○谷合正明君
公明党の谷合正明です。
まず初めに、政府系金融機関の統合について質問を用意させていただいたんですが、時間の関係上これを後回しにさせていただいて、初めに流通 改革の中身について質問をさせていただきたいと思います。
流通改革につきましては、大臣も、農業をもうかるものにしないといけない、若い人がもっと農業に参入するためにはそれこそ農家がもうからないといけないということを言われております。流通 制度改革ということを一番に掲げられていると言っても過言ではないと、私はそう理解しております。特に、ホウレンソウを例に取りまして、農家の手取りが三十八円、ホウレンソウの本体が百三十八円だとしたら三十八円しかないんだというような、分かりやすく説明していただいている中でございます。
そこで、農産物の流通問題でございますが、例えば出荷の際農協へ委託料、手数料を払いますが、ホウレンソウの場合はそれが大体三十四円ぐらいだというデータもございます。大臣は全農改革の本部長もされておられました。その意味で、まず、流通 の部分を担う農協ですね、農協組織自体の規模、あるいは業務のどこに課題があるのかということをまず教えていただきたいと思います。
○国務大臣(岩永峯一君)
私、現場の農協というのは大変大事だと、このように思っております。そして、今機構改革等の問題で信用だとか共済を分離せいというような話もあったかのように聞いておるわけでございますが、やっぱり現場の農協が経営がきちっと成り立って、そして営農にしろそれから購買にしろ販売にしろ、本当にほかよりも安い機器代、肥料、飼料が入っていく、こういうシステム、それからいつもそこで集荷してそしてより高く販売してくれる、そういう窓口になってくれるということで、現場農協については大変大事だと。
ただ、今後そのことについても、経営を成り立つ一方、生産者サイドに立った部分というものをもっともっと強化していくということの見直しがこれから大事だと思いますが、大事にしていきたいと思います。
ただ、私は、全農経済事業改革チームの本部長をさせていただきまして、先ほども言いましたように、六兆円に及ぶ巨大組織になっている、三万人以上もの職員を抱えている、そのことが全部やっぱり農家の購買、販売からその収益を上げているというようなことになりますと、やっぱり全部それが農家におんぶされているということでございますので、ここの部分というのをやっぱりいかにスリム化していくか、そしてその方たちがきちっとコンプライアンスを持って、そしていかに生産者に奉仕するかという理念、哲学というものをやっぱり持っていただかなきゃならぬ と、このように思っておりますし、また、それが新しい近代的な組織であってもらわなきゃならぬ から、公認会計士だとかそれから税理士だとか弁護士だとか大企業の社長だとか、そういう本当にどう改革していったらいいかというようなメンバーにも今役員に入っていただいて、そして大改革をやっておる。
ただ、うれしいことに、今柳澤さんという会長さんでございますが、本当に意欲的に我々に、改革の途中でございますが、報告をしてきてくれております。今、常田先生、そして宮腰副大臣が定期的にそれらの改革の成り行きを聞いていただいたり見守っていただいておりますので、全農については大改革をしたいと、このように思っておりますし、改革されることに対する向こうからの意欲もありますので、大変今うまくいっていると、このように思っております。
○谷合正明君
今、全農、農協の話が出ました。
現状の流通構造の中では、例えば物流コストの改革でありますとか流通 の多角化でありますとか卸売市場の効率化ですとか、いろいろな様々な過程があるかと思います。
そこで、流通全般にわたりまして、まずどこに最も問題があると考えており、また何をどのように改革していくかという具体的なタイムスケジュールみたいなものがあるのであればまたお聞きしたいと思います。
○政府参考人(村上秀徳君)
食料供給コストの縮減という意味で、流通を含めました全般的な見直しというのが非常に重要だというふうに思っております。
そのコスト縮減の中で幾つかいろいろあるわけでございます。今お話ございました手数料とか物流構造の見直しなどの農協改革というのも一つ大きい、これはまた直接的に農家の手取りに響いてくるわけでございます。それから、生産段階におきます肥料、農薬、農業機械などの農業生産資材のコスト低減というのも非常に重要だというふうに思っております。
それから、卸売市場、お話ございましたけれども、再編合理化、昨年法律改正をしたわけでございますが、これに基づきまして再編合理化、あるいは電子技術を活用した物流の効率化というようなものに取り組んでいく必要があると思っております。
それから、生産者と消費者が顔の見える、あるいは話ができる関係で結び付く地産地消ということも農家の手取りを増やすという意味で非常に重要だということで、まあフードシステム全体を通 じた検討、改革が必要であるというふうに思っております。
例えば、今後のスケジュールということでございますけれども、例えば卸売市場につきましては、昨年の法改正を受けまして、本年六月までに各中央卸売市場での取引規制等の弾力化を既に実施しておりますし、それから卸売市場の再編合理化を推進して十八年度末までに取組内容等を決定するというようなことを考えております。それから、農協の関係でございますけれども、系統、農協系統について十一月末をめどとした販売事業改革の方向を取りまとめるというようなことで、スピード感を持って取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
○谷合正明君
生産者と消費者を結び付けるという意味で、流通改革、コストだけじゃなくて時間の改革というのもあると思いますので、そういう地産地消ですとか、一次産業の方が第二次、第三次産業に打って出るようなことをもっと流通 改革の中でも推し進めていただきたいと、そのように思っております。
次に、BSEについて質問をさせていただきます。特に表示について質問させていただきたいと思います。
まず、大臣が九月十三日の記者会見の中で、改革、大きな改革の基本として大臣が言われていたのは、日本のトレーサビリティー制度が徹底されると。で、食の安全については、消費者の皆さんが見える食材を求めるという運動展開していきたいと。それぞれの外食産業だとか食堂、できればありとあらゆるところに国産表示、外国表示、それから国産の中でもきめ細かな産地表示というものを徹底しながら、外国産が良いのか日本産が良いのか、そういう体制を作っていきたいというふうに言われておりました。
そこで、BSEにつきましては、昨日答申案の原案が提出されまして、リスクの差は極めて小さいという原案が出されました。今後、リスクが同等ということで輸入再開に今踏み切った場合に、これはもうあくまでも安全だということでありますので、最終的に消費者が選択をすると、消費者が例えばスーパーやあるいは外食産業で国産あるいは外国産を買うのか、食べるのかという選択をすることだと、私そういうふうに考えているわけであります。
そこで、どうやってアメリカ産の牛肉を見分けることができるのかという消費者の素朴な疑問があると思います。表示制度はもう少しきっちりやるべきじゃないかなと私は思っております。もう消費者に納得してもらうためには、やはりその選択肢としてやはり表示制度をきっちりすると。外食産業、加工食品に表示義務を課すなど、そういったことが考えられると思います。ただ、まだハードルが高いというのも存じ上げているわけでありますが、先ほど安全と安心という話が出ました。安全があったとしてもまだ消費者の中には安心というところが一歩出てこないと、やはり表示制度があると私は一つの参考になるんではないかと、そのように思っておるんですね。
実は、私の親戚は焼き肉屋をやっておりまして、九州と大阪でそれぞれ焼き肉やっておるんですけれども、例えば外国産の牛肉を持ってきてもそれを表示すると、そういうことは、もう今はそういうのは当たり前だと。ですから、そういうことをしないとやはり消費者に受け入れられないという現状もありますので、外食産業ですとかそういったところではまあかなり理解は深まっているんだと思います。
で、今、農水省としましても、外食産業にしましても、できる限り表示をするというようなことを言われていると思うんですね。ただ、拘束力がないという中で、まず私の質問ですけれども、外食産業や加工食品分野における表示制度の義務化について大臣の考えを聞かせていただきたいと。ただ、義務化ができなかったとしても、消費者のその安心のニーズにこたえていくよう業界の自主的な取組、あるいは大臣が言われたような運動を展開していく必要があるかと思いますが、その辺りの大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(岩永峯一君)
それまでに、先ほどのコスト削減、流通の問題について、この間官邸へ行きまして、官邸と話をしていた過程の中で、今うちの農水省で指示をしているんですが、今度郵政が民営化になりましたよね。だから、民営化になった郵政と、それから漁業だとか農業の産地からの直送がどういうようにできるかというようなことなんかも、大変面 白い試案として今検討させているわけです。だから、株式会社郵政の方もどうこれらの問題に取り組んでいただけるかなということで、まあこれもコスト削減等に役立ち、そして農家利益を、漁業家利益をもたらすんじゃないかと、こんなことなんかもこれからは模索していきたい。地産地消としても、十分、それぞれの都市におけるそういうような販売網もつくっていって、もう農家、漁家が直接そこへ卸していけるようなことになりますと、全部その生産者の手取りになっていくというようなことがありますので、そういうことも今検討させているということを先に付け加えさせていただきたいと思います。
それから、今、外食産業や加工食品に牛肉の原産国表示を義務付けるべきではないかと、こういうことでございますが、消費者に食品の情報を的確に伝えるという観点、それから原産地などの品質に関する情報を提供するということは、これはこれからの第一義的な私は課題だと、このように思っております。
それで、平成十二年の七月に、牛肉を含むすべての生鮮食品に原産地の表示を義務付けいたしました。それから、同じく十三年の四月から、外国で製造された加工食品に製造国名を表示することを実は義務付けておるわけです。そして、国内で製造される加工食品については、昨年の九月、ちょうど一年前でございますが、原料の品質が製品の品質の大きな影響を与えるものとして、生鮮食品に近い二十の食品群を原料原産地表示の対象といたしました。そして、この中で、味付けカルビやとか合いびき肉、それからサイコロステーキなどの牛肉加工品もその対象と実は今なっているところでございます。
さらに、今年の七月に外食における原産地表示に関するガイドラインというのを実は作りまして、そして今、外食事業団体等とも連携をして、関係業界、消費者団体への説明会を今開催しているところでございますが、今日も朝、どこまで徹底されるか、これはもう農水省挙げて各業界に協力をしていただきながら、本当に末端の食堂にまでそうしなきゃならぬ という、今は義務付けはしておりませんけれども、その意欲がわくような徹底、普及をしてほしいということを私が申し上げたわけでございまして、今ガイドラインの普及を図っているところでございます。
これらの取組を通じて、牛肉加工品の原産地表示が一層私は進んでいく、そして、牛肉だけでなしに一般 の食料品についても、国産品を食べたい、そして愛したいというような人がきちっとその食材を選べるように普及、徹底をしていきたいと、このように今農水省挙げてやろうとしている、やっているところでございます。
○谷合正明君
どうもありがとうございます。
続きまして、燃油高騰、そして漁協の合併について質問に移らせていただきます。
十月四日に行われました原油問題に関する閣僚打合せ合意におきましては、農林水産省としまして三つ、一つ目がエネルギー消費削減努力に対する支援、二つ目には石油以外のエネルギーへの転換努力に対する支援、三つ目に原油高の影響を受けている中小企業等への対応をするということでございました。
当面、水産業は原油高騰の影響がかなり、があるということでございます。その影響がどれだけ出ていて、またそれに対する当面 の施策というのはいかなるものかというものをちょっと端的に教えていただければと思います。
○政府参考人(小林芳雄君)
漁業関係の燃油の問題でございます。
まず、影響でありますが、一キロリットルで見たときに、昨年三月、四万二千五百円、これが今年の十月で六万五千九百円、五割強の値上がりでございます。
それで、漁業経営は、御承知のようにほかの産業に比べても燃油の率が高くて、大体平均して一三・五%と言われておりまして、もちろんこれはまた割合が上がるような状況なんですが、それに伴いまして経営への影響が出ております。中小漁業、中小漁船漁業の平均で言いますと、十五年度に比べまして大体一経営当たり約七百万円の費用負担増。それから、特に燃油を使います遠洋カツオ・マグロ漁業の例ですと、こちらは約三千三百万円に相応とする費用負担増となっているというふうに見込まれておりまして、今、漁業者の皆さん、団体も一生懸命この中で省エネの取組をしておりますが、これに対しまして、私ども、やはりこういった省エネ構造といいますか、そういった構造に変えていく、これが非常に大事だと思っておりまして、そのための対策が一つは緊急対策でございます。
こちらはこの九月三十日から進めておりますけれども、そういった省エネに取り組む漁業者の皆さんに対しまして、低利融資とか補償の円滑化、それから漁協系統が、タンク、燃料供給をしておりますが、そのタンクの再配置等の効率化、この支援をまず開始しておりまして、それから、基本的に、言わば省エネ型漁業の転換という形で、これは来年度の予算要求が基本になりますけれども、例えば発光ダイオードとか、それから操業形態の見直しとか、こういうものに対する予算要求をしているところでございます。
御指摘ございましたように、今、政府全体でも原油問題に関する閣僚打合せというのをやりまして、それをベースに今、様々な対策を講じているという、そういう状況でございます。
○谷合正明君
そして、中長期的にもやはり対策を立てなければならないと思うんですが、新しいエネルギーの活用、開発ということで質問させていただきます。
特に、これから石油、原油価格というのは高止まりしていくというふうに予測されております。そういった中、石油価格動向とは無縁でかつ身近に日本に多く存在するバイオマスの本格的な開発普及というのを、是非とも農林水産省としても強く進めていっていただきたいと。特に、これから冬場ですけれども、石油ストーブに代わりましてペレットストーブですとか、ペレットストーブというのは、林業が盛んな地域なんかでは間伐材やあるいは製材加工時に発生するおがくずなどを使いまして、高圧で押し固めたペレットを、それを燃料としたストーブでございまして、私も見て、これは本当にいいストーブだなと思った次第なんです。
木を燃やすから二酸化炭素を出して環境に悪いのではないかという勘違いする人もいるんですけれども、これは本当に環境に優しい、また日本の森林資源の活用という一石二鳥にもなると私は思っておるわけであります。
今ペレットストーブを例に取りましたけれども、今回の原油価格高騰を踏まえまして、石油以外のエネルギーへの転換努力に対する支援、これを今後一層推進していくためにどう考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
○政府参考人(染英昭君)
バイオマスの活用につきましては、平成十四年十二月に閣議決定されましたバイオマス・ニッポン総合戦略に基づきまして積極的に進めておるところでございます。
先生御指摘のバイオマスのエネルギーとしての利用につきましては、御指摘の木質ペレットの燃料利用など、この辺の活用はもちろんでございますが、あわせまして、家畜糞尿や食品廃棄物を原料といたしましたメタン発酵、あるいはさらに、稲わらやサトウキビなどの未利用バイオマスや資源作物から液体燃料をつくる取組などが挙げられております。 農林水産省といたしましては、これらの取組が進みますよう、関係府省とも連携を図りながら、バイオマスをエネルギーに転換する施設整備の支援であるとか、あるいは変換利用技術の開発、さらには地域循環施設との実証等を行っているところでございます。
今後とも、地域に賦存する様々なバイオエネルギーを活用いたしまして、それを熱や電力、あるいは更には燃料等として利用していくような、そのような様々な取組を鋭意推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○谷合正明君
続きまして、大臣の所信表明の中には、燃油高騰の下でも持続可能な漁業経営を確立するために、省エネルギー型の漁業への転換を推進するとともに、漁協の合併を促進して体質強化を図っていくと、そういうふうに言われました。その漁協の合併でございますが、大変、農協や森林組合に比べますと大変遅れている現状がございます。
もう時間がありませんので数は申し上げませんが、もう昭和四十二年から始めていっていまだに目標を達成できていないと。平成二十年までに二百五十に縮減して、統合していきたいと。で、今千五百ぐらいあると、こういうペースですとかなり厳しいと、目標達成にはかなり厳しいと言わざるを得ないんですが、どのように漁協の合併を推進していくのかということをちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(岩永峯一君)
大変、日本の水産業はいろいろな環境の状況の中で疲弊してきていることは事実でございます。そして、資源も枯渇をしてきておりますし、大変、水産国日本というかつての日本の水産業が崩壊してしまうのではないか、これは燃油高騰による打撃もありますし、大型クラゲの問題もありますし、いろいろな部分で大変でございます。
それで、漁民の皆さん方がやっぱり一番大きなよりどころになって頑張っていけるその拠点というのは漁協でございます。その漁協が衰退し、そして借金を抱えたような漁協の運営には辟易しているような状況では新たな意欲というのはわいてこないと、そんなことで昭和四十二年からやってきておりますが、遅々として進まないと。
それで、常田副大臣、私が副大臣の当時に、常田副大臣を本部長として、ともかくこの漁協合併というのを、どんなことがあっても強力に進めようじゃないかということで、一週間ないし十日に一回ずつ水産庁とそれから全漁協とを呼んで、そしてともかく全区の、全国の百六十ある漁協の経営内容をきちっと調査をして、そして合併できる要因は何か、合併できない部分はどういうところに問題があるのか、そして県と市町村を入れ組んで、そして、できたらもう二百五十の漁協にするというようなことで、本当に精力的に実は取り組んでおります。そして、漁協がしっかりしてくれないと新しい日本水産の、日本漁業の展望は見られないというところに私ども一点に絞っているところでございます。
おかげさんで合併構想未達成の区域は百四十五ブロックありまして、これを構成する千二百二十一のうち四四%が実は達成されているというようなことでございます。そして、合併協議にも、今七二・九%が参画をしていただいておりますので、促進法期限までに合併が可能なのは約五〇%ぐらいまでいけるのではないかということで、今強力に、ピッチを挙げて取り組んでいるところでございます。
○谷合正明君
合併を推進していただく中、不参加を決める漁協も都道府県には、中にはございます。
ちょっと時間がございませんので、そういった不参加を決めた、いろんな事情があると思いますが、そういったところの漁協にも配慮をいただけるようなこともしていただきたいと思います。
私からは以上でございます。