○谷合正明君
公明党の谷合正明です。イラク特別委員会では初質疑となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
私は、この夏参議院議員になる前までは、ODAの開発コンサルタント並びに国際医療NGOの職員として内戦下のアンゴラ、またアフガン難民キャンプでの医療支援活動の現地責任者をしておりました。また、スリランカ、イラクなどでの復興支援、現地で活動しておりました。
用意しておりました質問が若干重複しておりますので、現在のイラク情勢、安全確保については省きますが、イラク暫定国民議会選挙について町村外務大臣にお伺いいたします。
外務大臣は、一月に行われる選挙を成功させることが政治の安定につながると見解を示しております。アラウィ首相も国連総会のスピーチの中で、困難を伴うとしても予定どおり選挙をすると断言をいたしました。これまでの国会論議の中で、イラク全土の十八県のうちの十五県はすぐにでも選挙を実施できるという答弁もございました。残りの三県についてはまだそういう状況ではないということだと思いますが、先ほどの、今日の、大臣の方から話がありましたが、イラク全土で予定どおり選挙が実施されることを期待していると言われております。
まず冒頭に、この一月の選挙の実施についてどういう状況であるか、その認識についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(吉川元偉君)
選挙制度の事実関係のお尋ねの部分は私の方からお答えさせていただきたいと思います。
国民議会選挙はイラク政府としては来年の一月末までに行いたい、これは安全保障理事会の決議でも決められている政治の、言ってみれば日程、タイムテーブルに沿った方針でございますが、この国民議会選挙は全国を一つの選挙区とする比例代表制で行われる予定です。定数は二百七十五人ということになっております。同時に二つの、もう二つの選挙、クルド自治区における議会の選挙、それから全国、ムサンナ県を含みます各県での県の評議会選挙、三つの選挙が行われる予定です。
選挙の準備につきましては、今日、ほかのところでも議論出ておりますが、五月の末までに、独立選挙管理委員会というのが既にできております。ここは、この委員会は国連の支援を受けながら準備作業を進めておりまして、十一月一日には既に有権者登録が開始されております。サマワの外務省の事務所で確認しますと、サマワ、ムサンナ県でもこの登録は十一月一日から順調に行われていると聞いております。というような格好で、選挙の準備につきましては、国連の支援を得ながらイラクの暫定政府が着実に準備を進めている、そういう状況にあるということが言えると、申し上げられると思います。
○谷合正明君
そこで、我が国としてこの選挙実施に向けてどのような協力を実施しようと考えているのか、その点について外務大臣の方にお伺いしたいんですが、来年十二月には憲法による国民議会選挙もございます。そういった政治日程の中、我が国がどういう支援をしていくのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(町村信孝君)
来年一年間のいろいろな政治プロセスが御指摘のとおりございます。その言わば手始めが来年一月の国民議会選挙ということになるわけでございまして、しかるがゆえに、それを壊そうという一部のグループなどが猛烈な武装攻撃を掛けているという状況だろうと思います。
したがって、国際社会としても是非この選挙の成功ということで、例えば先般、十月十三、十四日、東京で復興、イラク復興信託基金に関する会合というのが開かれました。私もそこで皆様方にごあいさつを申し上げたわけではありますけれども、そこでもサレハ副首相、イラク暫定政府副首相が、是非この政治プロセスを成功させるために国際社会の協力をということがございました。そこで、日本国政府としては、信託基金への拠出金から四千万ドルのまず資金協力をやろうということを表明をしたところでございます。
また、今月下旬には、G8とそれからイラクの周辺国がエジプトに集まりまして、この政治プロセス支援のためにどういうことができるだろうかという会議を改めてやろうとしておりまして、今それぞれ国会にお許しをいただければということで今お願いをしているところでございますけれども、できれば私もその場に参画をして、是非国際社会の連帯と、基づく協力というものをしっかりその場で固めていこうと、こんな思いでいるところでございます。
○谷合正明君
次に、ムサンナ県の生活、ライフラインの状況について確認をしたいと思います。
いわゆる自衛隊が活動しているサマワを中心とするムサンナ県でございますが、これまでのところ、どういう活動を自衛隊がしているという議論はたくさん出ているんですが、ただ、実際に送った医療器材が現地の病院で使えるかどうかというのは、例えばその発電状況、電気の状況が非常に重要だと思います。私が一年前にイラクに行ったときは、繰り返し停電が起きておりました。こういう状況の中ではなかなか送った支援が有効に活用されないと、そういう危険、危惧をしている国民もたくさんいらっしゃいます。
まず、とりわけ市民の生活にとって欠かせない、例えばガソリンなどの石油燃料、また発電状況などはこのサマワの町、ムサンナ県ではどうなのか、確認いたしたいと思います。
○政府参考人(吉川元偉君)
サマワにおけるライフラインの現状の御質問でございますが、イラク全体の話をまずさせていただきますと、御指摘いただいた電力、それからガソリン、地方によったりまた時期によって異なっているので、いろんなニーズがどうなっているかという細かい数字がイラク政府から出ているわけじゃありませんが、例えば今年の六月に、イラクの人たちに、あなたの一番直面している最も緊急な問題は何ですかという世論調査が行われ、その一番が治安の問題、二番が生活インフラ、三番が経済ですと、そういう答えをしております。経済インフラ、生活インフラの改善を求める声というのは非常に高いということは、これは一般的に言えると思います。
電力につきまして、今年、つい最近ですが、イラクにありますアメリカ大使館の発表しました数字を見ますと、十月中旬におけるイラクの平均電力供給時間というのは、一日当たり十三・一時間、十三・一時間となっております。バグダッド大使館の情報などを聞きますと、四時間電気が通った後、二時間停電という、そういう状況が続いていて、断続的な形で電力供給が行われるということが多いようです。
ガソリンにつきましては、ガソリンは公定価格が決められておりまして、一リッターがイラクのディナールで十五、円に直しますと一リッター大体一円です。ただ、この公定価格で今ガソリン買うことはほぼ不可能で、相当その公定価格を超える価格でガソリン販売が日常的に行われていて、ガソリンについて顕著な品不足というのは見られないというようです。
サマワにつきましては、これはサマワの事務所から時々来ておる情報、また私たちも現場で見てまいりましたが、ガソリンについては、あそこは供給ルートから若干離れていることもあるんでしょう、お金の問題というよりはガソリンスタンドで若干車が何台かつながっているという光景は私も見た記憶がございます。
先ほど申し上げましたように、全体についての数字は今申し上げたようにございますが、地域別について出ているのは私どもの今手元にはございません。
○谷合正明君
次に、自衛隊の活動によります雇用についてでございます。
防衛庁の説明によりますと、自衛隊による雇用の創出が一日三百人から五百人と出ております。自衛隊の今の活動規模や自衛隊の活動そのものの実態からすると私はよくやっているんではないかとは思いますが、一方で、この数字ではサマワの人口十五万人からするとまだまだ不十分とございます。関心のあるのは、その数の実績もそうでございますが、どんな仕事内容なのかというところも重要だと思いますが、その点について教えていただけますか。
○国務大臣(大野功統君)
まず、復興支援活動の関連でございます。
この関連に関しましては、公共施設の復旧整備を実行するに当たりまして、現地の人々を使用いたしております。現地雇用の方々の雇用を増やしていくということであります。それから、運営面、自衛隊の運営面と申しましょうか、そういう宿営地の運営につきましては、まず警備、これ何人雇用しているかというのはちょっと控えさせていただきたいと思います。それから、通訳を雇っております。それからもう一つ、ごみ収集などの作業は現地住民の方々にやっていただいております。最近は一日当たり三百人から五百人ぐらいの雇用を創出しております。現在まで、一月以降現在まで約八万人強の雇用となっております。
我々は、もちろんムサンナ県において雇用創出を求める切実な要望がある、このことは十分存じておりますし、今後とも、現地部隊においては、活動面、運用面、両方にわたって現地住民の雇用の拡大に努めてまいりたい。しかし、やっぱり規模は、先生御指摘のとおり、ある程度小さくならざるを得ない、こういう面は御理解いただきたいと思います。
○谷合正明君
その数だけでなくて、今、通訳、警備、ごみ収集等ありましたが、現地の方では、単純労働ばかりでなくて、もっと重要な仕事に就きたいという声もございます。私は、これ本当に重要なポイントではないかと思っております。今後、その数のみならず、その質といいましょうか、その確保について一生懸命努力していただきたいと思います。
次に、無償資金協力におけますイラク人要人並びに行政官の我が国への招聘について伺いたいと思います。
時間がないので、私の質問というか主張というか要望なんですが、今なかなか現地でおきまして顔の見える支援ができない。そういう状況の中、例えばイラクという国は、非常にほかの発展途上国と違いまして、医師や、またエンジニアの技術水準というのは非常に高い国でございます。私も現地に行きまして、それが、そのことは分かりました。その意味で、そういった医師やエンジニア、あるいはそういう現地、イラクの大学生といった現地のイラク人を日本にもっと招聘するべきではないか、そういうことを考えております。それこそが費用対効果があると、今のなかなか顔の見える支援ができない中では思います。
また、十三億ドル、無償資金協力で実施して、実施決定しておりますが、実際のところ、一億ドルが実施完了していると聞いております。その事業の実施可能性についても、こういったイラク人の招聘というのは速やかにできる分野ではないかと私は考えております。
このように、イラクの復興のかぎを握るような優秀な人材、復興の現場で指導的立場にあるようなイラク人の人材をもっと日本に招聘することを、そこにもっと予算を配分していただきたいと私は思います。言わば、復興に関与するイラク人のトレーナーのトレーニングということを考えていただきたいと。そういった事業の受入先として、JICAのみならず、我が国NGO、また地方自治体などが活躍できる、そういう支援体制を政府としてももっと後押ししていただきたいと。
そういった、こういう、イラク人要人のこういう我が国の招聘作業について、今後の支援の展開について簡単にお伺い、最後にさせていただきます。
○委員長(太田豊秋君)
簡潔にお願いします。
○副大臣(谷川秀善君)
はい。
先生のおっしゃるとおりでございまして、国づくりは人づくりと言われるように、これからいわゆるイラクを復興していくためには、こういう技術者なり行政官をどれだけ養成していくかということが大変重要な問題になろうかと考えます。
そういう意味で、我が国は、JICAを通じまして、保健、医療、電力、教育等の分野におきまして、関係省庁職員、医師、看護婦、電力技術者等、これまでに八十七名のイラク人を本邦に受け入れまして研修をいたしておるところでございます。 また、これと併せまして、エジプト及びヨルダンと協力をいたしまして、両国において、これも保健、医療、電力、水田、水源管理等の分野で行政官や技術者等をこれまでに計三百三十八名、イラク国民を研修実施をいたしております。 今後も先生の御趣旨を踏まえまして、是非この人材養成について努力してまいりたいというふうに考えております。
○谷合正明君
終わります。