の皆さんに買っていただきたいということで、更なる努力をすることによって攻めのノリ生産につながっていくんだろうと思います。
具体的には、共同利用による大型ノリ乾燥機等の導入、それから生産性の低い機械の廃棄等々生産コストの削減、あるいは優良品種の育成、高品質なノリ生産技術による高付加価値化、そして何よりもやっぱり江戸前ノリ、浅草ノリに代表されるように、日本の各地でおいしいノリを作っているわけでありますから、外国のノリとは違うんだと、差別化、ブランド化というために、関係業界の皆様にも積極的においしいノリのアピールをしていただくということも大事だろうと思います。
もとより、日本型食生活、あるいはおすしには欠くことのできないもので、昔はノリといえば黒い紙とかいって欧米の人たちは嫌がっていたわけでありますけれども、もうノリなしではおすしは食べられないといってばくばくとノリを召し上がっている外国の方も最近ではよく見るようになりましたんで、大いに、これからの需要もある意味じゃ世界的に増えていくんだろうというふうにも思っておりますんで、負けないように日本のノリの、いいノリを作っていただけるように努力を農林水産省としてもしていきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 どうもありがとうございます。
その差別化、区別化、またその品質の向上というところで、やはりセットで考えなきゃいけないのは、やはりそれなりの表示をしっかりしなきゃいけないだろうと思うわけですね。特にそのノリ養殖業をやっている方から、ここ、ノリの消費が一定量保たれているのは、国内で保たれているのはコンビニエンスストアでのおにぎりの普及、普及というんでしょうかね、売上げというのは非常に大きいと。特にコンビニエンスストアで売られているおにぎりなんかのノリですね、そこに表示制度というのは導入できないかということを私も聞いているわけでございます。
この加工品の表示制度についてどこまで検討されているのか、お伺いいたします。
○政府参考人(中川坦君) 加工食品の原料原産地の表示ということでございますけれども、平成十三年から個別品目ごとに議論が行われておりまして、八品目まで義務付けがされておりましたが、平成十六年の九月に、厚生労働省と農林水産省で食品の表示に関する共同会議というところで関係者の方々、消費者の方々も含めて議論をいただきまして、個別ごとのそういう議論ではなくて、きちっとした横断的なルールを作ってやっていこうということになりました。
そこで、そのルールでございますけれども、原料の産地の違いによる品質の違い、どこ産のものを使っているかということが最終的な製品の品質に大きな影響を与えるものということが一つの考え方でございまして、すなわちその加工度が低くて生鮮食品に近いものについては原料の原産地表示をしていこうということで、これは二十品目群ですので、それまでに比べますと相当大幅に網を掛けた形で原料の原産地の表示というのがなされることになりました。これは経過期間がございますから、十六年の九月に実施をしたわけですけれども、義務付けは今年の十月一日からでございます。
それで、ノリにつきましては、この考え方に従いますと干しノリですとか焼きノリ、味付けノリは表示の対象になりますけれども、先生がおっしゃいましたノリ巻きあるいは特におにぎりなどでありますけれども、このような加工食品につきましては、今申し上げた、その加工度が低くてというところからいきますとほとんど総菜でございます。御飯、具材、ノリ、調味料といったそういうものの組合せによってできていくものでありますので、ちょっとこの基準からいたしますと加工度が低いとは言えず、まあ今現在のこのルールからいたしますと直ちに義務付けの対象にすることは難しいというふうに思っております。
ただ、その中で、業者の方が特にそこを差別化ということで、このおにぎりは国産のノリを使っているということを積極的にやっていただくのはむしろ大変結構なことだと思っております。そこは慫慂したいと思っております。
○谷合正明君 私は、このノリを作っている方の顔を見たのは、実はこの農水委員会に入ってから初めて業者の方を見ました。やはり零細の方、業者の方、あるいは本当に、私にとってみればおばあちゃんに当たるような、そういう方が本当に一生懸命作っていると。今までノリというのは顔が見えなかったなと、作っている人の。是非とも、ノリを作っている人の顔が見える、そういう流通制度というのを農水省としてもバックアップしていただきたいと、そのように強く主張をさせていただきます。
そのIQについてですが、ノリのIQの制度が引き続き維持されていくことになりましたけども、ここでお聞きしたいのは、ほかの品目についてこの影響をどのように及ぼしていくのかと、その辺りどのように農水省として考えていらっしゃいますか。
○政府参考人(小林芳雄君) 十七品目含みます水産物のIQ制度、今のWTO交渉上の状況でございます。この制度そのものは、先生も御指摘ございました国内の需給調整に加えて、今資源管理やっていますけれども、そういったものが言わば補完するといいますか、ベースになる大事な制度でございますし、それからWTO協定上も我が国の水産物IQは有限天然資源である水産資源の保存に関する措置であるというようなことで、WTO協定に整合的であるという形で実施しておるわけでございます。
一方で、今、WTO交渉の方でいろいろ議論進んでいる中で、この水産物のIQ制度、これを今維持しておりますのは、率直にいって主要国では我が国だけになっているという環境の中で交渉をしているわけでございます。
したがいまして、全体のグローバル化、自由化交渉という中で非常に厳しい交渉になっているんでございますけれども、冒頭申し上げました、こういった我が国の水産の資源、それから全体としてのWTO協定との整合性といったことを十分主張しながら、関係国の理解を求め、今後の交渉に精一杯当たっていきたいと思っているところでございます。
○谷合正明君 またノリの方に戻りますが、国際競争が強まることによる影響と、もう一つ、環境変化によるノリ業者が直面している問題というものがございます。
特にそのノリの色落ちの問題でございますが、私の地元の岡山の方、瀬戸内海でやはり色落ち問題、直面をしております。これ、恐らくその問題としては海水中の栄養塩濃度が低下しているということなんです。恐らくというか、それは栄養塩濃度が低下しているということが原因だと言われているわけでございますが、その岡山県におきましても、やはりどうしたらこの栄養塩濃度を高めることができるかということで、ダムの水を緊急放流をいたしまして、四日間、二月四日から二月の八日まで、その結果としてこの色の具合が回復が見られたと。また、その製品の味も、あと色も明らかに回復したということで、成果上がったと。一方で、違う水系ではなかなか成果が上がらなかったということで、なかなかその原因と結果というのが完全に合致するのが難しいものだなと私は思ったわけですが、いずれにせよ、ただ、ノリは山が作っているというぐらいに、山の降った雨の水、ミネラルを含んだものが海に流れてきてノリが作られるんだと、私はそう思っております。
ところで、その瀬戸内海の色落ちの原因とまたその対策というのを今どうされているのかということについて、最後お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○政府参考人(小林芳雄君) ノリの色落ちはノリ養殖業に深刻な問題でございまして、ただ、今までの調査研究の結果でいいますと、原因として一つは、栄養分、窒素等ですが、のノリの成育に必要な成分ですけど、ノリと競合する珪藻プランクトン、これが大量発生して競合するということが一つと、それから雨が少ない場合に河川から栄養塩の供給量が減少します。だから、これによって海水中の栄養塩濃度が低下すると。こちらにつきまして、今、先生お話ありましたダムからの放水等で対応していくという、そういった道があるんですが、その珪藻プランクトンの関係が一つのまた大きな問題でございます。
私どもとしましては、この珪藻プランクトン対策をどうするかという形で、いろいろ水産総合研究センターとか関係県と連携いたしまして、このプランクトンが現われてくる動向あるいはその海域環境、こういったものの調査を進めております。そこでいろいろな生態学的知見を収集いたしまして、それを基にしましてこのプランクトン発生の予察技術、それから、あるいは海洋微生物を使いましてこのプランクトンの増殖を抑制する、こういった技術の開発に努めております。
こういったこと、もしできてきますと、その生産現場でいろんな対策が打てるということになっていきますので、こういった研究を効果が上がるように努力していきたいと思っているところであります。
○谷合正明君 終わります。