公明党アスベスト対策本部(井上義久本部長=衆院議員)は25日、首相官邸を訪れ、小泉純一郎首相あてのアスベスト対策についての要望書を、細田博之官房長官に手渡した。これには、冬柴鉄三幹事長(同対策本部顧問)、井上本部長のほか、赤松正雄、福島豊、山名靖英、江田康幸、古屋範子の各衆院議員、福本潤一、松あきら、渡辺孝男、山本香苗、沢雄二、谷合正明の各参院議員が同行した。
席上、井上本部長は、アスベストによる健康被害について、一連の報道などにより国民の間に不安が広がっていると強調。早急な相談窓口、診断体制整備を訴えた。また、潜伏期間の長さや家族・周辺への被害の拡大を指摘し、「労働災害では、救済しきれない事態が進んでいる」との認識を表明し、立法措置も視野に、政府に万全の救済策を講じるよう求めた上で、(1)首相を本部長とする政府のアスベスト対策本部の設置(2)現行制度下で救済対象とならない事例の労災認定のあり方の早急の検討(3)健康被害の相談および診断・治療体制の整備__など10項目を要請した。
これに対し、細田官房長官は、課長級から局長級に格上げして開催していた関係省庁会議について、「より高いレベルの対策本部を立ち上げたい」との考えを表明。与党の対策本部と連携を密に、本格的な救済策の検討を進めていく考えを示した。
要望書は、このほか、徹底した実態調査と情報開示、労働者やその家族への情報提供、アスベスト利用の完全禁止、健康診断体制の整備、被害を受けた家族・周辺住民の救済、退職後の健康管理体制の確立・手帳制度の改善、廃石綿による2次被害対策の合計10項目からなる。
アスベストは、95年には毒性が強い青石綿、茶石綿の使用が禁止され、昨年(2004年)10月からは白石綿も原則禁止となるなど、規制が強化されてきた。しかし、アスベストの繊維を吸い込んでから、肺がんや中皮腫を起こすまで数十年の期間があるため、被害が表面 化してこなかった。今年(2005年)になって、アスベストを原料とする製品工場の従業員や建設作業員らの間で健康被害が相次いで報告され、社会問題化している。
(公明新聞より転載)
【活動記録】アスベスト対策・首相あてに申し入れ—-救済措置を万全に