○谷合正明君
公明党の谷合正明です。おなかの中の物がまだ消化し切れていませんけれども、早速、午前に引き続きまして農業経営基盤強化促進法等の一部改正法案について質問をさせていただきます。
まず初めに、食料・農業・農村をめぐる情勢の変化について質問をいたします。
新しい食料・農業・農村基本計画におきまして、以前の基本計画の策定後に、食の安全や健全な食生活に関する関心の高まり、多様性、高度化する消費者ニーズへの対応、そして農業の構造改革の立ち後れ、多面 的な機能や農村に対する期待、グローバル化の進展といった大きな情勢の変化から、農政全般 の改革を早急に進めていく必要があるとしております。
特に、農業の構造改革の立ち後れにつきまして、基本計画の中では、認定農業者の育成確保、農地の利用集積、新規就農の促進等に取り組んできたけれども、その効果 は限定的なものにとどまっていると。従来の取組のままでは、食料の安定供給の確保、多面 的機能の発揮、地域の経済社会の維持発展に支障が生じるおそれがあると分析しております。
そこで、農業の構造改革の立ち後れの実態及びその原因についてどのように考えているのか、まず初めにお伺いいたします。
○政府参考人(須賀田菊仁君)
前回、平成十二年の基本計画策定時におきまして、平成二十二年を目標といたします農業構造の展望、平成二十二年で認定農家等への農地の集積二百八十二万ヘクタールを目標にしていたのでありますけれども、平成十五年時点では二百二十五万ヘクタール程度にすぎないということでございまして、目標に比べて下回っている状況でございます。特に、水田におきましては九十二万ヘクタールしか担い手に集積されていないということで、特に遅れているということでございます。
私ども、この構造改革の立ち後れの原因といたしまして、実体面と政策面 と二つあるのではないかというふうに思っております。
まず、実体面におきましては、先生も御存じのように、機械化の進展、技術の向上等で兼業農家がいわゆる土日農業で稲作経営等が可能であったこと、そして、それとは別 に、土地を貸そうとしても集落内に安心して貸し付けられる相手が見当たらない、こういう事情があったこと、それから、高齢農家は先祖伝来の農地を人手にゆだねるということに非常に強い抵抗がある。特に、やはり農村社会の中では自分が農業をしているんだということがその村の一員として認められる証左になるということで、なかなか人にゆだねるということが進まないと、こういう実体面 の理由があったのではないかというふうに思っております。
また、政策面では、価格・所得政策が幅広い農業者を対象としてきたということで、担い手への農地集積のインセンティブが働かなかった、このようなことがあるんではないかというふうに考えております。
○谷合正明君
次に、農地制度に対する抜本的見直しの課題ということで、今るる説明がありましたけれども、今回の農地制度の見直しに当たりましては、昨年の報告書、資料の中で、「農地・担い手施策の展開方向」という資料の中で、農水省自らが、農林水産省自らが、新たな基本法の下、農地の確保、有効利用の観点から徹底した見直しを行うことが必要であるといった認識をされております。
こうした見直しを行うに当たりまして、午前中の議題にもありましたけれども、農地法の基本理念であります耕作者主義の在り方が大きな論点になるものと考えております。
耕作者主義とは、適正かつ効率的に耕作する者に対しての農地の権利取得を認めるという考え方と認識しております。これに関しましては、その基本的な考え方は今後とも維持されるべきという見解と、そして今日的な見直しが必要とする見解の両論があるものと理解しております。
こういった差異が生まれる要因としては、農地の利用や農業経営をめぐる社会情勢がその昭和二十七年の農地法制定時と比べまして大きく変化していると。見直しを認める意見の中には、自作農が望ましい営農形態であるとする考え方が残されている農地法第一条を改正し、農地制度全体を利用優位 の制度に転換すべきとの主張もあります。また、制定当時に想定されなかった食の安心や環境保全という今日的課題の下、その意義を見直すことも重要だという主張もございます。一方、耕作者主義を維持すべきという考えの中には、農地を耕作者以外が所有することは農地の転用のおそれが大きいなどのいろいろな考えがあるわけでありますが、そこで大臣にお伺いしますが、耕作者主義の今日的意義、そして見直しの是非について、基本的考え方をお伺いいたします。
○国務大臣(島村宜伸君)
お答えいたします。
農業は、通常、土地から得られる利益が他産業に比べて小さいため、耕作に従事する者が農地に関する権利を取得して、そこから得られる利益を享受する形態が農業を営むのに最もふさわしいものと考えております。
具体的には、農地法第三条で、農地の権利取得に際しては、農地のすべてを耕作すること、必要な農作業に常時従事すること、農地を効率的に耕作することができることなどを要件としておりまして、これを耕作者主義と呼んでいるところであります。
このように、農地はこれをきちんと農業の用に供し得る者が取得すべきであるとの考え方は今日においてもなお重要な意義を持っておりまして、今後とも維持されるべきものと考えているところであります。
○谷合正明君
私、個人的には、そうした耕作者主義の考え方というのは、今後、移行期に差し掛かっているのではないかなということを思っております。いずれ、その耕作者主義を維持することを前提としたとしても、補強するような形で新たな考え方というものを今後議論していく必要があるんではないかということについて思っております。
続きまして、望ましい農業構造の確立と農業経営基盤強化促進法について質問をさせていただきます。
今回改正を行うこの法ですけれども、経営感覚に優れた経営、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が生産の相当部分を担うような農業構造を確立することは急務であるとの考え方に基づき、平成五年、従来の農地利用増進法を改正して成立したものでございます。
そういったものがあるんですが、私の地元の岡山県では、先日の地方紙に載っていたんですけれども、認定農業者はここ四、五年で約三千三百と横ばいで、目標の七割にとどまっていると。岡山などの中国地方では中山間地域も多く、農地集約化が難しいと。経営規模の拡大が前提となる認定農業者に対する支援を農家がそれほど魅力を感じていないという指摘もあるわけですけれども、農業構造改革というのは地域によって様々な評価があると思いますが、今回、その農業経営基盤強化促進法が認定農業者制度等を通 じ望ましい農業構造の確立に向けて果たしてきた役割と効果についてどう評価しているのか、さらに、本法に基づく制度が新たな基本計画の下で農業の構造改革の立ち後れへの対応としてどのように資するのか、そのことについてお伺いをいたします。
○政府参考人(須賀田菊仁君)
農業経営基盤強化促進法、平成五年に制定をされておりまして、その主要な柱が二つございます。
一つが、先生言われました認定農業者制度を創設したことでございます。それからもう一つは、集団的な土地利用調整、集落で話合いの中で集団的に土地利用調整をしていこうということを創設をしたことでございます。
平成五年以降、いろいろな形で農地の権利移動が行われておりますけれども、この農業経営基盤強化促進法に基づきます権利移動が全体の九割を占めてございます。それから、認定農家、認定農業者の方は、十六年の八月末現在において全国で約十九万経営体ということでございます。
こういう面では一定の効果が上げられておりますけれども、先ほどの御質問にございましたように、担い手への農地の利用集積が二百二十五万ヘクタールにすぎない、全体の約五割程度にまだすぎないということでございまして、そういう意味で構造改革は立ち後れているということでございます。
こういうことを踏まえまして、今回の法律改正におきましては、主要なところ、三点ございます。
一点目は、法人化を促進させたいということで、農地保有合理化法人が農業生産法人に対し、農地のみならず金銭の出資もできるようにしたということでございます。これ、一点でございます。
二点目に、なかなか認定農家も育たないというようなこともあり、先ほど申し上げましたように、なかなか人に土地をゆだねるということが難しい集落の事情もございまして、集落を基礎とした共同組織体として集落営農といったものを育成していこうということで、集落営農の組織化に関する法律改正を盛り込んだのが二点目でございます。
三点目は、仲介機能を強化しようということで、農地保有合理化法人に貸付信託を行えるようにいたしまして、安心して信託に出せる、借り手の方は安心して借りられるというそういう仕組みを入れまして、これでもって基本計画にございました個別 経営、法人経営の育成、集落営農の育成、組織化、こういったものを図っていきたいというふうに考えてございます。
○谷合正明君
今、お話に出ました集落営農につきまして、その現状と役割について再度質問させていただきます。
本法案は、担い手への農地の利用集積が後れているとの認識から、その集落営農の組織化、法人化というものを図ることとしているわけであります。このような集落営農の活動内容につきましては、作地の団地化、そして農業機械の共同利用といった取組が約五割を占めておりますけれども、集落内の営農の一括管理運営のレベルに達している者は約一割にとどまっていると聞いております。どの程度の実体を伴っている集落営農なら将来的に今後議論される経営安定対策による直接支払の対象とすべきかというものも非常に大きな関心となっているわけでありますが、そこで、このような集落営農の現状を踏まえた上で、集落営農の果 たすべき役割、将来展望について副大臣にお伺いいたします。
○副大臣(常田享詳君)
まず、認識と現状についてお答えをしたいと思います。
水田集落の約半数において、個別経営体として発展し得る主業農家が全く存在していない、そういう現状の中で、集落営農は地域ぐるみで農地の利用調整や機械の共同利用を行うなど、地域の営農の維持に重要な役割を果 たしているという認識をまず持っております。
このような集落営農は、平成十二年の調査によれば全国で九千九百六十一存在しますが、このうち、集落営農の営農を一括管理運営するといった取組がなされているのは、今委員御指摘のとおり、約一二%に当たる一千二百にとどまっております。これが現状であります。
このため、集落営農の取組を増加させるとともに、経理の一元化等を通 じて経営主体への実体を有する集落営農組織に誘導していくことが極めて重要であるというふうに考えております。現在、集落営農の組織化、法人化に向けた取組を農業団体と連携をしながら全国的に展開しているところであります。このような取組や政策支援を行うことを前提として、新たな基本計画と併せて農業構造の展望をお示ししているところでありますが、この中で、経営主体としての実体を有する集落営農経営が平成二十七年において二万から四万程度になるというふうに見込んでいるところであります。
○谷合正明君
今お話ありましたけれども、集落を基礎とした営農組織のうち、一元的に経理を行い法人化する計画を有するなど経営主体としての実体を有するもので、将来、効率的かつ安定的な農業経営に発展すると見込まれるものを担い手として位 置付けていくという話だと思いますけれども、一方で、主業農家が存在しないなど、その組織化、法人化が困難な集落営農に当たりましては、将来展望に不安を抱く向きがございます。
私は先日、岡山県北部、山間部です、中山間地域というよりは山間部ですけれども、そこにある集落営農の現場を視察いたしました。その農場は平成七年に農事組合法人になったわけでありますけれども、最近ようやく黒字化になったという模範的な集落営農でございます。そこの方に話を聞いても、模範的にやっているとしても、ただ、今後の将来展望としては不安だらけだと、後継者もいないだとか、ここ数年間村で結婚式を見たことがないとかいろいろな話を聞かせていただいたわけであります。そういう山間部におきましては、小規模農家、兼業農家といったものの問題というのもあると思うんですが、担い手の明確化と集落営農の組織化、法人化の意義、そのための施策の在り方、集落営農の組織化、法人化に当たっての小規模農家や兼業農家の在り方についてお伺いをいたします。
○政府参考人(須賀田菊仁君)
現在、我が国農業をめぐりまして、農業従事者の減少とか高齢化とか担い手の脆弱化が進んでいると、国際化の進展も進むと。こういう状況の下では、やはり強靱な農業構造を一刻も早く確立するということが重要であろうと思っております。そのためには、農業で他産業並みの所得を上げ得る経営体、これが持続性、安定性がある経営体でございますので、それを担い手として明確化するということが大事であろうということでございます。
その中で、先ほど申し上げましたように、施策と担い手という場合に、個別 経営、法人経営にかかわらず、認定農家といった、この力で伸びようとしている経営体と、それから集落を基礎とした共同の経営体たる集落営農と、二つを担い手として考えているわけでございます。そういう担い手に対していろいろな政策を重点化していきたいというふうに考えているわけでございます。
そこで、小規模な農家あるいは兼業農家についてどうかと。小さな農家、兼業農家と言いましてもいろいろでございます。安定してもう兼業先の方で生計費も得ることができる安定兼業農家から、やはり農業所得に頼らなければちゃんとした生計費を得られないというような農家までいろいろございます。私ども、安定的な農家の方にはこの集落営農に農地等を出していただいて、それで賃料収入を確保をしてもらうような道を主としてお勧めをし、そうでない小規模農家、兼業農家の方には、この集落営農の構成員になっていただいて、それなりの役割分担をしてそれで配当を受け取ると、こういう道を選んでいただくのが一番ではないかというふうに思っておりまして、そういうことで、現在、団体とともに集落営農の育成運動に取り組んでいるところでございます。
○谷合正明君
担い手の在り方につきまして、集落営農、認定農家にしましても、担い手をどう、人をどうつくっていくかということだと思うんですが、その農業構造の展望の実現に向けた取組が進む、進んでいく中で、新規参入の農業者についてどうしっかり取り組んでいくのか、支援していくのかというところを今気にしております。就農する数も増えておりますが、離農する数がそれ以上に増えていると。新規就農者が着実に伸びていくことが非常に重要ではないかと思っております。
そこで、その新規就農者に対する政府の対応について、新たな基本計画にどういう位 置付けがあるのかということをお伺いしたいんですが、その新規就農者となる対象で議題にしたいのは二つございます。一つが定年帰農組と、一つが新規就農青年組でございます。確かにプロ農家ということでは直接つながらないところもありますが、今後の十年間の日本社会の人口動態を考えていくと、平均寿命だけでなく健康寿命が伸びていくと、約八十年と言われておりますけれども、金持ち、土地持ちならぬ 時間持ちの六十代、七十代の方が増えてまいります。そういった定年就農組の受皿をしっかりと整備していかないといけないと感じているわけでございます。
そこで、その定年帰農組、今の特に団塊の世代による新規就農者に対する政府の対応についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君)
ここ数年の六十歳以上の方の新規就農の推移を見ますと、平成七年が二万五千人だったわけでございますけれども、平成十五年は四万二千人というふうに定年帰農の方々の数が増えているということでございます。
この高齢の新規就農の方々、他産業でいろいろな知識を得ておられますし、技能も積んでおられまして、その積んだ技能にもよりますけれども、オペレーターとして活動をしていただいたり、あるいは集落営農の中で経理の担当として活動をしていただいたり、あるいはまとめ役、世話役と、こういったこととして活動されると、我々もそういう役割を期待をしているわけでございます。こういう方々に対しましては、Uターンフェア、就農イベントということで、まず農業に興味を持っていただきまして、そして具体的に農業に就職したいということになりましたら、まだ他産業に在職したままで農業の基礎的な知識や技術を習得できる就農準備校というのが都市部にございまして、そこで、座学ではございますけれども、いろんな知識、技術を得ていただいて、その後必要に応じまして、道府県に農業大学校ございまして、中高年齢者のための研修コース等もございますし、先進的な経営体での研修といったものもございますので、そういうところで研修を積んでいただいた後就農と、こういう段階を踏んでいただければというふうに思っております。
幅広い人材の育成という観点から期待をしておるところでございます。
○谷合正明君
その取組を期待をしております。
もう一方の新規就農青年組でございます。
今、フリーターだとかニートだと言われる若者が増加しておりますけれども、若者の就業先として農業に焦点を当てる、光を当てるべきだということも私は考えております。最近、私、ある漫画を読んだんですけれども、「地の子」という、大地の地って書くんですけれども、「地の子」という日本の農業の危機をとらえたファーマーズコミックでございます。
このストーリーを若干紹介させていただきますけれども、これは西暦二〇〇七年の夏、文部科学省入省五年目のある青年が、突如、首相より三年以内に農高卒の五割が就農する教育システムをつくり上げるよう命令を受けると。霞が関から約千キロ離れた山奥に、農業高校に着任するというストーリーでございまして、そのためには過疎化が進む農村を救うことが必要だと気付いていくものでございます。
最終的にどういう提案をするかというと、すべての小中高の児童生徒をそれぞれ地域にある全国約四十万、五十万の農家、中核になるような農家へ週一度通 わせる制度をつくると。高校生になったらすべての高校で農業を選択科目に加え、単位 を取得できるようにすると。さらに、高校の三年間を通じて農業を学んだ生徒には優先的に各大学の農学部に進める制度をつくるという案を考え出しています。しかしながら、最終的には予算五千億が付かなかったのでその制度は実現しなかったという話なんですけれども。最終的にその文部科学省入省の青年はどうしたかというと、農村、集落に入りまして、グリーンコミュニティー特区というものをつくって、教育機能とふるさと機能を結び付けていくと。生産者と消費者を、結び付いていく作業をしていくと。その集落が、人口が四十年ぶりに増加していくという話がありました。
この話は漫画の話でありますので、現実に話を戻しますが、私が気になりましたのは、農業高校の卒業生、そして農業大学校の卒業生、各道府県にあります大学校の卒業生、そして大学農学部の卒業生の就農者と、それぞれの就農者と就農率というのはどのくらいあるのかと、またそれは増えているのか減っているのかということについてお伺いを、事実を確認させていただきます。
○政府参考人(須賀田菊仁君)
まず農業高校でございます。平成十年と十五年で比較してみますと、農業高校につきましては、平成十年卒業者が三万七千百六十八人、三万七千百六十八人に対して就農者が八百七十二人でございます。二・三%の就農率でございます。これが平成十五年卒業者が三万四千二百三十一人、就農者が増えまして一千二十六人、それでも就農率は三%でございます。それから、道府県にございます農業大学校、平成十年度卒業生千九百六十人、就農者五百四人、就農率が二五・七%でございます。これが平成十五年には卒業者が千八百六十九人、就農者が増えまして五百九十七人で、それでも就農率は三一・九%でございます。これが四年制の大学の農学部になりますと、平成十年卒業生一万六千五百五十一人に対して就農者は四百二十三人ということで、就農率は二・六%、これが十五度で卒業生一万五千八百六十五人、就農者若干増えまして四百九十一人、就農率三・一%ということでございまして、まだまだ就農率が低いという状況でございます。
○谷合正明君
私も大学の農学部を出て、余り言えないんですけれども、大学に、農学部に入ったときに周りの友人は、農業に就きたいという友人はおりませんでした。私は、そもそもどうして、農業高校だとか大学校はまだいいですけれども、大学の農学部で農業、農学を専攻しているのにもかかわらず第一次産業の基本的である農業に就かないのかということを本当に不思議に思っております。
これは教育のシステムの問題なのかもしれませんが、例えば医学部であれば医学部を出て医者になると、法学部であれば法律家になっていくと、そういう専門的な目標というのがあると思うんです。ただ、農学部だとかいうところに、農業関係の仕事に就くことは多いと思いますけれども、本当に農業に就くというルートがまずないということがまず問題だと思っております。
ただ、実際やりたいという人間はたくさんおります。私は、実際、卒業後に海外の農業開発のプロジェクトに若干従事したこともございます。海外の農業開発、今、日本でいえば国際協力事業団、JICAというところが請け負っておりますけれども、JICAの人材登録制度の中には、いろんな分野で今後やっていきたいという人材登録制度があるんですけれども、そこに登録されている一万二千四百五十人のうち、農業開発、農村開発が千五百六十一人もいるんですね。これは医療、教育、環境よりも多い数であります。
私は、そういった青年海外協力隊であるとかシニアの海外協力隊だとか、そういうところでやっている人が日本の中山間地域になかなか見えないと。言わば私は日本の中山間地域をしっかり守っていくような教育体系というのも必要なんじゃないかなと思っておるわけであります。
そこで、質問ですけれども、農業高校また農学系大学の卒業生の就農率が低い現状に対する認識と、新規就農青年に対する政府の対応についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君)
農業高校等の卒業生の就農率が低い、基本的には農業に魅力を感じないというところにあるんじゃないかというふうに私どもも思っておりますが、実は先般 閣議決定しました基本計画の中の参考資料で農業構造の展望というのを作っております。平成二十七年を目標年次とする農業構造の展望を作っております。
この前提として、三十九歳以下の新規就農青年を毎年一・二万人ずつ確保していくということが前提の展望にしているわけでございまして、私ども、ちゃんとした構造を維持していくためにも新規就農が非常に大事というふうに思っております。
基本的に魅力のない等もございますけれども、実情を詳しく知っていないという面 もあろうかというふうに思っておりまして、農業高校とか農業大学校の若者に対しまして、まず就農相談、それから就農される場合には就農支援資金、無利子資金が貸し付けることができますよということ。そして、先進農家において研修も受けれますよと。大学生のままで農業法人での就業体験、これは夏休みとか冬休みとかを利用して農業法人での就業体験もできますよというような情報を提供して対応しておるところでございます。結構大学生が夏休みを利用して農業法人で就業体験をするというようなことについては応募もございまして、これがそのまま就農に結び付いていただけたらなというふうに期待をしているところでございます。
○谷合正明君
時間がなくなってまいりましたので最後の質問に移らせていただきます。
耕作放棄地対策についてお伺いをいたします。
御承知のとおり、今耕作放棄地が三十四万ヘクタール。東京都の面 積の一・五倍まで広がっていると。もっとあるんではないかという声もあります。
そこで、この耕作放棄地の発生防止、解消に向けた施策を拡充強化させることが急務でありますけれども、本法案により具体的にどのような耕作放棄地対策が講じられることとなるのか、その内容についてお伺いしたいのと、あわせて、一方で、耕作放棄地以外の不作付け地も、今私が持っているデータでは二十八万ヘクタール、東京都の面 積ほどの面積があります。これも増加をしております。耕作放棄地を振り分けていくという話もありますけれども、こういった不作付け地もある状況の中でどのように耕作放棄地対策を進めていくのか、最後に質問させていただきたいと思います。
○国務大臣(島村宜伸君)
農業センサスによりますと、平成十二年時点で全国で三十四万ヘクタール、今までにも御答弁申し上げたところですが、通 常、東京都の一・五倍と、こう言われますが、耕作放棄地がありまして、これを農地として再生し、自給率の向上を目指していかなければならないと、まず考えております。
このため、今回の改正法案においては、まず都道府県及び市町村が耕作放棄地対策の方針を策定し、次に、この方針の下に耕作放棄地の所有者などに対し農業の再開、担い手への貸付けといった指導を行い、指導に従わない場合には知事の裁定による賃借権の設定を行えるよう措置しているところであります。
また、耕作放棄地が周囲の営農に支障を及ぼしている場合には、市町村長が草刈りなどの措置命令を発することができるようにしており、体系的な耕作放棄地対策の整備を図ることとしておるところであります。
以上。
○政府参考人(須賀田菊仁君)
後段の不作付け地の問題でございます。
不作付け地といいますのは、一年以上作付けしなかったけれども、今後数年の間に再び耕作する意思のある農地ということでございますので、これも大臣の答弁にございました耕作放棄地対策の一環として、この不作付け地の方はもう耕作する意思のある農地でございますので、将来、農業として活用すべき農地として活用をしていきたいというふうに考えております。
○谷合正明君
終わります。