昨日、傘も壊れるような雨風の中、宮城県の石巻専修大学と東北学院大学を訪れ、学生や教職員の皆様から、被災状況や就職の現状を聞いてまいりました。
被災地は相当に就職率が落ち込んでいることが分かりました。前年比で10ポイントも下がったという例も。
先般公表された大学生の就職率は91.1%と過去最悪と並びました。9割を超える就職率は、他の世代からは恵まれているという声も聞かれますが、この数字にはトリックがあります。
まず、今回の数字には被災した東北地方の大学の実績は反映できていません。また公表されている就職率は、就職希望者のうちどれくらい就職したかの数字で、全卒業生のうち就職した割合は明らかにされていません。
色々な大学の話を聞いていると卒業生のうち実際就職しているのは6割程度というのが実態ではないかと感じています。
中長期的には職業教育が必要とは言え、本格化する復興事業で行われる公共事業に、地元就職を希望する意欲ある学生を優先採用するなどの取組みも必要ではないかと思います。
また、学生以外の被災者の雇用の確保も急務です。
震災以降、東北3県でのハローワークにおける求職者は3万8千人。失業給付を受けている方が7万人を超えていることを考えると、これからまだまだ増える見込みです。
これに対し、被災者対象の求人数は全国で約4万人あります。これだけみれば、求職者一人がひとつの仕事に就ける数字ですが、東北3県での求人は4千人を下回っています。
被災地では1割の人しか地元の就職口がないということになります。
雇用創出基金事業による自治体の雇用計画は3県で2万人ですが、実際雇用に結び付いたのは2千人程度です。
計画と実態のギャップには、一つには失業給付というセーフティネットが機能しているという正の側面もあります。
しかし、短期でも雇用創出事業で働きはじめると失業給付が切れたり、失業給付の方が雇用創出事業の労働単価よりも良かったりするため、雇用創出事業に中々手が上がらないとの指摘を受けました。
被災者は単に支援を受けるためだけの存在ではありません。失業給付の受給期間中に雇用創出事業で働くことを柔軟に認めていくことも必要ではないでしょうか。
被災者を「地元の復興を担う再建の主体者」位置づけ、地元雇用を創出拡大していかなければなりません。
もちろん雇用は被災地だけの問題ではありません。全国的な課題であります。
今後、予算委員会で質問に立つ予定ですので、雇用政策が絵にかいた餅に終わらないように、実効性ある施策を政府に求めてまいります。
(谷あい)